隠し通せる嘘はストック出来ますか!?
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「――……っほい! はい、改めて出発しますよ! おう!」
「……なんか、ごめんなさいマキナさん」
「いいよ、もう、いいよ」
ありもしないナイフが私の手の甲に少し刺さってんだ。勿論、私の手はへライトによって握られている。
この温かくて少し骨張った大きな手が私の手の命運を握っているんだ。
「次はどこ行くんだっけ? あの寒い国に戻ってみる?」
「絶対何かしらの装備はあるだろう。こんな格好で行く場所じゃないのは解ったんだから」
「じゃあ、装備集めでもする?」
「ゲームみたいですね」
ノアが笑って言った。まあ貴方達はゲームの世界にいたんですけどね、なんて。そんなことを彼らが知るはずがないのだから。
どうせ言ってもまともに聞き入れて貰えないだろうから言わないけど。
ふふふ、と明らかに自分に向けられた笑いが聞こえた。ノアが全てを見透かしたような顔で笑っている。少しだけその意味を考えてみたけれど、足が重くなるだけだった。
「今いるこの世界はゲームとかいう小さなプログラムで出来た箱の中ではありませんもんね」
「プログラムされていない故に、私達の全てをマキナ様が知ることは出来なくなりましたから」
少しだけその意味を考えてみたら、足が鉛のような重さになり、脚は凍りついたのかと思うくらい動きが鈍くなった。
ねえ、ねえ、そうでしょう? 褒めて下さいと言わんばかりに顔を近づけてくる。主人に懐く犬みたいな、感じだった。
「何言ってるの、早く行かないと日が」
「前に変な空間に行ったこと、覚えていませんか?」
「なあ、何を話しているんだ」
「レヴィア……えっと、後で話すから」
一瞬で予想はできていたけれど、やっぱり首突っ込みたくなるよなあ。
しかし今はそれに構っていられない。ノア達の言っている意味を噛み砕いて飲み込んで消化しなければ。
まず初めに、何故ゲームのことを知っているのか。そして次にどこで知ったのか、最後にそれは私にどう関係しているのか。
「私のことを見て下さい、ほら、ちゃんと」
「見れないってことは、私達に知られてはいけないことでもあるのですか?」
「いや、そういうのはないけど……あの……」
いい言い訳がでない。変な嘘でも言ってそれがバレたらと思うと……下手に出られないのが辛い。
でも、そんなことを考えて間を開けてしまっている今が一番駄目な状況なのかもしれない。
「やっぱり、覚えているんですか?」
へライトは目を細め、口角を歪ませて愉快そうに話した。




