02
「………来ませんね?」
「ああ、いくら何でもおかしい」
今日の紅茶はレインボーカラーのグラデーション。
見た目さえ気にしなきゃ味は絶品です。
(ますた、おなかへった)
リンゴでいいか?ほら。
シャクシャクとリンゴを食べつつご機嫌なハク。
「何かあったのかな…」
待てど暮らせどカリナが来ない。
さすがにギルドマスターも心配そうだ。
この町はわりと治安も良さそうだけど、万が一ってこともあるし…
「ヨシト、申し訳ないが頼まれてくれないか?」
「いいですよ、カリナはどこに泊まってるんですか?」
「ユニコーン亭だ」
ユニコーン亭って、俺が泊まった金獅子亭の隣か。
最初そっちに行ったら女性専用で断られたんだ。
「じゃあちょっと見て来ます」
レインボー紅茶ごちそうさまでした。
さ、ハク行くぞ。
◇◇◇◇
カリナはすぐ見つかった。
「ふわぁ……むにゃ……」
「もう、歩きながら寝ないでよ!」
カリナと、歩きながら寝るという器用な事をしてるメイド姿の少女。
しかも、またもや猫耳!猫耳メイド!!
カリナ黒猫なら、こっちは白猫だ。
「らいじょうぶ、れふ、おきてまふ……」
「寝てるじゃないの!もう先生たち待ってるのに!」
なるほど、これが遅刻の原因か。
「おい、カリナ?ギルドマスター待ってるぞ」
「ヨシト!」
「何やってるんだ?道の真ん中で…その子は?」
「説明するから、お願い!手伝って!」
何で俺が……あぁもう、そんな顔するな。
はいはい背負いますよ。
「ふにゅ〜〜…」
立ったまま寝てる猫耳メイドを背負い、カリナを連れギルドマスターの部屋へ。
ソファで気持ちよさそうに寝てるメイド少女のことは、ひとまず放っておこう。
「まさか追いかけてくるなんて…行先だって言わなかったのに」
「さすがサマンサ、カリナの行きそうなところは把握済みか」
この猫耳メイド少女名前は、サマンサ・クロム。
カリナの幼馴染でもある、側近中の側近。
武術…暗殺術に優れ、カリナの警護を担当。
普段は優秀なメイドとして、カリナの身の回りの世話をしているそうだ。
………優秀?
「サマンサも相変わらずだね、この寝汚いところさえなければねぇ…」
「まったくです…」
残念な子を見るような二対の眼差し。
うん、何となくこの猫耳メイドの立ち位置が分かるってもんだ。
読んでくださって、ありがとうございます。