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第36話 異変の原因確定

 翔は朔夜と共に教室に戻る。朔夜は迷わずに翔の存在を気にせずにスカートの下にジャージを履こうとする。

 翔は慌てて朔夜から視線を逸らす。自分は男だと認識されてないのではないかと不安になった。


『あー、少年一応だけど、さやは俺と一緒にいる事多くて、あまりそういうの気にしない子に育っちゃってさ』


 ゆうが後ろから申し訳なさそうに言ってきた。


「は?」

『いやぁ、お前に取り憑く前はさやと一緒にいたからさぁ……。まぁ、俺が話しかけてても気にせず着替えをしておりまして……』


 ゆうの言葉が徐々に小さくなっていく。翔はゆうが言わんとしていることがわかって、マジかーと頭を抱えたくなった。しかし、今はそれどころじゃない。


「君達、何遊んでるの?」


 制服のスカートの下にジャージを履いた朔夜がスクールバッグを肩にかけながら呆れたようにため息をついていた。


「遊びじゃないから、体育に行ったら?」

「誰が行くか!」

『……おい、さや誰か近づいてきてる』


 ゆうが教室の扉から顔を出し、廊下の様子を伝える。


「鳴海か?」

『違う』


 朔夜とゆうが慣れた様子で短く情報交換をする。そして、頷くと迷わずに教室の窓を朔夜は開けた。


「ここから外に出るよ」

「えっ……ああ、わかった」


 翔は戸惑いながらも頷き、先に窓から外に出た朔夜に続く。窓から外に出るとさらに異変を肌で感じる。風が気にしすぎか、生温かく感じる。また普段体育で使う校庭が夕日とは違う赤に染まっており、ここは現実なのかと疑いたくなった。


「何? 怖いなら体育館に行けば?」

「行かねぇ、お前1人にできるか」


 翔が朔夜について行っているのは半ば意地もある。それでもこの恐ろしい空間に彼女1人にするわけにはいかない。


「……足手纏いにはならないでよ。僕も君を確実に助けられる保証はないんだから」


 小さく昨夜が呟く。しかし、翔の耳にはしっかりと届いていた。だからこそ違うと思った。翔は助けられる為についてきたのではない、助けるためについてきているのだ。


『いた。生徒と教師の避難は終わって、リンが結界張ったぞ』


 上から声がして見上げるとそこには黄金に輝く竜がいた。一瞬驚いたが声は聞き覚えがあった。竜と目が合う。コウだと翔は本能的に思った。コウは竜の姿から人型に戻る。


「ありがと。天邪鬼は?」

「それが見当たらねぇ」


 コウの言葉を聞き、朔夜は考えていた。そして呟いた。


「……屋上」

「は?」


 朔夜の言葉にコウが訝しげな顔をした。


「生徒は入れないけど、天邪鬼なら屋上からこの混乱を見ている可能性は?」

『……奴の残虐性を考えると有り得なくもないな』


 朔夜の言葉にゆうが頷く。それで納得いったのか、コウがわかったとまた、神獣の姿へと戻り、屋上に向かって飛んでいく。


「なぁ、天邪鬼ってどんな見た目なんだ?」

「わからない。でも隠世の存在ならば見ればわかる」


 翔の問いに答えながら朔夜は鞄から飾り扇子を取り出し、すぐに使えるようにか腰とスカートの間に突き刺していた。そして、次に神社の神事で使われるような鈴を取り出す。


「今後もこういうことが起こる可能性があるなら、久遠に簡易的に使える鈴を作ってもらったほうがいいかもしれないな」

『そうだな』

「で、ゆう。天邪鬼の形は?」


 鈴を取り出すとスクールバックは用済みとばかりに校舎の横に置きながら、ゆうを見て問いかける。


『……気配でわかる。でも姿形は人を型よっている。それが俺の知ってる天邪鬼だ』


 ゆうの言葉にそうかと翔は気づく。ゆうは長生きだ。もしかしたら会ったことがあるのかもしれない。そして苦々しい言い方から何か因縁があるのかもしれないとかけるは察した。


「とりあえず、あえばお前らがわかるんだろ? 屋上以外も探しに行こう」


 この非日常で翔は意識して明るい声を出した。そうしないと自分の正気を保っていられないような気がしたのだ。


「そうだね。体育館付近に現れたら念話でリンが教えてくれるはずだ。だから、僕達は校舎の外から探そう」


 朔夜は納得してくれたようだ。安心して、先行しようとした。しかし、朔夜に後ろからすぐに肩を掴まれる。


「まさか君が前を歩くつもりか? 何かあったら対処できないだろ。君は真ん中だ。ゆう、後ろの監視は任せた」

『わかった。まぁ、少年諦めろ。俺も少年は真ん中がいいと思うしな』

「……わかった」


 納得はいかないが安全を考慮すると指示を仰ぐのが正解だと流石の翔でも理解できた。力になりたいのに足手纏いに近い現状に無意識に拳を握る。


『わりぃ、天邪鬼を取り逃した』


 慎重に警戒をしながら歩いていると頭上より声をかけられる。


「コウ、という事は屋上に?」

『ああ、ご丁寧に人型でここの制服を着ていやがった。俺に気付いたらズルがしっこいのか校内に逃げられちまった。すぐに探したが見失った』

「……大丈夫。とりあえず、原因が天邪鬼と特定できただけでも進歩だ。コウも人型に戻って校内を探してくれ」


 朔夜の言葉に、コウは人型に戻る。それを確認して朔夜はゆうに声をかけた。


「ゆう、鍵」

『おうよ!』


 ゆうは短く返事をすると窓に頭を突っ込み何かを見ている。そして、スーと校舎内に入ると一つの窓を指差した。それを見てすぐに朔夜が窓を開けた。

 どうやらゆうに鍵の空いている窓を探させていたようだ。窓から順番に教室に入ると、コウとは別れた。そして翔と朔夜、ゆうの3人で天邪鬼を探す為に廊下に出た。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、明日20時に更新予定です。


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