「どんな商品をお望みですか?人探し?人戻し?それとも人殺し?」
6人はデパートアトランティスへと戻って来た。
「皆さんいかがでしたか?恐らく第7世界の皆さんにとっては時間移動の旅は初体験だったでしょ~?」
「…まぁ、100歩譲って仮に何かのトリックを使い、あの場面をあの数秒で擬似的に創作し用意したものを我々に見せたのだとしても、我々の常識は遥かに超えているな…」
「ほ、本物のモナ・リザ、やっぱり絵とそっくりでしたね」
「全く、恥ずかしい姿を見られたものだ…」
「ま、明らかに何かしらとんでもねぇな出来事に巻き込まれているのは理解したぜ」
するとオットロは徐に近くの棚にあった缶ジュースの様な商品を取り上げ5人に見せた。
「あ、そうだ、これ、ちょうどサンプルが配られてるので、是非どうぞ!」
「何コレ?」
「こちらは"未来予想ジュース"という商品です。こちらを飲んだ方は10年後の自分の姿に変身出来ます!サンプル商品なので効き目は5分ですが」
「ふざけんな、そんな怪しいもん飲めるかよ」
「私にちょうだい!ノドもカラカラなの!」
「お、おい、お譲ちゃん。やめておいた方がいい!」
難民の少女は刑事の男の忠告に耳を貸すことは無くオットロから受け取った缶ジュースをグビグビと飲み干した。
「ぷはぁ~、美味しい!」
”ドクンッ”
「!?」
難民の少女は飲み終えた瞬間、自分の身体の中から耳を通して聞こえる程の動悸を感じた。
そして次の瞬間難民の少女は身体見る見る大きくなり始め、手足はしなやかに伸びきり、今まで来ていたサイズの合わなかったボロボロの洋服は、はちきれんばかりの胸とお尻の膨らみに今にも破れそうになった。
「こ…こんなことが!?」
「お、おい、マジかよ…」
「あ、あ、あ、あの、お、おっぱい、見えそうですけど…」
「…」
4人は驚きを見せ、難民の少女だった女性も自身の身体を隅々見渡し驚いていた。
「え?え?何?どうしたの?これ、私…?」
「あらあらあら~、またずいぶんとセクシーな女性になりましたねぇ~。羨ましいですぅ~」
「わ、私、10年後はこうなってるの?」
「そうですよ~、未来は明るいですねぇ~、うふふ~」
誰もが驚き次の言葉を発せずにいる中、刑事のが男冷静さを取り戻し口を開いた。
「オットロさん、といいましたね?貴方の話は信じるに値すると判断しました。それで少し話を戻しますが、我々にこの不思議なデパートで買い物をして欲しいと、そう仰いましたね?」
「はい!左様でございます~」
「それで、我々は"運"を対価としてそれを購入すると?」
「はい、左様でございます~」
「オイ、まさか寿命吸い取られるとかそんな怖ぇー話しじゃねぇだろぉな?」
「ご安心下さい。その様な事は一切ございません~。あ、でも"運"を使ってご購入いただくのであまり使い過ぎない様にご注意下さい。"運"なので少な過ぎたり無くなったりすると不幸体質になってしまいます。その影響で若くして不遇の死なんてことも~。オホホホホ」
「…もしも商品を購入した後、その品物を返品すれば"運"は戻ってくるのか?」
「弊社の商品は全てが完璧なので不良品交換という概念は存在しません。もしも"運"を戻されたい場合は売却となります。売却時は購入時よりも若干値段は下がりますので、まるまるは戻ってきません。大体6割から7割程度が戻ってくるとお考え下さい~」
「ねーねー、他にどんな商品があるの?食べ物はないの?」
「ナイスなご質問ありがとうございます。それでは皆さん、こちらが"リストボード"となりますのでそれぞれお持ち下さい~」
オットロはカバンの中からA4サイズのアクリル製に見える板を取り出し5人にそれぞれ配布した。
