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悠久なる創造主〈クリエイター〉  作者: 頴娃伺結有
狂った銃弾
6/7

狂った銃弾Ⅳ―最初の一歩

○ 



 ロードとメルクは一年E組にいた。夜、月が淀んでおり、そこまで明るくは無いが、二人の瞳はぎろりと光っていた。

「あの……僕を読んだのは……へっと、……なんだろう。霧雨くんのこと?」

「いい加減その話し方をやめたらどうだ。まぁ、そう。霧雨信夜の事だ」

「………はぁ。霧雨くんね。何が聞きたい?少し高いけどね」

「あいつが倒れた時に、あのドームには不可視のカメラが数台確認できた。それも含めて」

 あの時は、微かに音がしていた。空気の抵抗も感じられなかったし、カメラの温度も分からなかったが、唯不自然な音がしたのだ。

 こんなレベルの技術は、恐らくも何もアーネス国や第四アメリでもない。それは未知の部類に入る。

まず、不可視のモノすら開発されていないのに、それ以上の科学技術だ。もう素晴らしいとしか言えない。

「で?」

 ロードは素っ気無く返して、本題に入るように促す。

「君は情報屋として分かっていないはずがない。その職業では、アーネス国のお墨付きなのだから」

 ロード・キャロルは、戦艦ロンギヌス、正式名称《秘密結社ラグナロク》の情報部員から色んな情報が集まる。言えば部長で、その情報を高額で取引している。

「いくらの代金を払いますか?それによって量が変わりますよ」

「……。この際全て聞いておこう。今日の殺人事件、昨日のカメラ。敵は何なんだ。その答えがわかるまで、全ての情報を聞きたい。金はいくらでも出す」

 メルク・オーフィンスの資産は、日本円にして京にまで昇るそうだ。親、またその親は代々商人をやってきた。今もまだ大規模な貴族にも名が通るらしい。

しかし、今の貴族と言えば、どうなっているのか分からないが、権力で言えば政治家だろうか。

「そうですかそうですか。では、四兆ほどですかな。国家機密が関わっている故に」

「いつもの所に振り込んでおく」

 別に、情報屋なんて、ロード以外には知らない。その情報が、額に見合うのかは聞かないと判らないが、他の情報屋はロードよりも安いのだろうか。少し、メルクは考える。

ロードが一息、息を吸うと

「前振りとして、百木マリアは、第四アメリ合衆国の第一皇女です。そして《残虐刀の夜神》霧雨信夜は――――――」


瞬間的に最後だけが、頭のなかに流れてきた。胸のボイスレコーダーには今の部分だけは入って無いだろう。こんな事は初めてで、それは本当に聞かれたくない類の情報の為に使う能力だと予想した。

「今日の敵ですが、カメラとは無関係にあります。カメラは、唯の監視用で戦闘力は皆無です。それに、カメラの持ち主はどこの国にも属していない非国民ですね。結果、カメラの事は気にしなくていいんです。ていうか、それ以上僕も知りませんし。それから、今回の敵はアイギス・ファルゲインを狙っていることは確かです。第四アメリの王が依頼をしています」

 メルクは話を黙って聞いていた。余程信夜の事が衝撃的だったからだろう。

ロードも、それを知った時には言葉がなかった。

 そして、信夜は童貞である。マリアに手を伸ばせばすぐに手に入る所にあるのに、まだそれを貫いている。まぁ、マリアも同様に「最初はシンヤくん」とかいってる訳だけど。

 まぁ、そんな事は全く関係なくて、四兆円とってもコレ以上信夜の事は教えられない。

 お金では買えない情報は、本当に沢山あって、信夜に対してはまだある。特に、《エクスマキナ》の核の件など。

例えば、戦艦ロンギヌスには、信夜を殺すための装置があり、それを起動するには搭乗員の二十分の十九以上の承認が必要になる。とか、コレを教えるには、必然的に戦艦ロンギヌスと、秘密結社ラグナロクのことも教えなければならず、無理に決まっている。

