136.ノッカー族も仲間に
俺たちは、新たに仲間となった『ハッピーハーピー』たちを連れて、『魔境台地』に戻った。
『魔境台地』では、撃退した魔物たちを皆が片付けていた。
みんな魔物撃退後は、俺たちの応援に駆けつけてくれようとしていたのだが、その場で待機するように指示を出していたのだ。
『小剣者』を持っている守備隊のラッカラン隊長が、みんなで救援に向かうと連絡してきたのだが、すでにそういう状況ではなかったので、戻るまで待機しているようにと伝えていたのだ。
降り立った『天船』の周りに皆が集まって来て、出迎えてくれた。
俺は、留守番組の危機に救援に駆けつけてくれた『ノッカー族』のガガン族長と、『河童族』のドギア族長に礼を言った。
彼らの応援がなければ、多くの者たちが、命を落としていただろう。
「約束ですから、お気になさらずに。これで恩を返せましたので、我らとしても良かったですじゃ」
ガガン族長はそう言って、にこやかに笑った。
話を聞けば、戦闘ができない住民たちは『ノッカー族』の里に、避難させてくれたとのことだった。
さすが族長だけあって、咄嗟に機転を働かせてくれたみたいだ。
俺は、改めて礼を言った。
「ヤマト様、ご無事でなによりです」
「ドギア族長、よくここの危機が分かりましたね? 近いとは言え、里とはかなり距離があると思いますが」
「ええ、日頃から周辺情報は拾うようにしておりますから、ここに異変があれば、すぐにわかります。
ここに一緒に住むことはできませんが、何かあればすぐに駆けつけます」
「ありがとうございます」
やはり、『河童族』の皆さんは頼もしい。
俺は、『ノッカー族』と『河童族』の戦士たちにも声をかけ、その労を労った。
「ほんの一瞬ですが、悪魔の気配のようなものを感じました。もしや、悪魔が……?」
『河童族』のドギア族長が、改めてそう尋ねてきたので、俺は、ここにいる人たちに、今回の魔物の襲撃の真相について説明した。
「なるほど、そうでしたか」
「今後も、気をつけねばなりませんな」
ドギア族長とガガン族長が、神妙な面持ちで言った。
「そうですね。周辺の哨戒の強化や、緊急時の対応など、いろいろ考えておくべきでしょうね」
俺はそう言って、後日改めて打ち合わせをすることにした。
それから、今回頑張ってくれた人族の戦士たち……ラッカラン隊長を始めとした兵士たちにも、労いの言葉をかけた。
彼らはレベルもそんなに高いわけではないし、実戦経験も豊富なわけではない。
そんな中、臆することなく、よく頑張ってくれたと思う。
今回の戦いで、レベルが上がった者も多い。
皆、喜んでいる。
そしてやる気にもなっているようだ。
今後が楽しみである。
それから、『ノッカー』たちの攻撃によって、撃ち落とされていた『ハーピー』たち二十体がいたが、完全回復させた。
その後、先程と同様の手順で名付けを行った。
更には、族長クインによって、皆『ハッピーハーピー』へと進化した。
『ハッピーハーピー』は、これで八十一体になった。
これが、もともとの一族の数だったのだ。
そんな感じで少し落ち着いた時、『ノッカー族』の族長が俺の前に進み出た。
「ヤマト殿、いやヤマト様、我ら『ノッカー族』のマイニング氏族も、あなた様に従いましょう。
今回も悪魔が絡んでおり、明らかに、この地は大きな渦の中にあります。
傍観していることなどできません。
旧友である『河童族』のドギアからも、話を聞きました。
テラス様の寵愛を受けているヤマト様こそ、渦の中心でしょう。
我らの力を、遠慮なくお使いください」
なんと、仲間になってくれるようだ。
「ありがとうございます。では『河童族』や『ハーピー族』のみんなと同じように、仲間に、この国の国民になってください。
もちろん、今の里に住み続けてもらって構いませんので」
「分りました。それでは、そういたします。
我らの里は、この『魔境台地』の西の山を越えた先にあります。
西側の守りを担当しましょう。
『河童族』が北側、『ハーピー族』が東側、我らが西側を守るということで、いい配置となりましょう。
それぞれの里の規模は小さいですが、衛星都市というか、防衛都市的な役割も果たせましょうぞ」
ガガン族長はそう言うと、男前な笑顔を作った。
ドギア族長とクイン族長も、笑顔で頷いている。
俺は、固い握手を交わした。
『ノッカー族』のみんなも、喜んでくれている。
俺が以前助けた『ノッカー』の少女キュキュちゃんが、嬉しそうに飛び跳ねながら、俺の周りを回っている。
あまりの可愛さに、頭を撫でまくってしまった。
そんな様子を見ていた『ハーピー』の少女モモちゃんが、少し恥ずかしそうに、俺のそばに来て手を握った。
何だろう、甘えたいのだろうか?
俺は、モモちゃんの頭も撫でてあげた。
キュキュちゃんが、モモちゃんに話しかけてくれて、二人はほぼ一瞬で、仲良くなっていた。
そのうちに、俺の事はどうでもよくなったのか、二人で楽しそうに走り出してしまった。
それは、良いのだが……何となく寂しいような気持ちになるのは何故だろう?
俺としたことが、まさか父性愛的な……いやいや、ないな。
それから、倒した魔物の数がすごいことになっている。
どれも肉として食べれるから、そういう意味ではありがたいのだが。
『ハーピー』たちが追い立ててきたのは、東側の山の周辺に生息していた魔物たちだ。
今東側の山には、ほとんど魔物がいないのではないだろうか。
そう思えるほどの魔物の数である。
いくら人数が増えたとは言え、今の俺たちでこれだけ魔物を処理するのは厳しいので、処理できる量だけ残し、残りは『大剣者』の『亜空間収納』に回収しておくことにした。
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