君の名は?
暫く、娘と視線を合わせて思い出す。
ああ、この娘は「大切で愛しい女性」だと思っていた娘だ。
名前はたしか可愛い目の響きだったよな?
マ行からはじまる名前だったような。
マーシャ ミリア、ムーア、メリンダ モリー
… あ、これら侍女の名前だったしw
うーんなんだっけっかな。
……そうだ、リーシアだったな。
マ行関係なかったしw
スマンちょっと覚え違いしてたわ。
目があったリーシアは顔を真っ赤にして俯いた。
俺の方が頭二つ分は娘より身長が高いため、上から見下ろせば、胸の谷間と白いうなじが自然と目に入り扇情的だ。
うーん。あざといwあざといよ? 君
計算のあとが見えるようなチラリズムじゃん?
つっか今の俺の目「君誰だっけ?」の目つきでしたけど何処に照れる要素が?
ああ、そうか。今代の俺の顔、かなり良かったわw
さっきの表情は俺の顔に照れたのね。
昔はイケメン滅べ!って思ってたけど今は別に滅びたくねーわw
こんだけ顔よければ人生イージーモードって思ってた時代も俺にはありました。
王族に生まれるって事がこんなにハードモードだとは知らなかったし。
幼少時は、何回も暗殺の危機を乗り越え、厳しい王族教育を青色吐息にこなしやっと思春期まで成長できたと喜んでも、立ちはだかる兄弟達、臣下達のパワーバランスなど困難はますます高く、壁となって立ちふさがってきたし。
あまたのハニートラップを華麗に避け、着地した先に見つけたと思っていた『真実の愛』
君がその運命の相手なのね?
リーシアちゃん?
しげしげと恋人を見つめる。
可愛いけど普通じゃね?
俺、コレの何処が良かったの?
糾弾はまだ続いている。
ひな壇の下にいるかつての婚約者であるアウレシアは肩を震わせて俺達の方を見つめていた。
その瞳はさっきまでの強気な光はなく、どこか哀しげだ。
えっ?俺のせい?
いやいや見てませんから、リーシアに対して甘い視線なんかで見てませんから。
ぶっちゃけスペックなら侯爵令嬢であるアウレシアの方が上だ。
容姿だっていいし。まぁ、性格はちょっときつめだけど。
アレでなかなか可愛いところもあって……。
あれ? じゃぁなんで俺はアウレシアに婚約破棄だなんて言ったんだ?