6話 打ち明けたい気持ち
お出かけからの帰宅後、どっと疲れてしまったわたしは
すぐさま部屋のベットへと寝転がる。
「疲れたー・・・」
時計の音しか聞こえない夜の空間でひとりぐったりつぶやく。
“また会えるよね“
あおいさんのそんな言葉を思い返す。
どういう気持ちであの言葉を私に伝えたんだろう。
もしかして、引きこもりというのに勘付いて。
私が急にまた引きこもる可能性を考えて。
だとしたら・・・
あおいさん勘が鋭すぎるよね・・・?
・・・・
この先、メールしてるときとか出会った時に何か問い詰められたりするのかな・・・
その時私は本当の事を言えるのかな。
そんな不安と迷いを抱えながら眠りにつく。
けれどもあおいさんから何も問い詰められないまま
ほんの少し時が過ぎ・・・
「8月13日・・・」
わたしはスマホのメール着信音で朝8時というとても早い時間に起こさた。
まずは日付を確認。
8月13日・・・
あおいさんではないだろうなぁとまだ眠い目を擦りながら考えながらメールを開く。
『エレナ、元気にしてるか?今日そっち行くからな』
用件だけが打たれたシンプルなメール。
主は・・・想像通りパパだった。
いつもはメールをしてこない、帰ってくる時間も遅い・・・むしろ帰って来ない日が多い
パパが8月13日
この日だけはしっかりメールを送り、はやい時間に帰宅してくる。
不思議だ・・・。
私は色々しんどい日だなあと思いつつ
1階へと降りる。
すると玄関の引き戸が開けられ、グッドタイミング?で帰宅してきたパパと遭遇。
長身できりっとしたするどい眼が相変わらずで少し怖い。
ところで歩きスマホでもしたのかな?
「エレナ、起きてたのか?って・・・・まだパジャマということは起きたばっかりか」
「うん・・・」
「そうか。ごはんまだだろ?今からつくるから待ってなさい」
早々にキッチンへと向かうパパの背中を見ながら
聞こえないような声でつぶやく
「別にいいよ・・・」
疲れてるなら、無理しなくてもいいのに。
パパがご飯を作り始めたから
私はすることもなく、手伝える技術も無く・・・
キッチンテーブルの椅子にでも座っていようかとしたけれど。
「パパご飯作ってるから、先にママに挨拶してきなさい」
「・・・・うん」
・・・嫌だなぁ。
そう思いながらも私は家の奥のだれも使っていない
お部屋へと向かう。
ちゃんと向き合えないよ・・・。
殆ど暗い気持ちでお部屋へ入り込んで
仏壇の前で俯き加減で座る。
「・・・・・」
ママの写真を見れない。
見るとつらくなって、どうしようもなくなっちゃうから。
「ママごめんね・・・」
私はまたいつものように哀しい言葉だけをいい残してしまった・・・。
「ちゃんと挨拶できたのか?」
キッチンへと戻るとーブルに色とりどりの料理が並べられていた。
ごはん出来たんだ。
そしてパパはしっかりと席へとついていた。
「うん・・・」
・・・ウソをついてしまった。パパはわかってるだろうけれど。
「そうか。ところでエレナに聞きたいことがあるんだが、いいか?」
「いいよ・・・?」
私も席へと着くとパパは真剣な眼差しで問い詰める。
なんのことだろう。そして眼が少し怖い。
もしかして怒られるのかな・・・
私何か怒られることしたっけ・・・?
「玄関にエレナの靴があったが・・・もしかして外に出たのか?」
「えっ、うん・・・」
不安になったけれど、意外にも尋ねてきたのは外出のことだった。
「何かきっかけでもあったのか」
「うん・・・と、友達が出来たの。ネットで知り合って」
「そうか。・・・それは良かったな」
冷静そして穏やかに私の話を聞き
パパは全く表情を変えない。
まぁいつも通りだよね、パパは私に関心が無いのかもしれない。
何か打ち明けても特に驚いた表情を見せたりすることは全然無かった。
「学校に行ってない事はその子は知ってるのか・・・?」
「ううん、そのことは言ってない。怖いの・・・」
パパは少し迷って・・・
「言った方がいいだろう。このまま黙ってるのも苦しんじゃないのか」
「そうだけど・・・」
学校に行ってないことを話してもし嫌われたらと思うと・・・。
そしたらまた・・・ひとりぼっちになってしまう。
「厳しいことをいうようだけど。受け入れてもらえなかったらそれまでだ。
その子はエレナにはあわない。それだけだよ」
「そう・・・なの?」
なんだかすごく胸に突き刺さる言葉を
うまく飲み込めないままパパは次の言葉を放つ。
「それにな、その子も本当の事言ってほしいと思ってるんじゃないのか?」
「・・・それは・・・あるかも」
また会えるよね・・・
あおいさんの言葉を再び思い返す。
あおいさんは気づいているのかもしれない・・・私が話すのを待っているのかもしれない。
「とりあえず食べながら話し合うか」
「そうだね・・・」
私はパパの焼いてくれた卵焼きを箸で小さく切り口に運ぶ。
・・・おいしい。
「今度その子を家に連れて来なさい」
「うん・・・・え?なんで」
「パパも挨拶しないとだろ。結果はどうなるかわからないが。
エレナと仲良くしてもらったんだから」
なんだか、すごいことになりそうだ。




