また会おう、その時は絶対ナツ! 六十三球目
六十三
「Fさんが僕に日誌を見せてきた」
小想はとくに口を挟むこともなく、僕の言葉を待つ。
日誌を見せながら、思い出したように笑いを堪えていた顔は今も覚えている。
「Fさんは『ちょっと待ってね』と日誌をパラパラっと捲り、ページを探し始める。目的のページに止まるなり、内容を見てまたちょっと笑って『えっと、ここです。あの……あと、笑っちゃってごめんね』と予め謝罪が入った」
僕と距離があったためかタッタッと歩いて寄ってくる。
身長差は10センチくらいか。思ったより低くないと感じた。
「見せられたページは僕がさっき教室で書いた日直の感想欄。特段、変なことは書いてなかったはずなんだが、Fさんはまだ気まずそうにしながらも笑いを我慢していた」
小想には言わないが、この時点で僕の頭の中に『笑った理由』に対する興味が薄くなっていた。
元々、女性への免疫が母とヒメ以外ないうえに、彼女の幼いフェイスが腕を伸ばせば触れるとこにあって、変な汗が出てそうだ。
もしもう汗が出ていたとして、臭くないだろうか。
顔赤くなってないだろうか。まだ誤魔化せそうか。言動は。そんなことばかり考えていた。
「それで、なんと書いて、お書きになっていたんですか?」
女の子の顔が近いのは話の彼女だけでなく、リアルもだった。
小想の柔らかいお日様のような匂いと、過去の彼女の匂いがリンクする。匂いの違いは明確にあれど、この話題をしたくなった一因だろうか。
あとたしか、体臭をいい匂いだと感じたら遺伝子的に相性がいいと聞いたことが……ってなに考えて……。
「本当に、誰でも、なんなら前の日の人が書いたのをまるまるトレースしたような感想を書いた。でも――Fさんが笑ったのは、べつにあった」
僕は溜める余裕もなく、続ける。
「どうやら滑って落とした拍子に僕の感想欄を読んだらしい。そこで気づいたことを困惑気味に、要約して言ってくれた『な、なんで……〝先生の〟感想欄に書いてるのかなー、って』と聞いた途端、僕はキョトンしたと同時におかしさがこみ上げてきた」
彼女の揺れる上目づかい。そのときにはじめて拝んだ顔は、そのはにかんだ顔は今も変わらない。
恥ずかしさや動揺は、不思議となかった。
むしろさらけ出してもいいとさえ思った。
ふと浮かぶ気色悪いワードを言いたくなるほどにだ。
「わ、わたしは、1ページ飛ばして書いたこと、あります……。な、なので、ミスは誰にでもあります。で、でも! それがきっかけで会話できたんですね!」
落ち込んでいるわけでも、失敗談を語っているわけでもないんだがな。小想はそれぐらい優しいのだ。
小想は返しに『自分を引き合い』に出したり『共感』を得て仲間意識を作ろうとする節がある。悪いことじゃないし、僕を相手にしている今は問題ないし、とても話しやすい。
なにが言いたいか。
まあ、その言葉も、気色悪いワードもここで言わないでおこう。
11月になりました。まるまる10月の更新をすっぽかしてしまいました。このお話は書き上がっていたんですけどね。
そのあいだにいろいろありましたね。いつの間にかログインが二段階認証になっていますし…。
乗っ取られないようセキュリティは万全に。パスワードは使いまわしてません。昔から。
では
来週にでも
友城にい




