3話
「二宮おはよー!」
翌日登校すると、枚方が真っ先に声をかけてきた。
相変わらずスカート丈が短いクセに、少し足を開いて座っているので、俺はハラハラが止まらない。
決して見たい訳ではないが、自然と目が行ってしまうので少し下を向く。
「そこ、俺の席なんだけど」
「あ、ごめーん。借りてた、どくね」
本当にそういう、人の席で足開いてくつろいだりとか、やめてくれません? 直後だと俺みたいな人種は中々座りにくいんで……。
「いや、いいよ。あっち行くから」
「そっか」
「あやってそいつと仲良かったの?」
荷物を置いて立ち去ろうとすると、不意に近くから声がした。
気づかなかったが、枚方の隣に誰かいたようだ。えっと確か名前は……
「うん、二宮と私、友達になったんだ。杏美も仲良くしてあげてね」
その子の頭を撫でながらそう言う枚方。
そうだ、糸田杏美だ。小さくてみんなから可愛がられている、クラスのマスコット的存在。本人は幼く見られるのを少し嫌がっているようだが。
「ふーん、二宮とね」
枚方の手を振りほどき、糸田は何か言いたげな濁らせ方をするが、なんとなく内容は分かるので追求はしないことにした。
「糸田さん……だよな」
「糸田でいいよ。よろしく」
その返しは陽キャの共通語らしい。
「おはよー、優ちゃん」
今日も俊介の第一声は大きい。そのお陰で俺と仲が良いというのが広く認知されたと言っても過言ではないだろう。
だが憎めない。それがこいつの良さでもある気がする。
「お、枚方と糸田も一緒か。おはよ」
「おはよー」
「糸田は相変わらずちっちゃいなー、ちゃんと牛乳飲んでるか?」
「余計なお世話。菊間もそういう思いやりの欠片もない所、相変わらずね」
キリッと睨む糸田。だが高低差があり見上げているので、そこまで怖さはない。
俺はそんな彼女に、どこか春の様な面影を見た気がした。
「そうだ杏美。さっきまで今度の中間テストの話してたじゃん? 私達2人ともバカだからどうしよーって。丁度いいし、二宮に勉強教えて貰わない?」
「……そうね、あやがそう言うなら構わないわ。二宮って頭良さそうだし」
枚方もだけど、メガネかけてるだけでガリ勉扱いって偏見だからな?
「それなら俺も入れてよ。俺も優ちゃんに教えてもらうつもりだったし」
「もちろん。でも問題は場所だよね」
「優ちゃんの家でいいんじゃない? いつもそこでやってるし」
「そ、そうだね……そうしよっか」
俺の意見は一切聞かれずに決まったみたいだ。
枚方も、俊介と勉強会がしたいなら直接誘えばいいのに。
そしてなぜその勉強会の会場が、俺の家なんだ……
たっぷり勉強したいということで、今度の休みの日に集まることになった……らしい。
自分の部屋は、自慢出来るほどでもないがある程度片付いている。
人が来るからと言って慌てて何かしなければいけないことは特に無い。
が、女子を入れるなんて初めてなので、変なものがないか入念にチェックをしようと思う……。




