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台本を装備した悪役令嬢があらわれた!  作者: ぱつぷぇ
台本の中で疲れを吐くことは容易ではない
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不安って誰に売れますか?





「ヘライト様……あの後ずっと私のことを」


「止めて下さいあれは寝惚けていただけなんです……」


「いやあ、とても可愛かったですねえ。とても……とても……」



 デレ期のヘライトはこの上ない程可愛かった。というか二人の掛け合いが可愛いんだ。


 ヘライトはずっと恥ずかしがっているし、ノアはそれを何でか楽しんでいるし……これが二人の本当の姿なのかもしれない。


 ああ、それにしても腕が痛い。肩も痛い。ナイフもフォークも、綿でさえも持ちたくない。



「あれ、マキナ様? どうか……」


「どっかの誰かさん達のおかげで腕が痛くて……最大の萌えが見れたからいいんだけど」


「も、申し訳ありませんでした! そうだ、責任をとって、私が食事を……」


「んん? ノア様?」



 流石にそれはいいですと伝えると、「……そうですか」とだけ返ってきた。


 そこまでやらせてしまったらエクシアに申し訳ない。



「そうだ!! 結局エクシアとどうするんですか!?」


「だから言ったでしょう。好みじゃない奴と結婚なんてしたくないと」


「媚び売ってる感じでいけ好かない……」


「もう……朝食、朝餉、朝飯、朝ごはん食べに行きましょう! 話はそれから!」



 何で何でさ何でよっ!? 軌道修正の方法なんて影の薄くなった台本には一切書かれていなかった。


 ……分かった、今から性格悪くなる。この二人のこと「モノ」とか「犬」として見る……なんてできないよ。



 負けちゃダメだ、頑張って悪女を……ああやだよ、もう引きこもっていたい。エクシア早く来いよ。



「おお、マキナ、おはよう」


「おはようございますうお父様あ?」


「いやあ、お前に言い忘れてた。何故かエクシロセス王国のお姫様がお前に会いたくて仕方がないそうだぞ」



 ……あ……詰んだ……。いやいやダメダメ、これをチャンスだと思い込めば結構いい感じだろ。



「マキナ様……? もしかして、あいつ来るんですか」


「うん……ここで第二回目の縁談だねえ……」


「……嫌だ。私、絶対に嫌です」



 何かオチが見えてる気がする……前の縁談の再放送じゃない?


 あ。でも二人は覚えてるのかなあ。私と縁談成立しちゃったこと。


 ――覚えてないかあ。まあいいか。



――――



 あの縁談のあと、私は国に戻った。街の人達みんな心配してくれた。



「お二人が……魔女のモノに……」



 嘘。本当は魔女かもしれないと言うだけ。ただの街人かもしれないし、本当に魔女なのかもしれない。



 でも、みんな優しいから、私を慰めてくれる。何もできない自分が嫌い。



「ごめんなさい。みんな……!」


「大丈夫です、姫様。姫様の美しい容姿と、その優しさがあれば、何も怖いものはありません」


「そもそも、姫様が私達のような民に話しかけてくれることがおかしいのです」


「そんな……みんな大切な人だから……」



 ああ、恥ずかしいよお。なんでこんなこと言ってしまったの私!


 すると後ろからお父様とお母様がやって来て、



「ノア王子とヘライト王子は、魔女に操られているのか?」


「ええ、恐らく。私、二人を救いたいけど……勇気が……」


「エクシア、大丈夫よ。私達も力になるから。みんなで救いましょう」



 私、幸せものだなあ……。頑張って悪い魔女を退治しないと!

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