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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第二章
33/227

悠魔の工房

「何とか形になったな」


 数日後、フェレクスが届けてくれた機材を工房に設置して悠魔は自分の工房を見て頷き振り向くと、そこには呆れた顔をするアリスとナナが立っており、悠魔はニヤニヤしていた顔を見られ赤くなり涙目になり。


「うん、君、嬉しいのは分かるがもう少し落ち着いたらどうだい?」


「悠魔君……少々顔がだらしないかと」


 悠魔はその場から逃げ出したくなったが、二人が入り口に立っているため逃げ出せなく仕方なく、工房に置いてあった大きなテーブルの下に隠れてしまった。


「うぅぅぅ」


「ああ、そういじけるな、僕達が悪かったから」


「悠魔君機嫌直してください」


 悠魔がテーブルの下から出て来るのにはしばらくかかり、その後ポーション作りをはじめる悠魔を手伝うナナ、アリスは王宮に用があると言って出て行った。


「そう言えば、家具とかはどうするんですか?」


「ん~まだ考えてないんですよね、あの宿もかなり長い事泊まっていますし、そろそろ此方に引っ越すのもいいかもしれませんね、宿代もかかりますし」


 二人は話しながらも器用にポーションの製作をしていき昼時にはギルドに納品する分を作り終え、ナナはレイラに会いに行くと言い出て行き、悠魔は一人になり先ほどナナと話していた事を思い出して家具を探しに町に出た。


「家具って何処で買えばいいんだ?」


 悠魔が途方に暮れて道端で一人立っていると、後ろから声をかけられた。


「悠魔さん!」


「はい?」


 悠魔は振り向くとそこには、王都ララークで奴隷店をしているカングが立っていた。


「いや~お久しぶりです」


「お久しぶりです、同じ町に暮らしてるのに以外に会わないものですね」


「本当です……今日はどうしてこんな所に、冒険者になられたのでしょう?」


「はい、実は……」


 久々に会った友人と話すような感覚で近況報告をすると、カングはうんうんと、頷き大変でしたねぇと言い。


「それで、今は家の家具を売ってる店を探してると?」


「はい、今まで宿屋暮らしでしたけど家を買ったので、そちらに引っ越そうと」


「ホウホウ、ならいい店を知っていますよ、紹介しましょうか?」


「本当ですか!?」




 悠魔は困っていたので、カングの申し出は願ったり叶ったりでカングに同行して、家具の売ってる店に歩き出し、一軒の店に入ると店員に話しかけられた。


「いらっしゃいませ、どのような家具をお探しでしょうか?」


「えっと、ベットと小さいテーブルと椅子を探してます」


 店員に案内され店の中を回りいくつかの一人用のベットを見せてもらい、購入手続きをして明日までに家の方に運んでもらう様に手続きをした。テーブルと椅子はいいのが見つからなかったので結局自分で作ると言いカングに木材や道具が売ってる店を教えてもらい、そちらに買いに行った。




 家に帰り、買って来た木材をノコギリで切っているとアリスが帰って来て裏庭で木材を切ってる悠魔を見つけ近寄って来た。


「君は何をしてるんだい?」


「ん、テーブルを作ろうと思いまして」


「それを切ればいいのかい?」


 アリスに追いやられ木材からノコギリを抜き、アリスが一本の剣を取り出し何気なしに振るうと木材が半分に切れ。悠魔は初めから頼めばよかったと思い、指示を出し木材を切ってもらい日が暮れる頃には簡単な一人用のテーブルが出来ていた。


「えぇぇ! 悠魔さん出て行くんですか?」


「はい、家を買いましたので」


「上客だったのに……仕方ないか」


「お世話になりました、と言っても今晩は泊まるんですが」


 その夜は、少し贅沢な夕食を取り朝には家の方に移動した。


「アリスさんはそちらの部屋を使ってください」


「おや、一緒の部屋じゃないのかい」


 アリスは不思議そうに頭を傾げ、何故一緒の部屋ではないと言い出した、確かに宿の方では一緒の部屋で寝ていたが、今回引っ越して来た家は部屋が沢山あり悠魔には一緒の部屋で寝る理由がなかった。アリスアは少し不満そうだったが、悠魔の言う事は基本聞くので渋々納得して割り振られた部屋に入って行った。


「そう言えば、生活用品買いに行かないと……フライパン、鍋、石鹸……女性が必要な物が分からない」


 悠魔はアリスに生活用品を一緒に買いに行こうと相談しに行くと、アリスの部屋には大量の本や魔剣が放り出されて足の踏み場もなく、ベットの上にはアリスが座って本を広げ魔剣に何か刻印魔法を施していた。その光景を見て一瞬目を放しただけで、何故此処まで散らかせるのか不思議で仕方なかった。


