13.計画的な追放?
「どうして、そんなこと?」
俺は、わざと追放されるように仕向けたというラッシュとクラウディアさんに、事の次第を詳しく尋ねた。
それによると……俺が追放されたことを聞いて怒って文句を言おうとしていたラッシュを、クラウディアさんが諫めて、二人で一緒に俺の後を追うことを決めたのだそうだ。
最初は、普通に職を辞して馬車でここに来ようかとも思ったらしいのだが、かなりの時間を要するので、いっそのこと追放されてしまおうと考えたらしい。
そうすれば、転移門で送られるだろうと予測したとのことだ。
転移門なら、一瞬で来れるから。
そして勇者を挑発して、追放されるという筋書き通りの展開を見事に実現させたらしい。
それにしても、無茶苦茶すぎる。
うまく事が運んだからいいようなものの、下手をしたら、その場で殺されていた可能性すらある。
大体、こんな流刑地とも言える『北端魔境』に追放されることは、死刑と同じようなものだ。
現に今だって、死にかけていた。
「なんでそこまでして、追って来たんですか?」
「だって……ヤマト君が心配だったし……ヤマト君を追放する国のためになんて、働きたくなかったのよ」
「そうです。私はヤマト先輩に……す、全てを捧げるって誓ったんです。先輩のいるところが……私のいるところです……」
二人はそう言って、ウルウルしながら俺を見つめている……。
……なんでこの二人は、こんなにまでして俺について来てくれるんだろう……?
クラウディアさんは、俺をスカウトした責任を感じてくれているのかなぁ……?
ラッシュはどうしてだろう……?
今まで普通に同僚として、話をしていただけなんだけど……?
まぁでも来ちゃったものはしょうがない。
今更追放処分は覆らないだろうし……この二人の気持ちに応えて、今後は俺が二人を守ってあげよう。
守れる力も手に入れたし、なんとなくだが、テラス様が言っていた俺のもとに集まってくる人たちの第一号かもしれない。
……いや、確実にそうだ。
死ぬかもしれないのに、わざわざ追放されてまで追って来てくれたんだ。
家族として、俺が大切にして、守らないと。
「もう追放処分は覆らないだろうし、俺のために来てくれたみたいだから、これからは一緒に生きて行こう!」
「も、もちろん! そのつもりで来たもの」
「うれしいです! 先輩のために、がんばります!」
「じゃぁ今日から、三人でパーティーを組もう。……家族のようなパーティーを」
「う、うん……わかった。その覚悟は……できてる……」
「あ、ありがとうございます。不束者ですが、よろしくお願いします。先輩に一生懸命尽くします……」
なぜか二人は、真っ赤になっている。
まぁ……俺も家族っていうのは、少しこそばゆいけど。
「ありがとう。じゃあ……とりあえず今後の方針を少し話そうか。あ、でもその前に……どうして二人は、魔物の領域に入ったの?」
「ちょっと無謀だとは思ったけど……ヤマト君が帰ってこなかったから、心配で探しに来ちゃったの」
「それに、一日二つの『魔芯核』を納めなきゃいけないっていうのも、ありましたし」
「そうか……。それにしても、武器とかどうしたの? まともな物は売ってなかったでしょう?」
「それはねぇ……大丈夫だったのよ。計画して追放されたから、服の下に魔法カバンを隠し持って来たの。その中に、手配できた物は、いろいろ詰めてきたから! 食料、回復薬、武具とか……ある程度のものは持って来れたのよ!」
「そうなんですか。さすがクラウディアさん!」
準備万端とまではいかなくても、かなり準備して追放されたわけだ。
どうりで二人とも、それなりの軽鎧を身に着けている。
武器は、クラウディアさんが槍で、ラッシュは短剣の二本使いだ。
もう少し詳しく聞いたところ、クラウディアさんが持ってきた魔法カバンには、かなりの物資が入っていた。
伯爵令嬢の力を活かし、多様な物資を持って来てくれた。