5人は受け取り、その板を眺めていると次々と文字が浮かび上がってきた。
「その"リストボード"には今持たれている方が購入できる商品の一覧が表示されます。商品No、在庫、ランク、簡易説明等も表記されてまして、その人の運総量や商品在庫数によりリアルタイムに変動していきます~」
5人は食い入るようにボードに現れた文字を熟読していく。
「な、なんと!?本当にこんなもが…?」
「す、すごい…」
「…カオスだな」
「んー、どうしようかなぁ~」
「皆さん迷われてますねぇ~。弊社本当に様々な商品を取り揃えておりますよ~。例えば時間が欲しい方は"不眠の指輪"、病気を治したい方は"万能薬"、"背伸び薬"や"若返り薬"、ペットとしては"妖精"や"ユニコーン"なんかも人気商品ですね~」
「ここに載ってる商品が全部か?」
「はい~、その方の"運"でご購入いただける商品はそちらの記載で全てです~」
「値引きはねぇのかよ?」
「ありません~。元々その人の高徳に見合った資格を元に値段をつけているので、値引きという概念はありません~」
不意にギム刑事はオットロに対し商品に関しての質問をした。
「オットロさん、死んだ人間を生き返らせる様な商品はありませんか?」
「はい、その類の商品は色々と取り揃えてございますよ~。ですが、皆さんお持ちの"運"ではお求めにはなられないですね~。そもそも第7世界の方々では無理かと~」
「…そうですか」
「どなたか生き返らせたい方でもいらっしゃるんですか?」
「あ、いえ、どうしても刑事という職業柄、凶悪犯によって理不尽な死を遂げる方を多く見るもので…」
「なるほどー。哀しいですねぇ~」
「世界中の犯罪者共を逮捕し償わせるような商品があれば、そちらでもいいのですが…」
「あ!でも似たような商品であれば”生命保険”という商品がありますよ~」
「生命保険…?」
「はい~。ご自分が予想した死亡理由で死亡した場合、1度だけ生き返ることが出来ます~。保険金額はその方の年齢や状況、予想する死亡理由等に応じて変動していきます~」
「そうですか…」
すると今度はドレッド頭の男が話の輪に入りオットロに問い掛けた。
「よぉ姉ちゃん、人を探す様な物はねぇのか?」
「人を探す?あ~、そうですね~。"四次元私立探偵"という商品がありますが、それは在庫切れですね~。申し訳ありません~」
「そいつぁ、どんな商品だ?」
「報酬次第でなんでも調べてくれますよ~。それが例え過去でも未来でも、どんな事柄でも~」
「マジか!?報酬?金ってことか?」
「色々です。お金だったりその人が大切にしてるものだったり、時にはその人の数年分の寿命とか。何かの仕事を引き受けて欲しいと要求されることもあります。調査内容に応じた報酬を探偵がランダムに要求してきます~」
「…で、そいつぁ今度いつ入荷されんだ?」
「いやー、確か絶版商品なので再入荷はないかと…」
「んだとぉ!?何とかしやがれ!!」
「そう言われましてもぉ~…。あぁ、それでは代わりにこんな商品はいかがです?"魔法ヤク"これは第6世界の製造ドラッグで、この世では味わえないような恍惚状態が味わえますよ~」
「あぁ?」
「あなたが普段売っている麻薬よりもっと強力な効果があります~」
「なっ、てめ、バカ!!」
「麻薬だと!?」
オットロの不用意な発言に慌てふためくドレッド頭の男、そして過敏に反応を見せた刑事の男。
刑事の男にとって聞き流せない会話が流れ、ドレッド頭男の顔を数秒凝視した刑事の男。
すると不意に何かを思い出した様な表情を見せ突然腰元の拳銃を取り出しドレッド頭の男に向けた。
「全員動くなっ!!そこの男、地面に腹ばいになれ!!」
「っち…」