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7話 本当の友達に

その晩、あおいさんへとメールをして家に来てほしいことを告げた。


『あおいさん、おはなしがあります。とつぜんですが

うちにきてもらっていいですか』


『え、なんだろう?いいよ~!私は明日あいているけど

どうかな?』


『はいいです。むかえにいきます』


明日あおいさんに話せるかな・・・

考え始めると何度も不安を巡らせていく体質なので

気分を変えようとテレビをつける。


「今年もコミケが開催され~」


うおおおおぉ、お祭りのようなにぎやかな映像が映し出された。テレビの人が話す前にすぐにこれは

コミケだと認識。

限定品のタペストリー通販始まらないかな?

コミケは楽しそうだなーなんて思いつつもやっぱり引きこもりにはハードルが高い。

それに暑そう。暑いのは嫌だなー。

と私はクーラーを効かせた部屋で寝転がる。

そういえば、あおいさんはコミケ行ったことあるのかな?


・・・・・



「エレナ、ごめんパパ急なお仕事が入って。これから行かないといけないんだ」


うーん?いつの間にか寝落ちしちゃってたのか。

ベッドから身体をおこして近くにいるパパの姿をボヤケタ目で見る。


「そうなんだ・・・外国に戻るの?」


「いや日本での仕事だよ。エレナのお友達に会えないのは残念だが」


「伝えておく・・・」


眠気のあまり曖昧な言葉を残しわたしはパパがまだ部屋にいるうちに

もう一度寝転がると身体にふわっと心地よいものがかけられる。

パパがタオルケットをかけてくれたみたい。

でも暑い・・・。


「暑いよ・・・」


「いくら夏だからって薄着に何もかけないんじゃあ風邪ひくぞ」


なんという親らしい言葉だろう・・・。



「うーん・・・・」


本日2度目起き。まだまだ眠い・・・あおいさんを迎えに行くのは10時。

スマホで時刻を確認9時ちょっと過ぎ・・・・起きなきゃ。


着替えを済ませて1階の居間へと向かうと

パパの姿は無くてテーブルにサンドイッチとサラダが置かれていた。

そういえば、お仕事いったんだったけ。

海外・・・?日本・・・?


食卓に着いてサンドイッチを食べながら

パパはどこに向かったのかぐるぐると考え始め。

しばらくして早朝の会話を想い出し無事解決。




ご飯を食べ終えてから玄関へ。

スマホで時刻を確認すると現在9時30分・・・。

食べるスピードが遅いのはいつのもことだけど今日ぐらいは急いだ方が良かったかな。

うーん・・・後悔するより進もう。


『すいませんすこしおくれるかもしれません』


私の歩きだと確実に10時を超える自信があるので

予めあおいさんに時間通りに着かないことをメールで伝える。

それにしてもなんて自慢にならない自信だろう。


外の世界に飛び出すと今日も日差しが照りつけてくる。

つまり、とっても暑い。

負けそうになりながらもゆっくりと歩いていくと

またもやいたるところに小さい子がいて、楽しそうにはしゃぐ声を聞く

夏休みはまだまだ終わらないみたい・・・。




ようやくして公園へと着くとあおいさんの姿は無かった。

またうしろから現れたり・・・することもないのを振り向いて確認。

ところでいま何時だろう・・・。


スマホを起動させると9時53分だった。

私としてはいつもよりはやく付けたかな。

そしてメールが来てる。あおいさんからだった。


『大丈夫だよ~気を付けてきてね☆』


「エレナちゃん来てたんだね!」


メールと現実のあおいさんがシンクロするように

呼んでいる途中であおいさんがそばに現れる。


「あ、あおいさんおはようございます。すいません、メールしたのにはやく着いてしまいました」


「おはよう!あはは、全然いいよ気にしないで!」


あおいさんは楽しげに笑って見せるのでこれについては安心。

可愛いー・・・。

そういえばあおいさんわたしが好きなタイプの女の子かも。

ちょっとお姉ちゃん系で・・・。


「どうかした?」


「い、いえ」


こ、こんな大事な時に何を考えているんだわたし!


「エレナちゃんのお家案内してもらって大丈夫かな?」


「は、はい!」



「ここがエレナちゃんのお家なんだね・・・!」


家へと到着するとあおいさんは感心したように家を見上げる。

そういえば友達・・・いや他人を家にいれるの初めてかも?


「どうぞ・・・」


「ありがとう!おじゃまします」


あおいさんをお家の中へ招待して私も後から入る・・・

うーんと次は・・・

人を家にいれたことが無いのでどうすれば良いか戸惑ってしまう。

そうだとりあえずお部屋に案内しよう。


「そういえばエレナちゃんお家の人は?」


「父は朝までいたんですが急なお仕事で・・・」


「そうなんだね・・・」


家の中から静かだから不思議に思ったのかな。ママの事もいうべきか迷ったけれども

それ以上尋ねられなかったので辞めた。



「あ、部屋は2階ですので。階段をあがります」


最後の説明はいらないでしょ、だめだ私だいぶ焦っている!

階段を上り終え

2階の部屋の扉を開けるとあおいさんはまたもや驚く。


「すごい可愛い・・・!」


「あ、良かったら好きに見てください」


「ありがとう・・・!」


好きな物が同じなのはやっぱり嬉しいなー。

それにこうして共有できるのも幸せなんだね・・・。

やっぱりお別れなんて・・・いや。私は力なくベッドに座り込む。


「あ、ごめんね・・・!お話し聞かせてもらって大丈夫かな?となり座って大丈夫・・・?」


「いえ。はい・・・」


あおいさんは私の様子に気づき、隣に座る。でもなかなか切り出せなくて・・・

どうしようあおいさんをまたせてしまっている。

なら・・・。


「あおいさん・・・私の事嫌いになるかもしれないです」


「・・・大丈夫。受け入れるよ」


あおいさんの言葉には一切迷いが無くて、私は涙を抑えきれなかった。

気持ち伝えないといけないのに。あおいさんはどうしてこんなにも。


「わ、私・・・実は引きこもりだったんです。学校にも行けてません」


「エレナちゃん・・・・つらかったね。話してくれてありがとう」


「今まで本当の事言えなくてすいません」


「謝らなくていいよ・・・大丈夫だからね。エレナちゃん」


あおいさんは突然私を引寄せ抱きしめてくれた。

えっ・・・?


「これからは私のことたくさん頼っていいからね」


「・・・はい」


心と身体であおいさんの温かさを感じながら解放された気持になって。

なんだろう・・・すごく安心する。


それからー

あおいさんは私のお部屋を見学して、アニメのお話をしたり

楽しい時間を過ごした。

こんな時間をこれからも続けられるのは幸せかも。



あおいさんが帰宅する直前になって

私はもう少し勇気を出して気になっていたことを問う。


「あおいさんに聞きたいのですが・・・」


「なにかな?」


「・・・もしかして気づいてましたか私が引きこもりだってこと・・・」


「・・・その事は分からなかったけれどね。なんとなくエレナちゃんが時々

つらそうにしてる気がして。何かあるのかなーと思ったよ」


「そうでしたか・・・」


あれ・・・?それだと・・・。

“また会えるよね“の言葉の理由にあまりつながらない気がする・・・。


「どうかした?」


「い、いえ・・・」


思うとわたしもあおいさんの知らないことがたくさんあるんだよね。

あおいさんとの関係はありがたいことにまだ続けられる

もっと・・・あおいさんと仲良くなれたらと願ってしまう。


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