冷たさは魔法使いが解凍してくれますか?
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「じゃ、私達色々と巡っているので。ついてきてくれてもいいんですよ?」
「や、二人が私から自立できる第一歩みたいだから休んでる」
「来てくれてもいいんですよ?」
「言い出しっぺって知ってるかな」
二人で調べに行くんでとか言ったの誰でしょうね、そんな裏切られたみたいな顔されても反応に困る。
よく皆そんな活発に動けるよね、私が体力もやしなだけ? レヴィアも疲れた素振りは一切見せない。意地か本当に疲れてないのか。
「マキナ様も本当は気になってるんじゃないですか?」
「何そのどうでもいい期待。ついてこなくていいって言ったの誰ですか、私は早く宿に行きたいんです」
「……確かに、休憩場所は大切、ですもんね。いい情報見つけて来たら褒めてくれますか?」
「そりゃあ褒め倒します」
すると「やったあ」と裏切られた顔からそこら中に花が咲き誇りそうな顔に変わった。二人のいいところ。
そうだ、他の二人にも聞かなくては。レヴィアも何でもない顔を崩さないけど、実際は疲れているはず、絶対そう。
「レヴィアも宿に行きませんか? シアちゃんはどうする?」
「俺は……やっぱり疲れた。お前に甘えてついて行くことにするよ」
「私は道具屋で色々見て、よさそうなのがあったらマキナさんに伝えます!」
「そう。ありがとう、分かった。じゃあ、遅くならない程度に合流しようか……宿屋はあの建物だから」
部屋をとれるか分からないけどね。でもゲームの世界だったら99%とれるから大丈夫だよ。
皆が楽しげに歩いて行った方向とは逆の方へ向かう。人々で賑わっている、何だか妙に安心した。
「レヴィアは欲しい物とかありますか?」
「物というか者というか……」
「ん? よく分からないけど、シアちゃんが見て来てくれるからその時決めよう」
「今はまだ伝わらなくていいが、少しは気づくようにしてほしいな」
空気で伝えると「もの」と「もの」しか鼓膜に響かないからなあ、紙とかに書いてもらわないと。
――宿屋凄い大きいな。これだったら余裕で部屋とれるでしょ。
「入りましょう。できれば二、三部屋ほしいけど……」
「ベッドの数にもよるけどな」
「私、暖がほしいな。シアちゃんは抱きしめ耐性ついてないだろうし」
「俺は? 何があっても『兄妹』なんだから、疑われることは無いだろ」
レヴィアから兄妹を持ち出すだなんて貴重だ。いつもその単語に対して耳を塞いでいる感じだったからびっくりした。
私が驚いているのに気がついたのか、少しだけ笑って雑に頭を撫でた。私の方が照れくさくなってきたな、これも相手の策なのか?
「俺が行ってくる。お前はここで待ってろ」
「でも……ううん、何から何まで申し訳ないです、疲れているのに」
「遠慮するな、俺が申し訳なくなる」
大きくて骨ばった、温かい手が私の頬を撫でる。私は猫か、猫好きだからいいんだけど。
そんな扱いに謎の心地良さを覚えながら、レヴィアが戻って来るのを待った。




