エピローグ 新たな始まり
数週間後、私は再び『愛しの執事様』をプレイしていた。ゲームの中では、瑠璃子と咲良が幸せに暮らしている。翔太郎は二人の関係を見守りながら、新しい道を歩み始めていた。
現実世界では、康太と私の関係は微妙に変化していた。以前のような気軽さはなくなったが、お互いを理解し合えるようになった。それが良いことなのか悪いことなのか、まだわからない。
美咲ちゃんは相変わらず完璧だが、最近私は彼女の完璧さに嫉妬することはなくなった。きっと彼女にも、見えない努力や悩みがあるのだろう。
「真央、今度新しいカフェができたから行かない?」
康太からのLINEに、私は少し考えてから返事を書いた。
「今度って、デート?」
「友達として、だよ」
「なら行く」
私たちは、新しい関係を築こうとしている。それが恋愛に発展するのか、それとも深い友情のまま続くのか、誰にもわからない。でも、それでいいのかもしれない。
人生は、ゲームのように明確なルートがあるわけではない。時には迷い、時には間違える。でも、その過程で自分自身を知り、大切な人たちとの関係を深めていく。
私はスマートフォンを閉じて、窓の外を見た。桜の季節は終わり、新緑の季節が始まろうとしていた。新しい季節、新しい関係、新しい自分。
すべてが始まりだった。完璧ではないけれど、それが私の現実だった。
そして、現実は時として、ゲームよりもずっと複雑で、ずっと美しいものなのかもしれない。これが、私達の始まり。
【完】




