都合の悪い記憶は神様に頼めば削除できますか?
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「マキナ様は警戒心が無いのですか? こんなに気味が悪い道、何かあるでしょうに」
「何かあったら守ってくれるんでしょう?」
「……それはそうですけど」
でも流石に怪しいから止めるね、と道を外れ草むらの方を歩く。普通風が吹いて砂埃とか泥とか溜まるはずなのに。
毎日ここを掃除する人でもいるのかな、業者さん? にしては局地的すぎるよね。
考え事をしている私を横目に、不思議そうな顔をしたノアがポツリと言う。
「この気味悪さがどこまで続くかで何か分かるかもしれませんね」
「それだ! この道が途切れた地点に一番近い国が元凶ってことになる!」
「……いや、その前に宿屋だろ」
あ、そう言えばそんなのありましたね。すっかり飛んでた。
じゃあこれからのプランは町を見つける、宿屋を見つける、休む、この道の謎を解く……でいいかな。
「もしかしたら見つけた町が元凶かもしれませんしね」
「そんなに楽に見つかりますか……? でも……マキナさんの運なら大丈夫ですよね!」
「超えにくい壁を作らないでくれるかなっ!」
私に運があるとしても、直ぐに使い果たしてしまうだろう。昔からそんな性格、直せないし直す気もない。
それよりももっと深刻な問題がある。
――私は前前世が現代っ子だった。つまり根は現代っ子、二千何十年の人類の心だ。そこまでは特に益も無ければ害もないのだが。
問題は、今レヴィアが持っている「それ」だ。今まで何となく見て、いかにも慣れてますよ感をだしていた。
地図、残念なことに私はあまり地図を見たことがない。だって回線さえ通っていれば何でもできたもん、あの時代は。
「マキナ、こっちだ。少し鬱蒼としているが、多分大丈夫だろう」
「いざとなったらレヴィアが守ってくれますもんね」
「それを連発するのはずるいな」
「知っててやっていると知ったら、皆さんは怒りますか?」
そんなことする訳ないだろと速攻で返ってくる。この人達マキナガチ勢でいいよね。
木が生い茂っている方へ歩を進める。この鬱蒼としている感じ……ノアとへライトと心中した時のことを思い出す。
「この感じ……先に花畑があったら、私達の時代から何も変わってないあそこかも知れませんね」
「なんだ、ノア様も覚えてたんですね。また心中しますか?」
「死なないでね。私はいくらでも殺していいから」
「出来ないことを知っていて、それは酷ですよ」
この先が例の場所じゃありませんように、それか私達の脳から記憶が一瞬で抜け落ちますように。




