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まず初めに、この物語を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


本作は当初、ローファンタジーを軸としたサイコサスペンススリラーのような作品を書いてみたいなぁ、という安易な思いから書き始めたものです。これまであまり挑戦したことのなかった戦闘描写にも取り組んでみたいと考え、冥府を舞台にしたバトル要素のある物語として構想しました。


しかし、プロットを膨らませ、物語を紡いでいくうちに、私は主人公である黒木真也の「悲しい過去」と向き合うことになりました。


日々ニュースを見ていると、世の中は理不尽で残酷な出来事に溢れています。慈悲のないエピソードや、モラルを欠いた行動、そして犯罪。それらに対して怒りを覚えることが、少なくありません。

その憤りを抱え続けてきた自分自身を、執筆という行為を通して改めて見つめ直す時間が増えていきました。


そんな中で、『心に深い傷を抱えた多くの方々に対し、寄り添うとはどういうことか』という問いを、強く考えるようになりました。


黒木真也というキャラクターは、漫画家・高橋ツトム先生の作品『地雷震』に登場する、飯田響也という人物に強い影響を受け、そのイメージをもとに形作ったものです。しかし、彼の葛藤や苦しみは、どこか自分自身とも重なり、物語を書き進める過程で、私自身に多くのことを考えさせ、成長させてくれたように思います。


少し私事になりますが、令和8年1月30日、祖父 栄が91歳で永眠しました。

祖父は私を含め、孫やひ孫の成長を心から楽しみにしてくれていた人でした。葬儀の席で、父もそのことについて話をしていました。


今では時効、ということで少しだけ暴露すると、祖父の定年後の趣味は、メジロやウグイスなどの野鳥を愛でることでした。

鳥もちを仕掛けて捕えるのですが、誤ってスズメがかかることもあり、祖父はそれを捌いて食べたりもしていました。当時の私にとって衝撃的でしたが……(※鳥獣保護管理法で禁止されています)

そして、子どもだった私にも食べさせようとして、祖母と口論になっていたこともあります。今思い出しても、なかなか強烈な記憶です。


そんな祖父とは、生まれてから高校生まで同居していました。

中学生の頃だったか、作品にも登場するイソヒヨドリを、祖父が雌雄で捕えてきたことを覚えています。捕えたといっても、私の25年位前の記憶によると 巣が落ちていた といったような理由だったので、拾ってきたといった方が正しいかもしれません。(台風の後に、海岸を見に行っていたような……)


何故持って帰ってきたのか? と問う祖母に向かって「蛇に食べられては可哀想だ」などと言い訳をしていた気がします。

つまり、雛の状態で二羽を自宅まで連れてきました。最初はメジロやウグイス用の小さな鳥かごで飼育していたのですが、これからどんどん大きくなるからと言って、竹で大きな鳥かごを自作し、それを誇らしげに見せてくれました。


しかし、その二羽は結局、成鳥となった後もその鳥かごから一度も外へ出ることはありませんでした。先に雌が、数年後には雄が、空で羽ばたくことなく一生を終えました。


オスのイソヒヨドリは、成長するにつれ、とても鮮やかな体色になり、子どもの私でも思わず見とれてしまうほど美しい鳥でした。

ですが、狭い鳥かごの中で遠慮がちに羽ばたくその姿はすごく窮屈そうで、幼いながらに、こう思ったことを覚えています。


本当に鳥を愛でるのであれば、捕えるのではなく、自由に空を飛ばせてあげたらいいのに。


もしかすると、そんな子どもの頃の記憶が、澪の死に囚われ続ける黒木の精神と重なっていたのかもしれません。


黒木と田中。作者としては、二人のこれからの人生が、少しでも穏やかなものになることを願っています。

そして、この作品が、さまざまな辛い経験をされてきた方々の心を、少しでも楽にすることができたなら、それ以上に嬉しいことはありません。


最後に、前作『DAO』のあとがきでも触れましたが……次こそはっ! ハイファンタジーに挑戦したいっ!! と思っています。


また、お会いできましたら嬉しいです。

それでは。


2026年3月17日

——Geppetto

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