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台本を装備した悪役令嬢があらわれた!  作者: ぱつぷぇ
台本は戸惑っている
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充足感ってリクエストクリアで獲得可能ですか?






 色んな意味で疲れてしまったのか、私を抱きしめて直ぐ眠ってしまったノア。私はまだ眠りに落ちる程でもないので柔らかい髪を弄って遊ぶ。


 分厚く暖かい毛布はこの地域にぴったりだと思う。じめついていて、おまけに寒い。近くに高い山があるからなんだろうけど。


 ノアが一層強い力で抱きしめてくる。眠りに落ちても不安なものは不安らしい。



「明日は何しようか、食料のありそうな所に行こうか」



 ……返って来るのは、少し不安になるか細い寝息だけ。一応、今世では悩みが無くなったのか気丈に振舞っている。簡単に言えば溌剌とした子。


 しかし、こういうふとした瞬間に見えるのは不健康な儚い男子。前世のノアの面影が差す。あの今にも消えてしまいそうな。


 それを言い出してしまえばへライトだって何だかんだ根は変わらなかった。



「あんなに警戒していたのに、今はひっつき虫状態だからねえ……」



 今世では関係を築くのに昔のような銃を用いなくてよかったとつくづく思う。


 ――――ああ、ダメだったんだっけな。今はノアのことだけを考えるんだ。さもないと最悪の場合ノアの目から涙が溢れる。


 縋り付く様に抱きしめてくるノアを、私もより強く抱きしめ返す。湯たんぽやカイロなんかより那由多倍は温かい。


 それにしても、ノアは私が思うよりも相当疲れていたみたいで。私が悪戯心で頬をつついても擽っても一向に起きる気配はなし。私が悲しい奴みたい。


 まあ、ノアを起こす気は無いし。次はいつ休めるか分からないから。



「……ノア」



 けれど悪戯心は治まらず。どうせ起きなさそうだからいいんじゃないか? なんて思ってしまった。


 すると自分より上の位置にあった双眸がゆっくり開かれた。あ、起こしちゃった。



「マキナ様……まだ、眠っていなかったんですね……」


「うん。まあね、眠気がやって来ないんだ」


「だから、って、へライト様のとことか、レヴィア様のとこ、行っちゃだめですからね」


「重々承知してますよ。さ、もう一回寝ましょう? 私はどこにも行かないから」



 そう言うと、ノアは安心しきった顔で「ん、はあい」なんて可愛いに何もかもを全振りした声で返して、そのまま寝てしまった。



「……っやっぱり可愛いんだなあ、もう」



 うちの子可愛い。違う、うちの夫が可愛い。前もしたが、夫呼びはやはり慣れない。


 レヴィアも明後日辺りに構わないと、そろそろ爆発する頃だよなあ。私も段々と、着実に慣れて行っていると思った今日この頃。今夜。




――――



 すう、と規則正しい模範的な寝息がしたから、目を開ける。


 マキナ様も眠ったようだ。起こす気なんて更々無い。


 ただ、その真っ白な肌の中で唯一その真っ赤な噛み跡が私のものだと改めて認識していたかっただけ。



「明日、へライト様達怒るだろうなあ」



 途轍もない充実感と優越感に浸りながら眠りに落ちた。

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