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135.ハッピーハーピー

「行きます! クラスチェンジ! ハッピーハーピー!」


 クインが叫ぶと、瞬く間にその体が光に包まれる。

 球体に広がったその光は、まるで繭のようになった。


 数秒で光の繭が弾けると、クインが現れた。


 その姿は………


 なんと人の姿……いや正確には、背中に翼を生やした人の姿だ。


 そして、やばいことになっている。


 俺は、すぐに後ろに振り向いた。


 今まで下半身は、羽毛に覆われていたのだが、今は人の下半身になっているので、何も身に付けていないのである。


 かろうじて、上半身の胸のところは、もともと巻いていたサラシのようなものが残っているが。


 クラウディアさんが、慌てて布を取り出し、腰に巻きつけている。


 当のクイン本人は、羞恥心を感じるよりも、自分の姿に驚いているようだ。


 何よりも驚いているのが、手がついていることだ。

 クラスチェンジする前に、ある程度の情報はわかっていたわけだが、それでも実際に手が生えると衝撃的なのだろう。


 今までは、手は翼だったわけだが、人の手がついているのである。


 不思議な感覚のようで、手をしきりに動かしている。

 また翼も動かして、感覚を確かめているようだ。


 翼は背中に移動したわけだが、腕だった時と同じように、かなり自由に動くみたいだ。


「ヤマト様、ありがとうございます。無事にクラスアップすることができました」


「よかったね。体は大丈夫か?」


「まだ慣れませんが、大丈夫です。

 手があるというのは、こういう感覚なのですね。

 これで我らも、手で物を掴んだり、剣を振ったりできます。

 きっと役に立ってみせます!」


「ありがとう。でも無理する必要は無いから」


 俺は、クインに一応断りを入れて、改めて『アナライズ』で『ステータス』を確認させてもらった。


 『種族名』が『ハッピーハーピー』に変わっている。


 レベルは60のままなので、クラスアップしたからといってレベルが1に戻るとかいう事はないようだ。


 そして『称号』の所には、なんと『ハーピーの先駆者』とある。

 新しい第五のハイクラスに、チェンジしたからだろう。


 『通常スキル』は、元々いろいろ持っているが、変化は無いようだ。


 特筆すべきは、『種族固有スキル』に新しいものが、二つ追加されていることだ。


 今までの『ハーピー』の『種族固有スキル』の『羽根剣(フェザーダガー)』と『魅惑の羽ばたき』は、そのまま残り、新たな『種族固有スキル』として、『ハッピーなハーピー』と『ハッピーダンス』というのが発現している。


 『ハッピーなハーピー』は、同族に対し、『ハッピーハーピー』へのクラスアップの力を与えることができるというものである。


 『ハーピー族』の秘められた能力が開放されたことにより発現した『種族固有スキル』だとも表示されている。


 もしかしたら……『光魔法——光の洗礼』が効いていたりするのか?

 『光の洗礼』で、『河童族』の失われた力を取り戻すことができたが、『ハーピー族』の秘められた能力を解放するのにも役立ったのかもしれない。


 このスキルは、対象の承諾さえあれば、レベルに関係なく、『ハッピーハーピー』に進化させることができると説明されている。


 レベル60を超えなくても、本人が望めば『ハッピーハーピー』になれるということなのだろう。


 もう一つの『種族固有スキル』である『ハッピーダンス』は、対象又は対象群の『気力』『スタミナ力』『魔力(MP)』を回復させる能力のようだ。


 効果範囲が広いようなので、味方全体の『基本ステータス』の『気力』『スタミナ力』『魔力(MP)』を、回復することもできるだろう。

 『身体力(HP)』以外の『基本ステータス』が、全て回復できるというのはすごい。


 攻撃に使える『種族固有スキル』が増えていないので、『ハッピーハーピー』は支援特化型の『ハーピー』なのかもしれない。

 もしくは手が生えているから、攻撃力に関しては武器などを持って補うことを前提にしているのかもしれない。


 まぁそもそもクラスチェンジの際の種族の説明に、オールラウンダー型と表示されていたようだから、支援特化型というよりも汎用型ということなんだろうけど。


 俺は、残りの『ハーピー』たちに対しても、同様の手順で名前をつけてやった。


 全部で、六十体もいたので、かなり大変だった。


 みんな名前を与えられたことによって、何かしらの能力上昇があったようだ。

 『基本ステータス』か『サブステータス』のどれかの項目が上昇したり、族長と同じようにレベルが上がった者もいたので、経験値を入手した者もいたようだ。


 俺に助けを求めた『ハーピー』の少女には、髪色からの連想で、モモと名付けた。

 この子に至っては、なぜかスキルを取得していた。


 しかも、『通常スキル』ではなく『固有スキル』を取得したのだ。


 『固有スキル』を取得するというのは、非常に稀なことである。

 人族でも他の種族でも、取得する者は少ないのだ。


 モモが取得した『固有スキル』は、『守りの翼』というもので、魔力で作った翼を防御障壁として展開するというものだ。


 『固有スキル』というのは、その者の“魂の願望の現れ”である場合が多いと聞いたことがある。


 モモは幼いながらも、仲間を守りたいという意識が強いのだろう。

 そんな願望の表れとして、この『固有スキル』が発現したに違いない。


 現に、モモの必死の頑張りで、仲間たちが救われたわけで、この子は凄いと思う。


 それから、『ハーピー』たちは、族長であるクインの『ハッピーハーピー』としての『種族固有スキル』の『ハッピーなハーピー』を発動してもらって、全員『ハッピーハーピー』にクラスチェンジした。


 レベルに関係なくクラスアップできるのだから、すごい能力である。


 みんなに手が生え、人型になったわけだが、クラウディアさんたちは、大慌てだった。


 なぜなら、下半身が裸になってしまうからだ。

 この人数にあてがうだけの布は、さすがになかったわけで……途中からは、草などの素材を束にして腰に巻いていた。


 今、『ヤマダイ国』で緊急に必要な物資は、布になってしまったようだ。




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― 新着の感想 ―
[一言]  ハッピーハーピーバースデー!(なぜか文字にしたくなった)
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