20.今後のための準備
俺は、クラウディアさんとラッシュと共に、街に戻り、五日ほど過ごしている。
俺を追う為に、わざと追放されてやって来た二人と出会ったあの日、話し合いをして、しばらく静かに街で過ごすことにしたのだ。
『北端魔境』でも生き抜けるような力を得て、もはや王国に従う必要はないのだが、今後の様々な準備の為に、『ショウナイの街』で過ごすことにしたのである。
準備をするといっても、必要なものが揃うような街ではないが、それでも手に入る物もある。
ちなみに、一人当たり一日に『魔芯核』を二つ『冒険者ギルド』に納めなければならないが、その分の魔物は既に倒してある。
ノルマについては、余裕だ。
大量の魔物を倒してあるが、正直に申告すれば、その分だけ『魔芯核』を納めなきゃいけなくなるので、内緒にしている。
三人でパーティーを組んで、毎日魔物を倒しに出かけている体裁にして、ストックの中から納めているのだ。
そして少しでもお金を稼ぐために、三人分の魔物つまり六体分の魔物の素材や肉なども、ギルドの買い取りに出して、換金している。
ギルドの職員は、肉の多さにかなり驚いていたが、何とか換金できている。
三人のパーティーとは言え、通常なら角や牙などの金になるパーツを運んでくるのがやっとで、肉までは運べない。
もちろん俺が持っている『大剣者』の『亜空間収納』は秘密だし、クラウディアさんが持ってきた『魔法カバン』についても、防犯のために秘密にしている。
難癖をつけられても困るからだ。
だから荷車を手に入れて、それを使って何とか運んで来ているというかたちにしているのだ。
そんな感じで苦労して運んだ演技をしているので、何とか買い取ってもらっているのだが、魔物の肉については、量が多くて処理しきれないなどと言われて、かなり安く買い叩かれた。
それでも、ある程度の金額が作れたので良かった。
『加護ガチャ』のお陰で手に入れた金貨が大量にあるから、無理して換金する必要もないのだが、どうせなら少しでも稼いだほうがいいとみんなで話し合ったのである。
それから、実は『大剣者』の『亜空間収納』の中の魔物の死骸の数は、どんどん増えていっている。
『魔芯核』を納めるノルマという観点からすれば、もう充分あるので倒す必要は無い。
だが、ここ数日、様々な準備をしながら、魔物狩りも行っていたのだ。
魔物の領域に入るふりだけではなく、本当に入って、魔物を倒していたのである。
それは、俺たちのレベルを上げるためだ。
そして、もう一つ目的があった。
魔物の領域の中で、少なくともここの周辺部分についての生態調査をしたかったのである。
どんな魔物が、どのあたりに出やすいかを調べているのだ。
もちろん完全ではないが、大体の傾向が掴めれば良い。
そしてこの魔物の領域の森の中で、食料にできる果実や野草などの生育場所も探している。
そんな事ことをやりながら、夕方には街に戻るということを繰り返していたのだ。
街では、住民についての把握を行った。
そもそもが百人程度の人口なので、全員に会うこと自体は造作もない。
人口レベルから言えば、街ではなく村という規模なのだ。
日常的な会話をして、人となりなどを調べ、書き留めている。
罪人が送られるような場所なので、酷い奴が多いのかと思っていたが、意外とまともな人もいた。
俺のように大した理由もなく送られたり、濡れ衣を着せられて送られた人も何人かいた。
送られてくるほとんどの者は、魔物を狩る冒険者として活動しなければならない。
それゆえに、ほとんどの者は命を落としてしまうわけだが、大工仕事ができるとか、鍛治ができるとかの技能がある者は、守護の判断などで免除され、街の中で暮らすことが可能になるのだそうだ。
そういう者だけが、ここに送られても長く生き残っていると言ってもいいようだ。
以前は、冒険者でずっと死なずに活動している人も何人かいたらしいが、恩赦を受けたり、その活動が認められて、軍の特殊な部隊に召集されたりしたらしい。
そんなこともあり、現在は、ベテランの腕利き冒険者と言える人はいないようだ。
こんな感じで、人に関する情報を集めているのには、理由がある。
実はこれから俺たちが住む場所に、勧誘できる人を探しているのだ。
実際問題三人で住むといっても、できることは限られる。
できれば、職人系の人が来てくれると、いろいろ助かるわけなのだ。
俺たちが住もうと思ってるのは、『北端魔境』だ。
そう、この王国の領域外で、魔物の巣窟とも言える魔境に住むことに決めたのだ。
普通なら完全な自殺行為だが、俺のスキルをもってすれば何とかなりそうだし、実は、住むのに適した場所を既に見つけてある。
『大剣者』が、候補地を教えてくれたのだ。
『大剣者』を解放した大岩の場所を更に奥に進んだところに、大きな連山がある。
その連山は少し歪な形になっていて、街から見て、東、北、西にあり、台地を囲むような形状になっている。
森を抜けた正面が大きな断崖となっていて、その上は平坦な場所になっている……つまり巨大な台地になっているらしいのだ。
その台地を三方から取り囲むように、三つの山が連なっているのである。
上から見たとすれば、台地を包むような半円形……アーチ状に三連山が配置されているということなのだ。
台地の部分は、かなり広大で、森のような場所もあるが、ほとんどは草原のようになっているらしい。
街を作ったりするには、最適な場所と言えるだろう。
もっとも、魔物の領域のど真ん中にあるわけだから、そこに住もうとする者はいないだろうが。
今日は、これからその場所を確認に行く。楽しみだ。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
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