今後の方針を決めました
ギリギリ間に合わなかった!
「……おはよう」
「おはよう! リョーマ! 飯だぞ!」
あの後直ぐに、父さん達は帰ってきた。
あと少し遅れていたら俺が家の外に出た事がバレていただろう。
「しかしまさかあの臆病で有名な小鬼の群れがこの街に攻めてくるなんてねぇ」
「あぁ。何かがあったとしか思えない」
父さん達が話を切らせないようにしてるのが分かる。
アリスの家の一件に関してはすぐに街中に広がった。
事件の結末としては強盗によってアリスの両親は殺されてアリスは奴隷商人に売られるところだったが何かの理由で仲間内で殺し合いが起き、軽く騒ぎになった。
それを聞いた近隣の住民が騎士達の駐屯所に駆け込んだ。
それで駆けつけた騎士達に気づいて生き残りは逃げ出した。
それが騎士達の予想だそうだ。
なるほど、騎士達の動きがが予想以上に早かったのは天井が崩落する前に騒ぎに気づいた住民が騎士に通報したからのようだった。
アリス達を助けようとしたのだろうが結果としてはいい迷惑だ。
おかげで色々捕り逃した。
まぁとにかく両親達は元気の無い俺を見てアリスの家が襲われたのが俺が元気の無い原因だと思って慰めようとしているのだろう。
しかし当然だが実際は違う。
アリスの両親を守れなかった。
俺にもっと力があれば守れたかもしれない。
そう思うと悔しくてしょうがない。
だから俺は決心した。
「父さん、母さん。相談があるんだけど」
俺の真面目な雰囲気を感じ取ったのか父さんも表情を引き締める。
「俺魔法学院に行きたい」
魔法学院。
マギルサード魔道国にある魔法使いを育成するための機関。
15歳から入学は可能なので行けるとしたらあと10年後になる。
「……何故だい?」
「強くなりたいから」
「なら俺達が教えてやることも出来るぞ?」
「あと魔道図書館の閲覧権限の取得もしたい」
魔道図書館はマギルサードにあるありとあらゆる魔法に関する書物を管理する大図書館だ。
そして他にも魔法の触媒や魔法を即座に発動することが出来るスクロールの管理と販売を行っている魔法ギルドと協力関係を築いている。
俺は今更剣術とか出来ないだろうしやる気もない。
だって魔法なんていう男子高校生の憧れが実際に手に入ったらそっちにのめり込むのも仕方ないと思う。
だから今は無属性魔法以外は下級までしか扱えないがもしも魔法学院に入れたら妖精達のの修行も合わせれば属性魔法を超級くらいなら扱えるようになるかもしれない。
そこに魔法図書館の魔導書を大量に読んで知識を身に付け、理論を学べば神話級魔法も夢じゃない。
しかし当然そんなものを普通に見せてくれるわけがない。
閲覧するには魔法学院か魔法ギルドのどっちかの許可が必要になる。
「魔法図書館? ということは完全に魔法の道に進むのかい?」
母さんは少し嬉しそうだな。
まぁ母さんも魔法使いだし息子の俺が同じ道を歩もうとしてるからだろう。
「なるほどよく分かった! そういう事なら反対はしない! 学費も出してやろう!」
「ありがとう!」
「ただし! ひとつ聞きたいことがある!」
「何を?」
「リョーマ。お前は一体いつも何を見ている?」
一瞬質問の意味が分からなかった。
しかし一泊置いて何が言いたいのか理解する。
父さん達は俺が妖精が見えてることの気がついてる。
いや、見えてるのが妖精だとは気づいていないだろう。
しかし何かが見えていることには気づいているようだ。
しょうがない。
もう確信してるみたいだし喋るしかないよね。
ずっと黙ってるのも心苦しかったし。
「おいで」
近くを飛び回っていた妖精が俺の魔力を吸収して現界する。
「呼んだー?」
「出番ー?」
「修行するー?」
「あそぼー」
「.......」
いきなり現れた妖精達に両親は口を開けて呆然とする。
彼女達が持つとんでもない力を理解したのだろう。
「多分超会話のスキルのおかげで見えるようになった俺の契約妖精達だよ」
ギギギと錆びた機械のように両親が俺に顔を向ける。
「.....ようせい?」
「妖精ってあの妖精?」
「そうだよ。3大最強種の妖精」
父さん達はまたギギギと錆びた機械のように妖精に顔を向ける。
「最近は妖精に魔法の修行をつけてもらってるよ」
「妖精の……修行……」
「あんたって子は……とんでもないことを……」
両親揃って頭を抱えている。
自分でも色々思うところはあるのでその反応はやめて頂きたい。
「なるほどあんたの視線がいつも何かを追いかけるみたいにうろちょろしてた理由は分かったよ」
うわぁ。そんな理由でバレたのか……
見てる人はちゃんと見てるってことだな。
しっかり気をつけよう。
「そうか……妖精と契約か……それ絶対に言うなよ? 」
「流石に分かってるよ。こんな事誰にも言えないし」
家族揃って苦笑いを浮かべる。
そんな時だった。
「リョーマ殿! リョーマ殿はおりますかな?」
やかましいノックの音とともにうるさい男の声が聞こえてきた。
「ちょっと行ってくるよ」
扉を開けるとそこにはでっぷりと太った豚のような男が居た。
男は全ての指に宝石の指輪がはまっていた。
それだけなら趣味が悪いと後ろ指を刺されるだけで済むだろう。
しかし目の前の男はリズ婆さんと同じ神官の服装をしていた。
教会は欲とは忌むべきものでありなるべく質素な生活をするようにするものらしい。
もっと厳しい時は女性は処女性を強要されていたと聞く。
今では流石にそんなことはないがそれでもこれは無いだろう。
「その銀の髪に黄金の瞳! あなたがリョーマ殿ですね! 私はリベロー ジェイルズと申します。あなたをお迎えにあがりました」
そう言って俺をどこかに連れていこうとする。
は? いきなりなんだこいつ。
苗字があるから貴族だろうが知ったことじゃない。
イラついたので強めに手を振り払ってやる。
そしたら案の定不快げに眉を歪めていた。
「いきなり何をするのです?」
「それはこっちのセリフです。あなたこそ何をするのですか?」
「何って……本国の教会本部にお連れするのですよ」
何を当たり前のことをみたいな顔するんじゃねぇよ。
「そうですか。ですが俺に行くつもりはありませんよ」
「な! 何を仰るのです! 教会本部に招待されるなどこれ以上ない名誉ですぞ!?」
「それはあなたにとってはでしょう? 俺はそうは思いませんので。お引取りを」
帰らそうとするがリベローは顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。
「貴様! この私になんて生意気なことを! 平民は黙って従えばいいのだ!」
あぁこいつアックスと同じタイプのやつか……
なんでも思い通りにいかないと逆ギレして喚き散らすやつ。
非常にめんどくさい。
ここ家の目の前だから注目も集めるしいいことは無いな。
やっぱりさっさとおかえり願おう。
とりあえず思いっきり魔力で威圧してやる。
途端に口から泡を吹いて気絶した。
うわ汚ぇ。
周りを巻き込まないように調整してこいつだけにしか魔力は向けてない。
家の前にいられると邪魔だから触りたくもないけど我慢して道の端に引きずって行く。
これからもこういうの来るのかなぁ。
嫌だな~
こういうクズの聖職者のかませ犬感大好きw




