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1AD ぎゃんぶらぁ放浪記 1

 実は橘高三十六からの手紙には3枚目があったのだ。それこそが「裏」のお宝を示唆する暗号だ。

 それは紅白に分けられた太極図と幾何学模様の魔法陣だった。魔法陣のサークルに内接して重なる4つの直角三角形は短辺と長辺の比が113:355、あの円周率の近似値だ。そして斜辺は太極図の紅白と併せて白桃院高校と紅鷺学園を指すもので、同時に大暑と立秋、大寒と立春をまたぐ2つの日を指す「暦」でもある。

 またサークルを「時計」に見立てれば、それはぬっぺふほふがその日その場所に出現していられる時間を指し示している。

 そしてそれらのことは魔法陣の円周に書かれていた。ヘブライ文字に似せた崩した鏡文字のひらがなで。


 つまり白桃院と紅鷺はぬっぺふほふを召喚して限定的に捕まえる「檻」であり、この土地はそういうふうに意図して作られた巨大な魔法陣ということだ。そこには小鴎敬助の神社とスサダマ様も関わっていると見ていいだろう。召喚の魔法陣を起動するには電源となる魔子マミを供給する必要があるからな。


 そしておれたちが改めてわざわざ決闘バトルをするのは二人が負けを認める大義名分おとしどころを作るためだ。どこかで手打ちをする以上必要な「茶番」だ。

 それぞれの陣営の兵隊に仕込まれた起爆スイッチは対処済みだ。イベントで配ったミサンガがそれで、蜂起するときの洗脳を妨害する。そのせいでナノマシンを半分減らしたが、まあそれは範疇だ。


 さて、どっちが最初にやる? おれが促すと土方瑠璃が前に出る。

「勝負は花札ポーカーだ。時彦に勝てる可能性があるならギャンブルぐらいのもんだろうよ」

 なるほど考えたな。おれが知らないものなら勝てる可能性があると踏んでのことか。

 そういえば瑠璃ひかりとこうして遊ぶのは初めてかもな。楽しみだ。

「ああ、楽しもうぜ」

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