当日
力比べの当日。
円はこの日を生まれた時から待ち望んでいた。
それ故にかなり意気込んでいる。
風紀委員の警護体制を綿密に計画し例外が起きても対応出来る様にした。
ルールも誰かが倒れたり参ったと言えば負けと決めた。
恵理香が思わず竜田に「ルールの注意点から何やらで円の気迫がやばいんだ…」と漏らす程だった。
そんな円の気合いは打ち破られる。
一花と善丸がそうそうに敗北したのだ。
「妾だって力を制御出来れば勝てたのだからな!」
「そうですね。約束を守れる姫さんは偉いです」
「ゼンー」
なにやら青春の一頁、夕日に向かって走りそうなもしくはラブコメが始まりそうな雰囲気だった。
盛り上がる一花と善丸と対称的に円は魂が抜けた状態になる。
「円、円ー?」
バトルの前から燃え尽きた円を恵理香が思い切り揺するが反応が薄い。
だが恵理香に自分達の出番が近いので円は引っ張って連れて行かれた。
決勝戦まではとんとんと進んでいった。
その中で円は考えていた。
過去から考えるとこの力比べは随分と変わったモノになった。
「そうだ…それだけで充分じゃないか」
円は小さく呟き吹っ切れたように少し笑った。
恵理香はそんな円を物凄く優しい顔をして見ていた。
その様子を見ていた女子生徒が何人か黄色い悲鳴をあげていたのを本人達は知らない。
「やっぱりお前らが上がってきたか」
にかっと太陽の様に笑う遥都は嬉しそうにし、それに対し叶真は冷笑を浮かべている。
「先程までのを見ましたが風紀委員長は不調そうですが棄権してはどうですか?」
「円は今から絶好調だ!」
嫌みを言う叶真に対抗する恵理香。
円はそんな2人は気にせず目を閉じて集中した。
「では只今より決勝戦を始めます!」
審判の開始宣言より4人が動き出す。
円は水で小さな球を作り自分の周りに浮かべ叶真は雹で壁を作る。
恵理香と遥都は走りだした。
そして2人が組み手しようとした時「エリー先輩頑張ってー!」と竜田の応援が恵理香に聞こえてから彼女の動きは遥都の動きがわかってるようになめらかだった。
見事な背負い投げえを決めたのだ。
「あれ…?」
恵理香は自分の身に起きた事なのに凄く不思議そうな顔をしている。
それを見て投げられ唖然としていた遥都は笑い出す。
身軽に起き上がり恵理香の頭をポンポンっと撫でた。
「投げた本人がなんて顔してんだ?トーマ、負けたー」
「見てたからわかりますよ。簡単に投げられて情けない」
「ひでぇ、追い討ちかけやがった」
笑いながら遥都は叶真と去って行った。
「勝者、円・恵理香」
審判が高らかに声をあげる。
恵理香が笑って片手を上げ、円も笑い手をタッチした。




