194 Fight Day and Fright Night 14
2球目。今度はサイドスローのフォームから対角線を生かしてのクロスファイヤーだ。振り切れずにファール。いいコントロールだな。フォーム改造の成果というわけか。
柳田武見はもともと制球に難があった。そのせいで中学は二番手のピッチャーに甘んじていたのだ。そしてフォームを変えて一年間かけて自分を鍛え直し自信もつけた。次期部長という欲を持つほどに。
「それでも当ててくるのか。あんたも総代になろうというだけのことはあるな」
新倉の声に驚きが混じる。まあ当てるだけならな。ちょっとバットを変えていいか?
タイムをかけて私はリュックから「それ」を引っ張り出す。
「おい、それバットじゃなく木刀だろ! 硬球だぞ? ……い、いやそれより何でカバンから木刀が出てくんだよ!」
私は手品も得意なんだよ。何か問題でも?
「手品? そんなわけあるか! 冗談も大概に……って、何で今度は左打席に入ってんだよ!」
細かいことにうるさい男だな。これも作戦のうちだ。それにいちいち突っ込まなくてもいいぞ。お前と漫才をやるつもりはないからな。
言いながら私は木刀を腰に寄せ居合いの構えを取った。いいから決闘を続けよう。
「……あまり調子にのるなよ、素人が。野球をなめんじゃねぇ!」
柳田がマウンドで吠える。また悪い癖が出ているぞ。まあそう仕向けたせいもあるんだがな。




