2話
帰り道。全員同じ方向だったので、3人で喋りながら歩いた。
大体帰りは1人か俊介と2人のことが多く、慣れない事に少し緊張している自分がいた。
枚方はなぜかさっきから俊介には目もくれず、俺にちょっかいばかりかけて来る。
柄にもなく俊介と喋るのを恥ずかしがっているのだろうか。
「二宮って結構身長高いんだねー、何センチ?」
とか、
「二宮頭いいんでしょ? 見た目的に。今度勉強教えてよ」
とか。
見た目的にって……
確かに頭は良い方だとは思う。俊介にテスト前とかは勉強を教えたりしているし。
だが時おりボディータッチが含まれるので、陰キャの俺としては、勘違いさせる行動は止めて欲しいと思う。本当に。
そうやってみんな俺を勘違いさせてから、まんまと俊介とお近づきになりやがる。
こっちの身にもなって欲しい……
「じゃあ、私こっちだからー。また明日ねー」
10分程歩くと、枚方はそう言って角を曲がり去っていった。
手をヒラヒラさせるバイバイのポーズ。俊介は容易にやってのけるが、俺には難易度が高すぎる。
なぜか会釈をした俺は、俊介と2人で再び歩き出した。
「優ちゃん、いいじゃん、モテモテじゃん」
「はあ? バカにしてんのか? どうせあいつも俊介目当てだろ」
はぁ……。大きくため息を付く俊介。
「なんでそこでため息付くんだよ……」
「いや、なんでもないよ。で、優ちゃんは枚方のことどう思ったの?」
「どうって、別になんとも」
「結構可愛いと思うけどなー、枚方。」
茶化すように俊介は言う。
「なっ……俊介こそいっつも可愛い女子振ってんじゃんか。俺経由で知り合った奴ら。なんで付き合わないんだよ」
「うーん、タイプじゃなかった。からかな?」
「左様ですか……」
モテ男は住んでる世界が違うんだろうか。全く不平等な世の中だ。
俺だってモテるに越したことはないと思っている。ただ、みんな俺の前を素通りして俊介の事しか見ないもんだから、いつからか諦めが入ってしまったんだ。
そんなどうしようもないことを考えていると、いつのまにか家の前に着いていた。
「じゃあな優ちゃん、また明日」
「ん、また明日」
家の中に入ると、すぐさまリビングのソファーに寝っ転がった。
なんなんだよ……俺がモテモテ? 枚方に好かれているとでも言いたいのか? あいつは。
ひいき目って奴だろう。それか本当に住んでいる世界が違うのか……
「おにぃ、独り言うるさい。キモイ」
心の声が漏れていたようだ。
2つ下の妹、二宮春は俺に対しての当たりがやたら強い。
もっと小さい頃は、あんなに可愛らしかったのにな……
枚方の事を誰かに聞いてもらいたくなったが、こういう時に友達が少ないと不便だ。
「なあ春、これってどう思う?」
今日の出来事について相談する。
一通り説明し終わると、なぜか春は焦りながら、
「バ、バカじゃないの? おにぃのことなんて誰が好きになんのよ。キモッ、しね」
やっぱそうだよな……
罵声を浴びせられたが、俺は納得して悩むのをやめた。
「枚方朱乃……覚えた……」
「なんか言った?」
「な、なんでもない」
殺意のこもった言葉が聞こえた様な気がして聞き返すが、春はすぐに2階へ去って行った。
……気のせいか。