俺が追放されてからすぐに事を起こしたので、あまり時間がなく、最低限の調達と言っていたが、俺から見れば、かなりの充実ぶりだ。
保存食もかなりあるようなので、当面食べる物に困ることはないだろう。
まぁ食べるだけなら、魔物を倒してその肉を食べればいいんだが。
各種の回復薬も一通りあり、安心感が増す。
武具も、それなりに良い物を持って来ている。
だが、あまり良い武具を装備すると、変に目をつけられる可能性があると考え、魔物の領域に向かうときには、程度の良くない方の軽鎧を身に付けて、武器もそれなりの物にしたらしい。
クラウディアさんは、伯爵令嬢だが武術のたしなみもあり、剣と槍を使えるそうだ。
ただ一番得意なのは、魔法銃らしい。
本当は、魔法銃を使いたかったみたいだが、魔法銃を持っている冒険者は少ないので、目をひかないように槍を持って街を出たのだそうだ。
そして、魔法銃にチェンジする間もなく、魔物と遭遇してしまったらしい。
クラウディアさんは、俺より年上の二十一歳で、綺麗な黄金色の髪が胸のあたりまで伸びている。
いかにも貴族令嬢といった気品のある顔立ちの人だ。
スレンダーなのに巨乳という反則級のボディーでもある。
レベルが20で、衛兵並みの高さであり貴族令嬢としては、破格のレベルだと思う。
一方のラッシュは、俺の三つ下の十五歳で、ケモ耳と尻尾がある亜人少女だ。
亜人にもいろんな動物の種類があるのだが、彼女は珍しいラーテルという動物の亜人なのだ。
銀髪に可愛い黒い耳が乗っている。
彼女は小柄なのだが、引き締まった筋肉質の体をしていて、クラウディアさんほどではないがアピールの効いたグラマラスボディである。
サポート部隊にいた時から、力持ちで大きな荷物も普通に運んでいた。
動きも俊敏で、いつもキビキビ働いていた。
機転も効くし、すごくできる子という印象だった。
彼女のレベルは15だ。
亜人は、人族よりも運動能力が優れている傾向にあるので、鍛えれば強い冒険者になるかもしれない。
ラッシュの自己申告によれば、素早い動きで体術を絡めた接近戦が得意とのことだ。
短剣二本を逆手に持って構える戦い方が、しっくりくるとも言っていた。
サポート部隊にいる時から、戦える力をつけるために、密かに訓練をしていたらしい。
俺は、自分の身に起きたことを彼女たちに説明した。
無闇に話す気はないが、彼女たちはこれから共に生きることにした家族なので、隠す必要はない。
「……そんなことが……。やはり私の見る目は、間違ってなかったわ。なんか嬉しい」
「さすが先輩です! 『聖者』の『称号』を得るなんて! しかもテラス様と会話して、スキルを授かるなんて。おまけに、『神器』級の武器まで……」
二人は、俺の話を聞いて一瞬固まっていたが、今はすごく嬉しそうな顔をしている。
「この力を使って、二人を守るよ」
「ありがとう。ヤマト君……凄い力を手に入れたんだから、もう王国に縛られる必要はないんじゃない? 毎日魔物を二体倒して、『魔芯核』を納めるっていうのも、今のヤマト君なら余裕だろうけど……」
「そうですよ先輩。私たちだけで暮らすっていうのはどうですか? 王国に『魔芯核』を納めるなんて、癪に触るじゃないですか」
「……確かに、そう言われればそうだね。ただ……三人で暮らすって言っても……、長い目で先のことも考えないとね。そうだ! みんなで意見を出し合って、今後の方針を決めてしまおう」
俺たちは、街に戻る前に、少しこの場で今後の事について詰めることにした。
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この物語は、私の書いているもう一つの連載「異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜」と、同一世界線の違う時代の違う場所の物語です。
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