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ep156 悪の組織の実験施設?

 眞琴から説明を受けて、蒼と琉架は携帯からURLへとアクセスして指定されたIDとパスワードを入れる。

 すると、携帯にリアルタイムの映像が映った。カラスは蒼の言いつけ通りに商店街の店を見張っているようで、先程まで蒼がいた店が映し出されていた。


 蒼は適当に画面を触る。


「おっ、ちゃんと過去の映像も見えるんだな」

「当たり前だろ。早送りや倍速でも見えるぞ」

「おー! 本当だ!」


 蒼は、画面を色々と触りながら映像を戻していく。ちょうど、蒼が店を出た当たりまで巻き戻す。そして早送りでリアルタイムまでカメラ《カラス》が映像を送ってきてくれる。

 ざっと確認するも店員が店から出てくる様子はなかった。


「よし、この店とアジトは今後も要観察ってことで! まこっさん、指紋の検証!」

「まぁ、そうなるよな。で、どれの指紋を確認するんだ?」


 蒼はさっき車から持ってきて、机の上に置いた盆栽の入った袋と財布を両手に持つ。


「お札と盆栽! この2つに同じ指紋がついてるか確認して欲しいんだ。あったら、あの人形には指紋があることになる」

「……人形? なんだそれは」


 詳しい事情を知らない眞琴は怪訝そうに蒼を見る。

 蒼は掻い摘まんで禍月組の人形技術に関して伝えた。話を聞いている眞琴の顔が徐々に好奇心を隠しきれなくなっており、だから唯華は眞琴に話をしなかったのかと蒼はすぐに納得した。


「そんな面白いことになっていたのか」

「まこっさんて、能力者以外も興味あるんだな!」

「研究者だ。未知の物に興味を示して当然だろ?」

「そうか、まこっさんは研究者だった。色々と作ってたから科学者とか発明家だと思いかけてた」


 蒼は、そうだったと笑う。唯華の無茶ぶりをひたすら叶えている姿を見ていたせいで勘違いしていたなと自己分析もする。


「研究者とは、時に科学者や発明家にもなりうる者だぞ。私は能力者研究を主でやりたいから研究者と名乗っているだけで、そこいらの科学者や発明者よりも優秀な自覚はある」

「さっすが、まこっさん!」


 蒼は、ヒューヒューと口笛を吹きながら茶化す。昴と琉架のどこか呆れた視線が刺さったが無視した。

 眞琴は机から何かを持つと、書斎に向けて歩き出した。


「それでは行くか、日向達も来い。実際に吹雪が用意した私の研究所に案内しよう。……この屋敷は面白いよな、椎名」


 ニヤリと笑いながら、眞琴は中段にある本を1冊、押し込んだ。


 カチッ。


 何かのスイッチが入るような音とともに、書斎が横に動く。2m程書斎が動くと、そこには、地下へと続く石階段が広がっていた。


(ゆいは、地下への秘密基地が好きなのか?)


 蒼は、今までよく出入りしていた家に隠し通路や隠し部屋があることに驚きながらも先程の肇が生活していた地下を思い出して、小さく笑う。

 眞琴は、チラリと琉架と昴を見た。蒼も一緒に後ろを確認する。

 なんとも言えない表情の2人もきっと蒼と同じことを考えているんだろうなと勝手に決めつけた。


「この下で出来るってことか。秘密基地みたいだ!」

 

 蒼は2人の後ろに回ると背中を押す。


「ここまできたら、一蓮托生! 一緒に行くよ!」

「ちょっと、蒼さん。自分で歩けるから……」

「元々そのつもりですので、蒼さん、押さないでください」

「なんだ、お前ら。仲が良いな」


 4者4様の反応をしながら、薄暗い階段を降りていった。


 ◇◇◇◇


「おおー、本当に秘密基地みたいだな!」


 階段を降りた先にあったのは、よくドラマで見るような悪の組織が持っていそうな研究室だった。

 様々な実験機器やパソコンが並んでいる。


「指紋の検証は、こっちだ」


 眞琴の案内で、角にある1つの机の前まで3人は移動した。


「椎名、机の上に採取する物をおけ」

 

 眞琴は机の下の収納から何かの薬品と粉末を取り出すと、蒼に指示をしながら手袋を装着する。

 蒼は、指示されたとおりに盆栽の入った袋とお釣りでもらった千円札を3枚机の上に置く。


「盆栽は粉末法だからすぐに出るが、紙幣はニンヒドリン法――薬品を吹きかけての反応待ちだ。本来は数時間はかかる……が、以前物に能力を付加できる能力者と知り合ってな。別件の時間操作の能力者の2人に協力してもらって、時間経過を早める装置を作成している。すぐに結果は出る」

「おおー! ……能力を付与できる?」

「ああ、そうだ」


 眞琴の言葉に蒼は引っかかりを覚えて首をかしげる。

 

「ちなみに、その能力者って珍しい?」

「まぁ、そうだな。私も1人しか会ったことがない」


 眞琴はすでに作業をしながら蒼の疑問に答える。


「能力を付与って……」


 琉架や昴も気付いたようで顔を見合わせていた。

 "サーカス"過激派が利用した能力付与の能力者。きっと、眞琴の知り合いなのだろう。

 蒼は少し考える。仮に、その能力者に接触できて無意識下で使用した能力を解くことが出来れば、ノアズ計画は白紙に戻るのではないか?

 そんな考えが浮かぶ。


 だが、まずは人形に指紋があるかが先決だ。蒼は、眞琴の手元を見ることに集中した。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、明日20時に更新予定です。


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