「やぁ、どうかしたかい?」


「……いや、どうしたんですか? この部屋」


「ん、ああ、部屋を分けたのは正解だったよ……魔剣の調整をするのに君と同じ部屋なら、君の邪魔になるからね」


「そう言う事を言ってるんではないんですけど……まぁいいです、生活用品を買いに行こうと思うのですが女性の必要な物が分からなくて」


「それなら、ナナにでも聞いてくれ、僕が一般的な女性には当てはまらないからね、必要な物があれば自分で買いに行くから」


「……」


「言っておくけど、僕は魔女だからね人間とは体の出来が違うんだよ」


「……」


 悠魔はサッと目を逸らして、アリスはジトーと悠魔を見てため息をつき魔剣の方に視線を戻して。


「行っておいで、留守番は、僕がしておくから」


「はい、行ってきます」


 悠魔は、ナナの泊まっている宿に足を運び買い物に誘うと不思議そうな顔をして首を傾げた。


「部屋は空いてますから、住み込んで働いてもらうつもりだったんですが? すいません説明不足でした」


「私としては、助かるんだけど悠魔君はそれでいいの?」


「何がですか?」


 ナナの質問の意図を理解してない様に、今度は悠魔が首を傾げてナナに説明ではアリスとの生活の邪魔になるのではないかと言う事で、悠魔はそれを聞いて別にアリスさんとは特別な関係ではないと言い。


「本当にいいの?」


「別にいいですよ? 部屋は余ってますから」


「よし、宿代が浮く」


 引っ越しは買い物後にする事になり、二人は必要な生活用品を買いに町に出た。


「えっと、調味料、調理器具、食器、タオルや桶、その他雑貨……こんな物ですかね?」


「悠魔君、タオル多めにしておいてもらっていい?」


「構いませんが? どうしてですか」


「……」


 ナナは顔を赤くして言いだし辛そうに視線を逸らし、悠魔は少し考え何か納得したように謝りそんな悠魔を見て今度はナナが謝り、その場を後にした。


「悠魔君、薬草此処に置いておくわね」


「はい、ありがとうございます」




 その夜ナナが引っ越して来て、悠魔がポーションを作っていると、ナナが新たな薬草の束をテーブルに置いて悠魔の手元を覗きこんだ。


「何してるの?」

「ポーションの濃度を上げる方法を探してるんです」


 悠魔の傍には、粉末、ペースト状、千切り、など色々な加工がされた薬草が皿の上に置かれており、悠魔は一つ一つ煮ていった。


「こんな物も作ってみましたよ」


 悠魔は緑の粉と薬草の粉末を少量混ぜ湯呑に入れお湯を注ぐと緑茶の香りがして、それをナナに渡した。


「お茶?」


 ナナがそのお茶を飲むと効果は薄いがポーションと同じ効果が表れ、驚いた表情をした。


「まぁ、かなり効果は薄いですが疲れ位なら取れるお茶ですね」


「これ、美味しい」


「市場に、蜂蜜を混ぜたポーションが売っていたので、その真似をして作ってみました、この方法なら粉末で持ち歩けかさばらないので、冒険中の休憩の時とか飲めるかと思って」


「そうね、ポーションの瓶とかかさばるから」


 その後アリスがお腹を空かせて降りて来たが、悠魔は夕食の用意をすっかり忘れており、慌てて調理場に走って行き料理を始めた。


「それで、何を作ってたんだい」


 野菜と肉の炒めものをパンと一緒に食べており悠魔が工房に籠って作っていたものに興味を抱いた。


「ポーションの濃度を高める研究や今アリスさんが飲んでる薬草茶ですかね、薬草の粉末と茶葉の粉末を混ぜた物です」


「ん、このお茶、薬草が入ってるのかい全く気が付かなかったよ、通りで疲れが取れると思った」

 

 ポーションと名の付く物は飲むと体力や魔力を回復したり傷を治したりする効果があるが、物凄く苦く好んで飲む物はいなく、冒険やよほどのケガをした時しか誰も飲まない悠魔が市場で見つけたポーションも蜂蜜を入れて甘くなって、普通のポーションより飲みやすいがやはり美味しくはなくて悠魔は茶葉と薬草の粉末を混ぜた物を作った。


「まぁ分量の調節はかなり面倒でしたけど、薬草の苦みって強烈ですね……」


 悠魔は遠い目をしてしまいアリスは、苦労したんだなと思いを薬草茶を飲んだ。


「どう思います、これ売れると思います?」


「面白い物だと思うよ、後はそうだねもう少し苦めのも作った方がいいと思うよ」


「どうしてですか? こっちの方が飲みやすいですよ?」


 悠魔にはアリスの言っている意味が分からないようで、アリスが自分の湯呑を指さし。


「その理由は、冒険中となれば夜の見張りが必要だ、その時に苦めのなら眠気覚ましにいいと思うんだよ」


「確かに、それはアリですね――後で分量を調整してみます」


「ねぇねぇ、悠魔君これってお茶以外も作れないかな」


「例えば? どのような物です」


 ナナは考える様に頬に手を当て考え出して少しして、何かを思いついた様な顔をした。


「食べ物とかはどう? 悠魔君が前に作ってくれたクッキーとかならどう?」


「それなら可能ですけど、クッキーの材料て以外に高いんですよね」


「それなら、無理ですね」


「なら、これならどうだい?」


 アリスが食べていた黒パンを指さした。


「それなら、行けそうですね明日材料買って来て試してみますか」


「なら、朝一番で市場に行ってくるわ」


「お願いします」


 三人は夕食を食べながらそんな話をしてアイデアを出していった。

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