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最強と変われない僕



 この世界は不公平に満ちている。

 世界は祝福というものがこの世界に発現した。

 固有の能力が発言し、世界はそれを中心に向かうのは必然だった。

 金も権力もその固有により、決まる世界になっていた。

 そして、僕(もり) まもるはというと……。


「退学、ですか?」


 僕の言葉に、先生である来栖は目をそらしながら答える。


「お前の五秒間だけ防御が著しく上がる能力は確かに強力だ、だけど無敵じゃない。 傷を負うし、毒や麻痺体制にはめっぽう弱い。 極めつけはそれが五分に一回しか使えない点だ。 これに関しては、最低限のラインを越えてない。 せめて常時使えるくらいじゃなけりゃ、この世界ではやっていけない」


 僕の能力は身体強化系の五秒間だけ防御力が上がるというものだ。

 どんな攻撃でも、例え一撃死の魔法でも生き残れる魔法だ。

 名を生死に一生、ダメージを大幅に減らせる魔法だ。

 

「お前と仲いい彩花(さいか)までになれとは言わん、だがお前の能力では卒業してもやっていけん。しかもお前の能力は身体系、日常では使い物にならん。 かといってダンジョンに潜らせれば即死ぬ」


 迷宮ダンジョン、この世界に固有というものが発言するようになったと同時期に現れた。

 これにより、世界経済の主な収入源は迷宮となり、各国の視線は迷宮に目が向くようになった。

 

「これはお前の為でもあるんだ、このまま学園に居ても冒険者試験には受からない。 だから__」


 迷宮に入るには冒険者認定試験を受けなければならない。

 これに受からなければ迷宮を受ける資格がない。

 

「少し、考えておいてくれ」


 そう言われ部屋を出ると銀色の髪を靡かせた女の子が居た。

 学園最強の幼馴染、彩花だ。


「話は聞かせてもらったけど__」


 そう言って彼女は目を細め、氷のような視線を向けてくる。

 いつも天真爛漫で明るい彼女がこの表情をするときは決まっている。


「僕はやめないよ」

「……そう」


 彼女が問いを投げる前に答えると、氷のような鋭い視線がまるで溶けていく氷のように解かれる。


「じゃあ、これ」

 

 そう言って彼女は鞄から用紙を取り出す。

 書かれていた言葉には、パーティー申請用紙と書かれていた。

 

「え?これって……」

「パーティー申請届、組んでくれるでしょ?」


 屈託なく笑う彼女。

 昔の約束を覚えているようだった。

 だけど、今の僕には……その資格がない。

 最強の彼女の横に最弱の僕が立つなんて、虎の威を借る狐だ。


「どうしたの?」

「ごめん、僕は君とは組めない」

「……え? なん、で……?」

「君にはもっと相応しい場所があるよ」


 ……違う。

 

「ほら僕は落ちこぼれで、君と釣り合わないだろ?」


 ……違う。

 こんな事を言いたいわけじゃない。

 だが、吐露するように彼女に言い放つ。

 卑屈に、そして自身を蔑むように言葉を連ねていく。

 

「だから……」


 瞬間、僕の頬に向かって彼女の手が飛んでくる。

 僕は咄嗟に能力を発動した。

 しかし、彼女の攻撃は僕より高く、首が横側を向く。

 僕の固有を使ってこれだ、本当なら首から回転して吹っ飛んでいるだろう。


「もういい、喋らないで」


 震える声で言う彼女の方を見る。

 瞳を潤ませ、涙を浮かべていた。

 そして睨みつけるようにして背を向け歩み出す。


 引き止めないと……!!

 何故??

 

 僕の思考が二つに分かれる。

 

「お前は弱い、だからこの結果を招いた。

 追いかけたところでどうなる?

 何も出来ないお前は何もしない方がいい」


 そうだ、僕は……。

 その瞬間、目の前に壁が出来たかのように進む事が出来なかった。

 そして彼女を見失うと同時にそれは解けた。

 

「……馬鹿だな、僕は」


 そう言ってぼくは帰路につくのだった。

 次の日から彼女は以前のように話しかけてくることがなくなった。

 そして彼女との決定的な溝が生まれた。

 

「優勝者は、(くすのき)彩花だ~!!」


 割れんばかりの拍手とアナウンスで会場が熱気に包まれる。

 彼女が全国大会で頂点に立ってしまった。 

 これにより、彼女は一躍有名になった。

 同時に僕も彼女の幼馴染と注目を集めた。

 対照的な幼馴染、才能のある彼女と反対で凡人以下の技量といった記事だった。

 晒し者、それも皮肉たっぷりの記事というにはあまりに酷い。

 しまいには、「五秒間の自己満足」と言われてしまう始末だ。

 悔しいが、これが世間の反応だ。

 僕にはどうする事も出来ない。


「……やっと、見つけた」


 不意に、鈴を転がすような透き通った声が響いた。

 そこにいたのは、美しい緑色の髪少女だった。

 綺麗な緑色の瞳が、こちらを見つめている。


「誰……?」


 僕の問いに、彼女は少しだけ悲しそうに目を伏せた。

 だが、すぐに凛とした表情で一歩踏み出し、僕の前で立ち止まる。

 

「私、恵令奈」

 

 その言葉を聞いた瞬間、思い出す。


「えれ、な?」 


 僕が思い出したことを悟ったのか、彼女は安堵の笑みを浮べ抱き着いた。



 

 

 

この作品を読んで下さり、ありがとうございます。

一年以上ぶりに執筆しております。

至らぬ点が多いと思いますが、教えていただけると嬉しいです。

それでは次回、お楽しみください

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