1C2 さらば甘くやさしき日々よ 9
「ええい、忌々しい! どうせ爪だからと適当に見繕ったのが間違いだったようだ」
それは何ともご愁傷様。爪とは指より下の末端のことか。鉄砲玉のチンピラといったところか? いずれ間に合わせで粗雑な【キャンサー】は取り込んだ人間の執着や欲望、こだわりや趣味にまで影響を受けるようだな。
しかしこの爪は意外と厄介だ。命を軽く見ている上、しかも取り込んだ人間が死んでも尊主のギルバートにダメージはない。そして聖母の隼がいれば何体でも【キャンサー】の兵隊を作りだせるということになる。クソッタレが!
「さてどうする。ともかく時間が無い。君の中のギルバートまで息を吹き返したら面倒じゃぞ」
ならとりあえず宇宙に出ます。それなら地球での影響は避けられるかと。そこからはどうとでもなるでしょう。ただ少しの間あの馬、ブルーギルを足止めしてもらえればと。
「それならあの馬鹿は儂が何とかしよう。カリオストロにも手を貸して貰おうか」
はっきり言っちゃ駄目でしょうよ師匠。では……カリオストロ伯、出番です。
おれは封陣帖からカリオストロを召喚する。さてもう一人の師匠の機嫌は如何ほどか。
『何だ、今度はちゃんと歯ごたえのある……むっ、貴様もいるのかメスメル!』
「そこは我慢してくれ、緊急事態なんじゃ。お前さんも因縁の相手なら気合いも入るじゃろう?」
「おや、そこにいるのはカリオストロじゃないか? 化石が生きて喋るとは何の冗談かね?」
カリオストロを見たブルーギルが揶揄して鼻で嗤う。
『貴様は……ギルバートか。何だその形は? ふん、チャラチャラしおってからに! よかろう、今度こそ礼儀いうものをたたき込んでくれるわ!』




