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5話 学園と秘匿の仮面

「お前な……拒否をするにしても段階というものがあるだろう。まず話を聞くとか」


 呆れた顔でティターンは案内らしき紙を掲げる。内容を確かめるよりも先に、拒絶が口をついででた。


「いや、いやよ!だって学校ってことは色んな人がいるんでしょ?」

「まあ、いるな」


 何を言ってるんだと言いたげに目を細められるが、ティターンは変わり者だからそんな顔ができるのだ。だって。



「……咎魔女の娘が、受け入れられるわけがないわ」


 喉に言葉がつまりながら、つっかえつっかえ言葉を吐き出す。


 ティターンは娘だと言ってくれるけれど、そんな奇特な人が外にいるなんて思えない。正体を知られて指をさされるならまだ、この森に一人でいた方が……。


「バレないだろう。お前が学園のルールを守るならな」

「……え?」



 意図の読めない言葉に顔をあげる。

 ことも投げに告げたティターンは、いいから読めとばかりに私の眼前へと紙を突きつけてきた。人差し指が乗っている場所を、ゆっくり声に出して読んでいく。



「──『ユウェール魔法学校は、魔法使い養成を第一とする特性から、貴族や平民の区別なく多数から受け入れを行っています。また、生徒たちが立場を気にせずに公正に学問へ集中できるよう、学内の共用スペースでは秘匿の仮面を身につけることを義務とします』……秘匿の仮面?」


「魔法具の一種だ。仮の名を決めて装着することで、仮の名以外の人の情報を秘匿することができる。

 相手の美醜は判別がついても、どんな髪や肌、瞳の色をしているか分からない。自分も自身の家や立場について名乗ることができなくなる」


「……そんな魔法があるの?」

「学校か、仮面舞踏会くらいでしか使われないがな。立場を廃した付き合いには打ってつけだ。ここでならお前のその銀髪も認識されないし、お前自身が咎魔女の娘だと口にすることもできない。正真正銘、ただのクリスとしてしか認識されなくなる」



 それはとても魅力的で……とても、とても怖いことだ。


「で、でも」

「ダメだ。……俺とてお前が望まない手段を取りたくはない。だがな」


 そういうと、彼は私の胸元へと人差し指を突きつける。

 急に聞こえてくる音がぐわんぐわんと反響して、視界がぐらりと揺れた。


「お前もいい年頃だし、俺はお前を籠の鳥にするつもりはないからな。……世界を知り、人を知る機会を得なさい。他ならぬお前自身が、やりたいことを見つけるために」



 かろうじてその言葉だけを聞き取ったところで、私の意識は暗転した。

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