出発と贈り物
熱が引いたので投稿します!
確実にインフルじゃなかったなw
「じゃあ行ってきます」
「おう! 頑張れよ!」
「あんたならどうとでもなると思うけどね」
朝。
昨日は劣飛龍のステーキで盛大にお祝いされた。
そのまま眠りこけてしまった。
今は次の日の朝という事だ。
隣ではアリスがリズ婆さんと話している。
「行ってくるね」
「楽しんでくるんだよ」
これでしばらくは会えなくなるかな。
魔法学院は男女別の二人一部屋の寮部屋が与えられる。
結果として在学中は家に帰ることは中々無い。
そして魔法学院は授業は好きな授業を取れる。
だから興味のない授業は取らなくてもいい。
そのため取る授業によってはそれなりの休みが取れる。
かと言ってその休みの間に家に帰れるかと言われればそういう訳にはいかない。
この街からマギルサードまでは二ヶ月ほどかかる。
流石にそんなに長く授業が入らないなんてことは無い。
そもそも魔法学院の生徒達は皆やる気に満ち溢れている。
たとえ授業の入っていない日でも学院内の図書館で自主勉強するだろう。
しかしずっと帰れないのかと言われればそういう訳でもない。
一年に一度だけ長期の休みがある。
生徒達は皆その時に一斉に一度家へと帰る。
俺達もその時に帰ってくるつもりだ。
「お~い! 坊主達! そろそろ出発するぞ!」
馬の手網を握った男が俺達を呼ぶ。
なんでもちょうどマギルサードに用事がある商人だそうだ。
俺達はそれについて行く形になっている。
ちなみに冒険者の護衛はいない。
俺達は既に冒険者登録をしている。
そうじゃないと魔物の素材とかを冒険者ギルドに売る事は出来ないからだ。
だから護衛は要らないだろうという事だった。
「今行きます! ほら行くよアリス」
「うん! じゃあ行ってきます!」
馬車の荷台に乗り込むとすぐにガラガラと音を立てて馬車が進み出す。
「リョーマ!」
父さんから大声で呼ばれる。
なんだろうと振り返ると二つの人の背丈より少し小さい木箱が飛んでくる所だった。
「なぁ!?」
魔力障壁で木箱の動きをピタリと止める。
「危ないだろ!」
「早めの合格祝いだ! 役立てろよ!」
むちゃくちゃしやがって!
とっさに魔力障壁を張るのが間に合わなかったら俺達は怪我をしてたかもしれない。
まぁとっさの判断能力に関しては父さんに嫌という程鍛えられたから受け止められると信用しての事だったのだろう。
それにしても投げるのはないと思う。
それなり威力もあった。
「はぁ~むちゃやるなぁ~」
「ねぇ開けてみよう?」
木箱にはどっちが誰のか分かりやすいように俺とアリスの名前が書かれていた。
アリスと書かれた木箱をアリスに手渡して俺は自分の名前が書かれた木箱を開ける。
すると中には真っ白な杖と一枚の紙切れが入っていた。
杖は別に買わなくても魔法学院で配られる。
とはいえそれは誰にでも扱えるような安物の杖でしかない。
しかしこの杖からはかなり高純度の魔力が感じられた。
一体いくらする杖なのだろうか。
値段を想像して思わず頬がひきつる。
そして紙切れを見てみるとそこには老魔樹の杖と書かれていた。
老魔樹は魔法を使う数少ない魔物だ。
老魔樹から取れる木材は体力の高純度な魔力を含み、そして魔力を伝えやすいという特性がある。
老魔樹自体が強く、木材はかなり貴重な素材らしい。
その貴重な素材は貴族の屋敷のなどにも使われるほど高額である。
それを高名な冒険者とはいえ平民が買うにはかなりの額が必要になったはず。
思わず感動して手に取ると杖はちょうどいいサイズに縮んだ。
今度こそ驚愕で声が出なかった。
この仕組みを作ったのは間違いなく母さんだろう。
持ち主に応じて大きさが変わる。
他の魔法使いに知られたら分解されかねない。
それほど貴重なものなのだ。
素材が老魔樹である事も考えると一体どれほどの価値がつくのだろうか。
考えたくもない。
少なくとも10歳児が持つような物じゃないのは確実だな。
ちらりとアリスの方を見るとアリスは口を開けて呆然としていた。
「どうした? 何となく予想がついちまったけど……」
無言で手に持っていた紙切れを手渡された。
受け取ってそれを見ると俺の杖に勝らずとも劣らない情報が書き記されていた。
高貴なる王木。
……もう開いた口が塞がらない。
高貴なる王木は光属性の魔力を増幅させる効果を持っている。
しかしその数は少なく、さらには魔力を増幅する素材の中でも最上級の素材のためアインベルクの王族が管理している。
そんなものが手に入るなんて普通はありえない。
つまりこれは父さんか母さん、もしくはリズ婆さんが王族と何かしらの関係を持っているということになる。
これはとんでもない事だ。
リズ婆さんは知らないが父さんと母さんは平民である。
リズ婆さんが仮に王族の関係者だった場合こんな街にいる理由が分からないしシスターなんてやるのだろうか?
父さんと母さんは確実に王族の関係者では無い。
王族の関係者にしては言動が平民すぎる。
考えられるのは冒険者としての活動で王族と知り合った可能性だろう。
どちらにしてもとんでもない事だ。
色々と気になる事が増えてしまったじゃないか!
「……最後にとんでもないプレゼントを送られたな」
「……えぇそうね、絶対にバレないようにしないと」
そして俺は息を吸い込みもう既に小さく見える父さん達に叫ぶ。
「父さん! 母さん! ありがとう! 大事にするよ!」
「リズお婆さんも! ありがとね~!」
馬車は進む。
次に待つのは新天地マギルサード。
次回から第二章です!
お楽しみに!




