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ぼくは、それでも夢にでたであろう彼女を探すことにした。自分には今でも夢を見ているんだと言い聞かせることにしていた。家だったはずのコテージから、リュックサックを取り出すと、野良猫が持ち去った齧り欠けのトーストの傍にあった小さめのりんごを二つに、ランプとナイフを持って行くことにした。
額の野良猫に引っかかれた傷がひりひりと痛いけど、銀色の砂粒の地を探しに、けもの道を歩いて行くことにした。おそらくは、元の世界では、働いていた会社の方には、山林地図書館や山林観察の地とか、山や林があったから、今の世界での苔むした岩の方には、砂粒がある地面はなさそうなのだ。
けもの道の方は、元の世界では迷路のような道路が複雑に入り組んでいたけど、郊外に大きな湖があったからだ。その湖の畔なら、銀色の砂粒の地があると考えた。
しばらく歩かないうちに、雑草に付着していた粘液質な水滴が、ズボンを重くしていった。普通に歩くよりも、二倍は疲れてしまう。
「あ?!」
地面に横たわる枯れ木の近くに、粘液と共に野良猫のだろう足跡がくっきりとあった。ちょうど、やや透明な粘液が足跡を型どっていた。
ぼくは、野良猫なんて放っておけばいいのに、その足跡を追ってしまった。




