ep30 月詠神社に集合しよう
【重要なお知らせ】
前話の内容に誤りがあり、本日正しいものに差し替えました。お手数ですが、一度前話に戻ってお読みいただけますと、この話に綺麗に繋がります。申し訳ございません!(7/1訂正)
「月詠神社行くの?」
高校入学後、初の休日である土曜日の朝、朝食を当夜達と一緒にとっていた翼は食後のコーヒーを飲みながら言う。
「あの親睦会の後に神社の前まで行ってさ」
純は翼にそう説明する。当夜は目を輝かせながら翼を見る。
「なんでも御影島が出来た時からある由緒ある神社らしいじゃん。これは行っておかないとさ」
「ふーん、月詠神社かぁ。そういえば私行った事ないかも」
「そうなんだ。でもこの島で1番大きい神社だろ? 九条さん、初詣とかどうしてたの?」
楽しそうに話す当夜に翼はニコニコと興味なさげに言う。それに純が驚いた。
その様子を不思議そうに見ながら翼は理由をなんでもない様に伝える。
「正月は弟に会える絶好の機会だから、それに初詣は御影島来てから一回も行ってないかも」
「そうなのか!? お祭りじゃんか」
「人混みそんなに好きじゃないんだよねー」
驚く当夜に翼は笑う。人好きがしてコミュニケーション能力が高い翼が人混みが好きじゃない。意外だとどこかあべこべだと当夜は思った。
「なら、一緒に行くか? せっかく御影島にいるんだし一回ぐらい行ってもいいんじゃないか?」
当夜の提案に翼は「うーん」と悩むそぶりを見せる。そして斜め前の席で様子を見守っている純に顔を近づける。
「ねぇ、月詠神社と月詠の巫女って名前から関係あると思うんだけど、結城君気づいてる?」
「多分、当夜は気づいてないってか、月詠さんのこと忘れてるんじゃないかな」
翼の問いに付き合いの長い純は呆れながら言う。そんな2人の様子に気づかずに当夜は期待に満ちた瞳で翼を見ていた。翼のカラッとした性格が当夜は付き合いやすく、出会ってまだ1週間程度の仲だが純と同じぐらいには翼は一緒にいて当然と思っているのだが。
当夜の瞳からそれらの感情がありありと溢れている。それを感じとった翼は呆れたように笑う。
「まっ、せっかく誘ってもらったし行こうかな?」
「本当か!?」
嬉しそうに机に両手をついて立ち上がる当夜を見て翼は笑う。当夜の隣に座っている純は申し訳なさそうに翼を見ていた。
「本当にいいの? 今日予定なかった?」
「大丈夫だよ。予定もないしね。三好君こそ、ここ来てからずっと結城君に付き合ってるけどいいの?」
「もう、俺はいつもの事だから諦めてるよ。よっぽどの事がない限り予定を入れても無駄だからな」
諦めた様に遠い目をした純に何かを察した翼は両手を合わせて拝む様に合掌した。しかし当の当夜は気にしない。今日の予定が決まると迷わずに残っていたヨーグルトを完食し、お膳をもち席を立つ。
「おい、そんなに急ぐな。神社は逃げないんだからな」
「俺は用意してくる! 2人も早く準備しろよ!!」
純の言葉も聞かずにそう言うと当夜は食堂を後にした。
残された2人は顔を見合わせ息を吐く。当夜に振り回されるこの点において2人は同じ立場に立っていたのだ。
♢♢♢♢
「詩織、奏さんから今日いつもの場所で話があるってさ」
「みたいだね、私にも連絡があったよ。昨日の緊急招集の件かな? 風見さんって警察の方も来るみたいだね」
リビングで情報共有をしながら詩織達は朝食を食べる。
「珍しいよな、奏さんが他の人と来るなんて。そんな大事なのかな?」
「可能性はあるよね。今まで奏さん、私たちを守るって意味でも他の警察の人達とは合わせない様にしてたもんね」
「そうだな、だから風見さんって人は信頼できるはずだ」
話しながら2人は朝食を食べ終える。そして片付けを行うと巫女のお役目の為、月詠神社に向かうのだった。
♢♢♢♢
月詠の巫女のお役目は休日は午前中、平日は夕方に行なっている。これは巫女が学校にきちんと通える様に決められた物だと言われていた。時の月詠の巫女が学生時代に学校を休むのを渋った為らしい。詩織もその恩恵を受けていた。
瑞稀は社の近くの木にもたれて本を読みながら詩織がお役目を終わるのを待っていた。しばらくすると瑞稀の近くに1組の男女が近づいてきた。奏と風見だ。
「瑞稀君、こんにちは。詩織ちゃんはまだお役目中?」
「奏さん! 時間的にもうすぐ終わると思いますよ」
奏の問いに瑞稀は笑顔で答え、奏の隣の男を見る。瑞稀の視線に気づいた風見はにっこりと笑うと自己紹介する。
「初めまして。特対部で天宮ちゃんの同僚の風見っす。お見知り置きを」
瑞稀に腕を差し出し、握手をする。軽い話し方に瑞稀は訝しみの視線を向けるが風見は気にしない。ニコニコと本心を悟らせない笑顔を浮かべている。
「ごめんね、瑞稀君。風見君はこの通り軽い人間だけど、仕事はちゃんとする人だから」
「ひでぇよ、天宮ちゃん。俺のことそう思ってたの?」
笑顔を崩さずに風見は奏に返す。瑞稀は何か言いたくなったが、奏が信頼している様子を見て口をつぐむ。そうこうしていると詩織が社から出てきた。
そして、話している3人に紅色の正装のまま近づく。
「お待たせしました、着替えてくるのでもう少し待っていてください」
詩織はそう伝えて、服を着替えるために1人納屋に向かった。
今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
次回は、明日20時に更新予定です。




