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ぱんどら ー治外法権の島ー  作者: 星川宙
第三章ー再会ー
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26/29

事件は静かに始まっていた

設定確認のために読み返しを行っていたら、誤字の多さに驚きました。こんな文章を読んでくださっており、ありがとうございます。今日、気づいた分の誤字と違和感のあった場所を少し修正しています。

 中原は切れた電話をポケットに乱雑に突っ込んで、吹雪から聞いた特徴の男の少し後ろを歩く。人はまばらで車道には時折車が通るぐらいだが、人の目がないわけではない。本当にこんなまだ明るいタイミングで誘拐なんざ起こるのか? と疑問に感じる。


 しかし今まで吹雪の情報が間違っていた事はなかった。あえて情報を抜いて話すこともあるが、真偽に関しては信頼している。犯人に記憶操作か洗脳の能力でもあるのか? そう疑いながらも男との距離は等間隔になるように努める。

 声をかけるのは簡単だが、それで犯人が諦めて何の手掛かりも得られない可能性がある。犯人のものと思われる白い車を確認後、保護する。中原はそう決めて男から視線を離さずに周りを見回す。


 少しすると前方から白い車が走ってきて男の横で止まる。そして、運転席から1人の男が声をかけようとしていた。中原はそれを確認すると走って車に近づく。


「道に迷っててさ、お兄さんこのへんの人? 案内お願いしたいんだけど」

「どこに向かってるんですか?」

「港の近くに友達が引っ越したからお祝いに行くんだけど、この島には久々に帰ってきててさ」


 運転手の男はそう話すと、運転席から降りてくる。そして携帯を片手に男に近づいた。その瞬間、中原が運転手の男の肩に手を置く。


「道案内なら俺がしよう。この島に長く住んでいるからだいたいの住所でわかるぞ」


 そう伝え、警察手帳を見せて笑う。

 中原が警察だということに気づき、運転手の男はあからさまに挙動がおかしくなる。


「警察官ですか、お疲れ様です。それなら俺の道案内は不要ですね」


 狙われていた男はその事に気づかずに微笑む。すると運転手の男はいきなり携帯を耳に当てた。


「……なんだって? パーティするから食べ物買ってこい? ……わかった。買ってから行くな」


 そして携帯の通話口を押さえながら中原にぺこりと頭を下げる。


「すんません、買い出し頼まれたんで先にそっち行きます。親切なお兄さん達ありがとうございました」


 そう言って車に乗り、その場をさっていった。中原は気づかれないように息を吐くと、男に向き直る。


「最近、行方不明事件が多発していてな、もしかしたら誘拐かもしれねぇと思ってつい口を挟んじまった。すまんな」


 中原は隠しもせずに割り込んだ事実を告げた。すると男は驚いたように目を見開く。そしてなんで警察がいきなり割り込んできたのか理解して背筋に冷たいものを感じた。


「そうなんですか、気をつけます。お巡りさんもお疲れ様です!」


 男は爽やかな笑顔を向けてその場を去った。車と反対方向に向かったことを確認し、中原はほうっと息を吐く。

 そして、気づく。車がいた事や事象は覚えているのに、運転手の男の顔や車の車種、ナンバーを覚えていない事に。


(能力者による、能力者の誘拐事件だと? )


 行方不明事件の全貌はまだわからないかまだ、すでにかなりの特対部案件が起こっていることを知り、頭を掻く。


「……風見か。天宮にも連絡してすぐに集まってくれ。緊急事態だ」


 そして電話をかけて風見に指示を出す。この未遂事件すら吹雪の手の内だったのではないかと一瞬考えてしまう。あまりにも偶然が出来すぎている。しかし、その可能性はすぐに否定する。そんなことを吹雪がする必要性を感じなかったからだ。

 確かに犯罪者にも金さえ積めば情報を売っている。しかし、あの面倒事を嫌がる奴がわざわざ大きな事件を起こすとは思えない。


 毒をくらわば皿まで。吹雪を利用すると決めた時から中原は覚悟を決めていた。そして、何か起こったら自分が責任も取るつもりでいる。その事は直接言っていないがどうせ吹雪は気づいているだろう。

 これから忙しくなると頭を切り替え、中原は急いで警察署に戻るのだった。




 ♢♢♢♢




「うおっ、あぶねぇな!!」


 恐怖の親睦会解散後、当夜は純を引き連れて島の探索をしていた。翼も誘ったが、笑顔で断られた。若干誘っていた時に瑞稀の顔が引き攣っていたのは気のせいだろうか? 当夜は不思議に思いながらも3人と離れ、地図を広げた。


 そしてしばらく歩いていると急に白い車が飛び出してきて、危うくぶつかりそうになる。


「信号はないけど一時停止のマークあるぞ! 警察呼べ、警察!!」

「もう車見ないから意味ないよ。それにしても危なかったな」


 元気に怒る当夜に安心しながらも純は車が遠ざかっていた方を見た。何かから逃げているような運転だったな。そう思いながらもすぐに当夜が別の事に興味が移り、動き出すのに慌てて着いていく。


 2人はそれが先程能力者を誘拐しようとしていた車だとは知るよしもなかった。


「当夜、そんなに走るな。また車が飛び出してきたら危ないだろ!!」

「そう何回も飛び出してこねぇよ! それより純、この先に神社があるんだって! 行ってみようぜ」


 当夜は看板に「月詠神社まであと1km」と書かれている看板を目を輝かせながら見ている。

 はぁとため息をつきながら止める方が体力を使うと大人しく後をついていくのだった。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は明日、20時に更新予定です。


新しく見つけてもらいやすくするために、タイトルにサブタイトル"ー治外法権の島ー"を付け足しました。中身や連載ペースは今まで通り変わりませんので、引き続きよろしくお願いします。

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