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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
3章〜人魔大戦〜

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501/1063

ひえひえねこねこ

 


 ――三重県伊勢志摩国立公園、内陸部。



 ひと気のない村落の屋根を、1匹の猫が軽やかに駆ける。


「ニャっニャ、っあっちニャ!お婆ちゃん発見!」


 獣化した猫目が猫耳をピクピクと動かし、一軒家を指差す。


「分かったわ!涼音お願い」


「はいっ」


 氷室の指示に、風代が救助へと走り出す。


 伊勢志摩国立公園は世界でも珍しい、森林環境と無数に点在する江と岬からなる複雑な地形を有している。

 そのくせに居住人口も非常に多いため、未だ取り残されている民間人がかなりいるのだ。


 氷室は接近するモンスターを確認し、猫目と共に走り出す。


「猫目ちゃんっ、グレードは?」


「ん〜真ん中のがLv4、他が2くらいニャ!」


 野生の危機管理能力で敵の脅威度を見抜いた猫目が、中心にいるモンスターを見て顔を顰める。


「なんかキモいニャ……イカみたいニャ」


「猫目ちゃんお寿司好きじゃない。一緒よ」


「ヌルヌルしたのは嫌いニャ!」


 小規模な群れを率いているのは、2足歩行のイカの様なモンスター。

 身体から無数の触手を生やし、全身がヌメヌメとテカッている。


 2人の接近に気づいたイカが、唾を飛ばし叫ぶ。


「ビュゥルルルッ!」


「……キモいニャ」


「ワガママ言わない。ほら行くわよ!」


「んニャッ」


 一気に加速する猫目に合わせ、氷室が地面をなぞる様に手を振り上げる。

 直線上にいたモンスターが地面ごとバキバキに凍りついた。


 2歩目でトップスピードに達した猫目は軽快なステップを踏み、モンスターの攻撃をヒラヒラと躱し間を縫い一直線でイカに突っ込む。


「ビュルルルッッ!」


 物凄い速度で迫ってくる獣に向け、イカも触手を振り上げ迎撃体勢に入る。


 四方八方から襲う無数の触手、猫目の縦に割れた瞳が高速で動きその全てを知覚、身体を反らしジャンプ、難なく小さな隙間を通り抜けた。


 しかしそこは流石Lv4、1連の動きを予測していたイカは予備触手猫目向けて放つ。


「ビュ、ビュ⁉︎」


 しかしそこは流石猫目、しなやかな筋肉を使い急停止、からの横に跳躍。


「ビュぼ⁉︎」


 瞬間猫目の真後ろから放たれていた氷槍が触手を吹き飛ばし、イカの頭部に突き刺さった。


 間髪入れずに猫目がその爪を振るい、身体を捻り回し蹴り、


「ニャアっ、ヌルヌルニャ!」


 直撃するも滑って威力が殺される。

 ビタンビタンと暴れる触手から跳躍バク転バク宙側転退避、ついでに襲い掛かってきた雑魚を蹴り飛ばし、道を作る、


「――ッ」


 直後地面を氷でコーティングし滑り込んできた氷室が、ホルダーからナイフを引き抜きスライディング、突き出される触手を切り飛ばし急接近、


「ビュル⁉︎」


 イカのヌルヌルボディに抱きついた。


 驚愕するイカ。


 しかしその抱擁に、愛など微塵もない。



「あなた、キモいわ」



「⁉︎ビュルっ、ビュルルルルル‼︎ルル、ル、カ、カカ……――」


「……」


 氷室は白い息を吐き出し、手を離して身体についた霜を払う。


 一瞬で凍りつき、悪趣味な彫刻と化したイカ


「トォっ!」


 を猫目がライダーキックで蹴り壊した。


 有象無象の惨殺死体の中を、風代がお婆ちゃんを背負って走ってくる。


「っ2人共怪我は?」


「ないニャ!」


「無事よ。このまま部隊と合流してキャンプに向かいましょう」


「んニャっ」「分かりましたっ」



 強かに育つ女性3人の背中を見送る、イカの残骸。


 その目が写すのは、悔いなどない満足の一言であった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 成長したなぁ。 [一言] 強かに育つ女性3人の背中を見送る、イカの残骸。 その目が写すのは、悔いなどない満足の一言であった。 イカ満足してんのかいw
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