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7話 水晶の魔力測定

 ホールにいけば、いくつもの水晶玉の前に同じ服を着た人々が長蛇の列を作っていた。


 ……あらためて自分の服装を確かめれば、私も同じ格好になっている。目覚めて仮面をつけるまではいつも通りだったはずだから、これも仮面の効果だろうか。




 顔立ちははっきりと違うとわかるのに、何が違うのかを言葉にできない。

 何色の髪の人が何人いるか数えられないのも仮面の力なのだろうか。


「ここでは地水火風それぞれの属性の適性を見る。得意分野により、クラスが変わるわけだな」

「え、」


 地水火風の四つだけでいいのか。

 尋ねそうになったのを飲みこむ。


 測るものの数は少ない方が手間も少ないわよね。

 先頭に立つ生徒たちの様子を見ればやることもわかりやすかった。



「順番に並んで、水晶に手を当てればいいのね?」


「そうだ。エーテルに呼応して発される光の量で、お前の魔力がわかる。……理解できたのなら、私は治癒室に帰るぞ」


 その言葉に目を瞬かせた。

 そういえば目覚めてずっと付き添ってくれていた人のことをクリスティーナは何も知らなかった。



「もしかして業務外のことをさせちゃってた?それならごめんなさい、ありがとう」



「…….礼をいう程度の躾はされているようで何よりだ」


「失礼ね。名前を教えてくれていないのはそっちもでしょ」


 会話を聞いて聞いて知ってるけど、直接名乗られた覚えはなかった。



「……口が回る娘だな。なら改めて、私はシャム。この学校の治癒師を担っている。怪我をしたり体調が悪いのなら、いつでも来るといい」


「ありがとう。……考えておくわ」


 咎魔女の娘でもいいの?という問いかけは出てこなかった。きっと仮面の効果だろう。


 シャムの後ろ姿を見送ってから、一番近い行列に並んだ。



**



「測定完了です。次の水晶玉へどうぞ」

「……はい」


 前に並んでいた男子生徒はあまり魔力量がないらしい。

 ほとんど輝きを見せない水晶玉を前に、肩を落として離れていった。



 さっきの話を考えれば、あの生徒は入学できない可能性もあるのだろうか。


 入学したい人がいるのに、本人にはどうしようもならない理由で入学できないのも可哀想だと感じた。



「いっそ、魔力を渡せればいいんだけど」

「次の方、前へ。仮初の名前は?」


 聞こえてきた声に前に進む。



「クリスです」

「クリス。それでは水晶玉へ手を」


 魔力を込めずに適当にかざしていればいいでしょ。



 やる気なく右手を掲げたところで、違和感に目を見開く。


「ちょっ……!!」


 体の内側が熱い。

 腹の中に渦巻いている何かが引きずり出されるような感覚とともに、目の前の水晶が強く輝きはじめた。


「こ、これは……っ!!」


「ダイアモンド級は久方ぶりじゃな。学長に報告を」


「これはガイアクラス確定ですかね。いやあ、久しぶりの逸材に心が躍りますよ」



 周りから歓声があがるが、もちろん私はそれどころじゃない。


 光はさらに強く、強くなっていきまともに目すらあけられない。……え!?これどうしたらいいの!?



「ねえ、のんきに話してないで! これ止め方分からないんだけど!!」


「魔力を隠そうと適当にやるとそうなるんじゃよ。ほら、

水晶玉から距離をとってみなさい」



 老齢の教師の言葉に従えば、たしかに光はおさまった。


 一時はどうなることかと思ったが、一安心……できるはずもない。水晶玉の前に立っていた先生をおそるおそる見る。



「にゅ、入学の辞退って……」



「出来るわけないじゃろう。こんな数値を出しておいて」


 …………ですよね。



「調整しようとした辺り、セーブ方法は知ってそうですがそれにも不安が残りますから」

「そもそもこんな逸材を見つけて放置はできんのう。国として」


 気がつけば三、四人の教師が集まりあれやこれやと話している。こんなはずじゃなかったのに……。


「家に帰りたい……」



 はかなくもその望みが無惨に打ち砕かれた瞬間だった。


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