22.将来を見据えた都市計画
「マスター、ここは拠点とするには、極めて優れた場所です。初めから都市計画を立て、街を拡大していくべきです」
『大剣者』が、そんなことを言った。
「都市計画……?」
「ああ、それ、私わかるわ。機能的な街というか、住む人が暮らしやすくなるように、どこに何を配置するとか、初めからしっかり決めるのよね。行き当たりばったりで作っていったら、後から修正するのが大変だものね」
伯爵令嬢でもあり才媛のクラウディアさんは、知っているようだ。
「その通りです。さすがクラウディアさん。まだ三人しかいませんが、今後のことを考えて、はじめに計画を立てた方が良いでしょう。私の超魔法AIによる知識で、簡単な設計図をつくりました。ご確認ください」
おお、さすが『大剣者』! すでに計画の素案があるらしい。
『大剣者』の鞘に埋め込まれた宝石の一つが輝いて、光を放射した。
驚いたことに、空中に画像が現れた。
この台地の形をベースに、何のスペースにするか書き込まれた街の設計図だ。
「中心となる城、住宅スペース、商工業スペース、農業のスペース、主要道路、などの案が表示されていますが、一番の設計思想としては、強固な城塞都市とするのが良いと思われます」
『大剣者』が、さらに説明をしてくれた。
「城塞都市って言うと、戦うことを前提にした、籠城戦ができるような都市ってこと?」
「そうです。断崖によって守られていると言うものの、それだけでは機能的ではありません。
断崖状になっている周囲に、さらに強固な外壁を建て、その上部には戦闘陣地を作ります。
襲撃してくる者がいた場合、この外壁が戦闘拠点になります。
遠距離から迎撃できるわけです。
これは空からの魔物の襲撃にも、有効です。
最終的には、この外壁を作り込み、様々な仕掛けを組み込んで、攻防一体の特殊構造体に仕上げるべきです」
「なるほど。確かに台地の外周に強固な防御壁を作って、そこを迎撃の拠点にするのは有効だな……」
「断崖状になっていない北側や東側西側の奥の方についても、戦略的に考えれば、外壁を設置するべきです」
「なるほど。確かに、台地をぐるっと一周強固な外壁で取り囲んだほうが安全だし、それでこそ城塞都市だ。ただ俺的には、今の……山の裾野と繋がった自然な感じが好きなんだよな……」
「山の裾野と接している部分については、ゆっくり考えればいいんじゃないかしら。すぐに外壁を設置する必要性は低いし。他にも代替案を考えても良いでしょうし」
クラウディアさんが、そんなフォローの発言をしてくれた。
まぁその通りだな。
これからゆっくり考えればいい。
俺は、改めて『大剣者』が示してくれている様々なスペースの配置を確認する。
やはりこの台地の奥の方つまり北側は、農業エリアとなっている。
大きな湖や二本の川があるので、水源が豊富なのだ。
日当たりの問題があると言っても、台地自体が大きいから、山で日陰になるエリアはそれほど多いわけじゃない。
日当たりの良い場所と悪い場所を見極めて、植える作物を決めれば問題ないだろう。
農業エリアの南側、正面から見ると手前が、城や居住スペースとなっている。
大きな住宅街で、メイン通りが縦横にいくつかある。
メイン通り沿いは、商店などが立ち並ぶいわゆる商業エリアになる。
メイン通りから少し離れた奥まったところが、職人たちが集まる工業エリアだ。
所々に、人が集まれる大きな広場のようなものが設置されているのが、俺的には気に入った。
さすが『大剣者』だ。
ざっくりしているものの、中身的にはすごく良い。
修正の必要は、ないんじゃないかな。
将来的に、こんな感じのイメージの都市になると思っておけば良いだろう。
ただいかんせん住民は、今のところ三人だ。
この都市計画は、あくまで将来のイメージだ。
場合によっては、ずっと三人かもしれないし。
そんなわけだから、とりあえず現実的な……今住む場所の構想を考えよう。
構想と言っても、当面、俺たち三人が暮らす家を建てればいいだけだが。
そこで、川の近く……農業エリアの予定地の中で、断崖側つまり南側に近いところを、当面の拠点にすることにした。
将来的には、別の場所にしっかりとした家を建てるつもりだ。
だが、そうなった後もこの最初の拠点の場所は、農作業をするときの休憩所にしたり二次利用ができるから、無駄にはならないのだ。
本当は家を建てたいのだが、大工技能を持っているわけじゃないから、一旦はクラウディアさんが持ってきた野営用のテントを張って、暮らすことになるだろう。
そしてそれ以前に、この周辺のさらに細かな探索が必要だ。
思ったよりも魔物はいないみたいだが、寝てるところを襲われるのは勘弁だから、探索をしておかなねばならない。
「上空からの調査により取得した情報で、この台地の大まかな生物分布を作成しました。
魔物は広範囲に分布していますが、数自体は多くありません。
イノシシ魔物、ウサギ魔物、ネズミ魔物、キツネ魔物などが多く、特に強敵となるような魔物は、上空からの検知では確認できませんでした。
これらの魔物は、むしろ食材として、当面の資源と考えても良いでしょう。
また強い魔物がいないこともあり、通常生物もかなり生息しています。
魔物の領域の中では、かなり豊かな生態系といえます」
『大剣者』が、そんな報告をあげてくれた。
やはりこの台地は、すごくいいところだ。
今いる魔物を駆逐してしまえば安全になるし、生物自体もいろんな種類が住んでいて、豊かなのだ。
それを活かすためにも、今ある森の部分はできるだけ残すようにしたい。
俺たちは、手初めに拠点周辺の探索をすることにした。
ついでに、食べられそうな果樹や野草も探すつもりだ。
拠点の近くにあれば、理想的である。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
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