冗談ってあと何日経ったら通じますか?
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「そうだ、マキナ……準備は終わったのか?」
「そういやそんなのありましたねえ。私は後少しで終わります」
「最小限に抑えろよ。無駄に持って行くのは命取りだからな」
「はい、分かりました。私の命が最優先、でしょう?」
そう言うと、「絶対に忘れるなよ」と釘を刺された。けれど私は昔、刺された釘を抜いた挙句投げ捨てた。
だから、今この世界にいるんだ。刺された釘をそのままにしていれば今も三人で暮らせていたかもしれない。
「あ、でも、シアちゃんとやらは」
「あんな奴のことは考えるな。俺だけを見ろ」
「えー……」
ノアとヘライトが愛に対して受け身だとすれば、兄様は場に応じて立ち回りを変える人だ。
少し前まで不安がっていたかと思えばもういつも通りに戻っている。
「マキナ様、どこですか?」
ノアの声が遠くから聞こえた。助け舟、救いの手だ、流石私の旦那(仮)。
「こっちにいますよ!」
「……ああ、よかった。飽きられたのかと不安になりましたよ……で、何かありました? ありましたよね?」
「いや、何もありませんよ? 何にも」
「では何故お二人はそんなに距離が近いのですか?」
うっと息が詰まる。確かに言われてみれば目の前に端正な顔がある。
イケメン耐性がない頃の私だったら即死だったな、ノアとヘライトにくっつかれてからは多少の慣れが出た。
……回想も程々にして言い分を考えようか。「兄妹だから」、これだとそんなに仲良かったかと聞かれるだろう。
よし、困った時は可笑しくなろう。相手がドン引くくらいに可笑しくなれば何とかなるでしょ。
「な、仲良くなろうかなあと。兄妹なのに不仲なのもよくないですし? ねえ、レヴィア」
兄様の首に腕を回して自分の方に近づける。兄様だけ逃げるのはよろしくないと思うなあ。
正直、ノアの嫉妬はどこか恐ろしいから。目は据わってるし声は低くなるしでまた殺されるのかと思った。
「……レヴィア?」
「あ、ああ……そう、だな」
「マキナ様、浮気は駄目ですよ」
「浮気って言っても私では釣り合ってないですよ」
「そうならいいのですが。まあ、兄妹ですもんね、それ以下でも以上でもない」
「以下にも以上にもならないからと言って油断してると取るからな」
取られても別に……と思ったが、怒りと嫉妬に塗れた二人を想像したらこの世の終わりが見えたので、程々にしておこうと思う。
兄様は逆にこの状況を楽しんでいるのか、私を抱きしめる腕に力を込めて、余裕のある目でノアを見る。
「油断なんて二度としませんよ。貴方が付け入る隙のないくらい愛し愛されますから」
「私が愛すかどうかは私次第」
「……え、私のこと要らないんですか? レヴィア様の方がいい?」
「あっ、ごめんなさいごめんなさい! ちょっとふざけただけですから、ね!?」
冗談も程々にしておかないとな。




