195.逸失レシピが二枚もあったら、本気出す!
俺は、仲間たちに今起きたことを説明した。
『100連エクストラモード10回』を選んでガチャを発動させたところ、途中で『ハッピーアクシデント』が発生し、特殊な限定ガチャになったこと。
その後に、『ハッピーアクシデント』の初回ボーナスとして、通常の『10回』ガチャの特別バージョンが引けると案内され、それを実施したことを報告した。
みんな驚いているようだが、どちらかというと期待感がすごい。
どんなものが出たのか、早く知りたいのだろう。
まぁその気持ちは、俺も同じだ。
はやる気持ちを抑えつつ、順番に何が出たのかをみんなに話しながら、確認をしていこうと思う。
まず『100連エクストラモード10回』のガチャで出たものからだ。
最初に出たのは、『魔法薬—— 美肌活性剤』のレシピで、階級は不明だがレア相当ということだった。
前にガチャをやった時に、『魔法薬——育毛活力剤』のレシピを手に入れたが、同じようなものだろう。
『育毛活力剤』は、現代では販売されていないもので、失われたレシピだろうという結論になっていたが、今回の『美肌活性剤』も失われたレシピである可能性が高い。レア相当と言っていたし。
そんな話を振ってみると……
「間違いなく失われたレシピだと思うわ。
『美肌活性剤』なんて聞いたことがないもの。
どんな効果があるのか、すごく気になるんだけど」
クラウディアさんがそんな意見を言って、真剣な表情で俺を見つめた。
そして周りのみんなも、頷きながら俺に説明を求めてる眼差しを向ける。
俺は、早速レシピを広げた。
前回同様、巻物になっているのだ。
そこには、『育毛活力剤』と同じ形式で必要な素材や調合の仕方が書いてあった。
どう見ても同じ人が作ったレシピだろう。
この二つは、シリーズ物と言って良いのかもしれない。
『美肌活性剤』の効果も記載されている。
『体表面の組織を活性化させ、肌のハリやツヤを良くする。肌を美しく保つ効果がしばらく続く。傷跡を薄くしたり、シミを取ったり、皺を伸ばすなどの効果もある』と書いてあった。
これを聞いてみんなは、ざわめきたった。
少し目が怖い。
やはり女性にとっては、美容は重要なことらしい。
「これは間違いなく売れるわ! この魔法薬を再現できたら、すごいことになっちゃうわよ!」
クラウディアさんが、興奮気味に声を弾ませた。
「私もそう思います! 『育毛活力剤』の時は、戦乱の世になるから売れないんかと思いましたけど、美肌は正義です! どんな乱世でも、きっと売れちゃいます!」
ラッシュまでが、興奮している。
「そうね。すごいことになっちゃいそう! 大儲け間違いなし! 『ヤマダイ国』の主力産業にしてもいいんじゃない!」
イリーナもノリノリだ。
「貿易でも稼げちゃいますよ! 『ヤマダイ国』の名を売るためにも、目玉商品にしましょう!」
おっとりした感じのフランソワなのに、何故かちょっと怖い笑顔になっている。
「私も、その……肌がより美しくなるというのであれば、素敵だと思います」
どう見てもツルツルの美肌で『美肌活性剤』など必要なさそうなサクラさんまでが、そんなことを言った。
なぜか、頬を少し赤らめている。
「製造部門を立ち上げてもいいんじゃないですか?」
「すぐにでもやったほうがいいよね。戦乱の世になるとしても、日々の生活は大事!」
ミーアもレオナも、乗り気なようだ。
「マスター、逸失レシピが二つも揃ったのは、おそらく意味があることです。
二つとも嗜好品と言える存在で、命優先の戦乱の世の中では、必要不可欠ではないでしょう。
ですが、レオナの言う通り乱世だからこそ、日々の生活を充実させ、潤いを持たせるものが必要ともいえます」
なんと、『大剣者』までが意見を言ってきた。
必要な時以外は、あまり発言してこないのだが……という事は、やはりこのレシピの活用は必要なことなのか。
「ご主人様、これらの魔法薬の製造をお任せいただけませんか?
このメイは、天真爛漫で可愛いだけでなく、魔法薬の調合もできちゃったりするのです!」
今度は、メイド型ゴーレムのメイが発言した。
メイは、さっきまで休息モードに入ると言って、寝ていたというか活動停止していたのだが、突然起きてきての参加だ。
そして、相変わらずめっちゃ可愛い笑顔を作った後に、てへぺろ顔になった。
普通なら自分のことを天真爛漫で可愛いなんていう子がいたら、ツッコミたいところだが……メイの場合は、ツッコむ気がなくなるくらい可愛いんだよね。
それはともかく、みんなもノリノリだし、逸失レシピだし、本格的に作ることにしよう。
仲間たちが言うように、『ヤマダイ国』の主力産業の一つにするつもりでやるか。
「じゃぁ実際に作ってみて、問題なければ本格生産して、主力産業になるくらいまでやってみようか?」
「それがいいと思うわ。
『育毛活力剤』のほうも、薄毛の人の発毛や育毛を促すだけでなく、髪質を艶のあるサラサラ髪にできるから女性にも確実に売れると思う。
『美肌活性剤』とセット販売しても、売れると思うわ。
少なくても、貴族女性やお金のある商家の女性は必ず買うわね。
販売する価格帯によっては、一般の女性たちもみんな買うでしょうね。
ちなみに、貴族男性も見た目を気にするから両方セットで買っちゃうと思う」
クラウディアさんが、まくし立てるように言った。
かなりやる気だ。
「先輩、私たちの中で、この魔法薬を作るメンバーを決めませんか?」
ラッシュがそんな提案をしてきた。
担当を決めるのか……それもありかもしれないな。
面白い事はみんなでやりたいが、その前段階の準備とかもあるし、担当を決めた方がいいかもしれない。
「そうだな、そうしようか。誰かやりたい人はいる?」
俺が尋ねると、一番に手を挙げたのはミーアだった。
「レオナがいいと思う。レオナは、手先が器用で色んなことができるんです!
攻撃用の小道具を作ったり、魔法薬の調合も簡単なものだったらできるんです」
自分がやりたいというわけではなかった。
親友のレオナの推薦だった。
俺は、レオナに視線を送る。
「私でいいなら、やりますよ」
「じゃぁ、お願いするよ」
「あー、私も入りたい! なんか面白そうだもん」
そう声を上げたのは、イリーナだ。
イリーナにも入ってもらうことにした。
「ご主人様、私もお手伝いいたします」
メイも、さっきに続き二度目の立候補だ。
もちろん、メイにもお願いすることにした。
ということで、逸失レシピの魔法薬の再現及びその後の生産方式の確立については、レオナ、イリーナ、メイに任せることにした。
即席チームの完成だ。
さしずめ、『チーム魔法薬』といったところか。
今後の活躍に期待したい。
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