恨みは寝たら忘れられますか?
・
「どうしたんですか、そんなに嬉しそうにして」
「いいえ? ただ少し、優越感に浸っているだけです」
「……よく分からないけど、気に食わない」
マキナ様が構ってくれなくて不満な時に、私が自分よりも何かに対して優位に立っているから、余計に不機嫌そう。
その優位に立っているものがマキナ様関連ってことを知ったらもっと機嫌悪くなるんだろうなあ。
「マキナ様が私にだけ、ヘライト様にはできないと言ってくれたのです。貴方とセットじゃなくなった」
「それくらい、あの人だったら……私にだって」
「してくれますか?」
「不安を煽らないで下さい」
机に突っ伏して嗚咽をぽつりぽつりと漏らしながら反論にもならない何かを必死に言ってくる。
このヘライトという人間はこんなに不安定で脆かったのか。別に苛めたい訳でもないのでここら辺で止めておこう。
「でも……私達がしっかり手を組めば、マキナ様はどこにも行かないと思いますよ」
「そう言ったって、また貴方が奪うんでしょう。だったら一人で略奪した方がいい」
「大丈夫です、貴方に譲るくらいの優しさはできましたから。腸が煮えくり返る思いですが」
マキナ様の言うことは直ぐ聞くのに、私の言うことは素直に聞けないみたいだ。人のことは言えないけど。
ヘライト様は「もう済ますことは済ませたので寝ます」と不機嫌を隠そうともしない声。そろそろ機嫌は戻さないと。
「拗ねないで下さいよ」
「拗ねてません。気に入らないだけです」
「結局不機嫌じゃないですか。……マキナ様が『ヘライトにしか出来ないこともある』って言ってましたよ」
返事は返ってこない。ただ、周りの空気が幾分かは穏やかなものになった。
私達は単純なんだと再確認。何が楽しくて敵の機嫌を取らなければならないのか、でも、明日も不機嫌だと色々と困る。
「私のことは必要と言ってましたか?」
「ええ、そんなに疑うのでしたら明日、聞いてみればいいではないですか」
「――本当に聞きますからね」
あの人のことだから、私もヘライト様もレヴィア様も必要だって言うんだろうな。
そういう所も好きだけれど、やっぱり自分だけ見ていて欲しい。