 情報部の会議で決まった情報に対しての金額の約半分でメルクには提示している。それは、知る由もないのだがどう思っていることやら。

この情報は、秘密結社ラグナロクのリーダーの為に集めるもののついでなので、別段必ずしも情報屋として活動しなくてもいいのだが、メルクだけはまぁ。先生のよしみで。

「コレでいいですか?メルクさんも早く寝られたほうがいいんじゃ……あっ。そうでした」

 ロードは少し慌ててそういった。メルクも、衝撃から回復して居るようでロードの方に向き直った。

「何だ?また金を釣り上げるのか?」

「いえ。…そんなこと一度もしたことありませんが。コレは無料で情報をあげる代わりにやって欲しいことを伝えようと」

 ニヤリとロードは不敵に笑って、左手を体の前に軽く出した。その手のひらから小さな光が現れると、一度強く発光して一辺が一メートルくらいの立方体になる。一角を手のひらに載せ、くるくると回っている。

 よく見れば、中身が透けていて、その中に恐らく学校だろう模型を中心にした立体模型地図があった。

「E組の問題児たちが六人クラウドを組むそうです。そこで、提案があるのです」

「なんだ?」

「一週間後に一年生の体力試験があるでしょう。それの内容を変更して欲しいんです」

「理由を聞こうか」

メルクは少し不思議そうに云う。そんな表情が見て取れた。

「七人一組のグループ戦にしてほしいなと、思いまして。例年はトライアスロン形式ですが、今年だけ」

 立方体を手で握りこむようにして消すと、もう一度手を開いて、同じような立方体を作った。

「まずは、最初に湾に半径十キロの円状迷路を作りましょう。スタート地点はそれぞれバラバラですが、他グループと鉢合わせすれば即バトル。勝った方が進めます」

「コロシアイか?認められない」

「いえいえ。想像する迷路、それは仮想世界ですよ。力はそのまま再現するけど、身体は傷つかない。と云う」

「誰がそんな世界を作れるのだ。計画的に面白そうではあるが、ムリだろう。」

 フンと鼻を鳴らして腕を組んだ。立方体の光のお陰である程度の人の表情が読めるくらい明るくなっていた。

「そこでこの人です」

 立方体を右手で指し示すと、中に写真が見て取れた。人混みの中に一際目立っている人間が中心になって写されている。その人混みの中なのに特に目立つのは、黄色の変なハットを被って、メガネが何故か鼻眼鏡だからだろう。

普通の人から見れば引くくらいの服装をしている。しかし、周りの人は誰一人としてそんな人を見ていない。

 というか、元々が変な写真であった。その男をよく見れば透けているのがわかって、隣に行く人と形的に肩がぶつかっているはずなのに、そこだけ重なっているからだろう。

「…誰だ。人間か?」

「神戸の中華街の写真ですね。次の瞬間の写真にはもう、彼は写っていません。でも、名前は知ってますよ。メルクさんも。アーネス国日本州の研究者の一人です。ネビロス適合率八七%ですよ」

「特異人物か。マーク外だな」

 ネビロス適合率が五十%を超えた人はまず、ほとんど居ない。アーネス序列二十位圏内の適合者は五十%を超えている。そんな戦闘民でも最大七十%ではなかったのだろうか、少し頭を抱えた。

「八十五%。身体の細胞がそれだけネビロスであれば身体が進化します。本当の意味で。それは、意識のみで思念体を作り出せることです。彼の実験では百%ネビロスであれば思念だけの生物になるのでしょうね」

ロードは苦笑しながら云う。言えば不思議である。《進化細胞ネビロス》それは、科学の産物だと聞いていたのだが。

「彼は、完璧な仮想世界を作るのが可能です。僕は彼の縄を持っています。もし、あの提案に乗ってくれるのであればその縄をわたしてもいいですが」

 ロードはまた、立方体を握って消す。そして、次は人差し指だけを立てて、それをメルクに向けた。

「ついでに、僕のネビロス適合率は七十八%です。……それと、霧雨信夜の身体は百%の進化細胞です」

 人間の産物エクスマキナの核が体内にあり、そして細胞が百%ということは


彼は神である。ということに変わりは無いのではないか?


「ネビロスには少しばかり意識っぽいものがありまして、それは神である彼を認めていないのですかね。それとも、彼自身が無意識にでも進化を拒否しているのでしょうか」彼はとっても笑顔で「神様の姿を、僕はこの目でみたいなぁ、と」


メルクは頷いて『彼』の鍵を受け取った。




古典の再テストがあります。現代文も中々点数が悪かったです。

そんな僕が小説を書いて、理解できているか心配です。まぁ、これからも僕は全力で書きますけどね。

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