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幸せになろう


 シノンが17歳になった。


「レオンハルト」


 昔と変わらず無邪気な笑顔を向けてくる。


「レオンハルト」


 どんどん綺麗になっていく。


「レオンハルト」


 目のやり場に困ることが増えた。


 今日もシノンが本を読みながら居眠りをしてしまった。

 無防備な寝顔に鼓動が速くなる。

 

 ピンクブロンドの髪を撫でる。


 目を閉じているので綺麗な紫の瞳は見えないが、いつも微笑みを絶やさないピンクの唇。


 湧き上がる想いをぐっと押しやり、額にそっと口づける。


 ずっと見守って来た。


 俺はシノンが好きだ。


 だけどまだ気持ちは伝えない。

 今伝えてしまうと自分を抑えられる自信がない。


 シノンが18歳になった時、問題を起こしそうにないと判断されればここを出ることができる。


 アル兄さんが予定通り侯爵位を受け継ぐが、伯爵位は俺に引き継ぐと言ってくれた。

 だからありがたく受けることにした。


 シノンとの将来への準備は整っている。


 あと1年。その時まで、今まで通りそっと見守る。


 ……この時はこれから1年も待たずに気持ちを伝えることになるとは思ってもみなかった。



 この1年の間にシノンが光魔法に目覚めたり、俺を解放するために俺から離れようとしたり……色々あったけど強引に黙らせた。


 覚醒した事によりシノンの力を悪用しようとする者が出てきてはいけないので、俺はシノンが独り立ちすると同時に伯爵位を引き継ぎ全ての手続きが済み次第シノンと共に領地に籠ることにした。


 シノンが学園に通っていないのにもかかわらず覚醒したことを考えると、攻略対象者のいる王都よりも領地で過ごした方がいい。

 社交はアル兄さんに任せる。


 そして18歳になりシノンは無事独り立ちを許された。


 教会を出る時はみんな号泣していた。

 それだけシノンはみんなから愛されていた。


 教会を出てすぐにタウンハウスに連れて行き俺の家族を紹介した。


 シノンはバルト兄さんを見て驚いていた。

 第3騎士団長が兄だということを言うのを忘れていた。確かにバルト兄さんは婿養子に行ったからファミリーネームが違うので言わないとわからないか。

 でも驚いたシノンの顔は可愛かったから、まあいいか。


 家族には前もって事細かに報告をしていたので、みんなシノンを温かく迎えてくれた。

 歓迎してもらえるか不安を口にしていたシノンはホッとしていた。


 シノンのこちらの世界での両親は彼女に二度と会うつもりはないと早々に縁を切る手続きを取っている。


 だから、俺がいれば充分だと思えるぐらいに彼女を幸せにするつもりだ。


 まずは遠縁の伯爵家とシノンの養子縁組を行った。

 伯爵の妹がシノンに約8年間、週3日で勉強を教えていた教師だったのでシノンの為人はちゃんと伝わっており、話が纏まるのは早かった。


 事前に兄に頼み養子縁組や婚約申請の書類を揃えて貰っていてあとはサインをするだけになっていたのを見て流石にシノンは引いていたが気づかないふりをした。


 養子縁組が受理されるとすぐに婚約した。


 手続きに並行して結婚式に向けての準備も行い、春が来るとすぐに結婚した。


 親族だけのささやかな式を挙げた。

 シノンの花嫁姿はとても綺麗で眩しかった。


「至らないところだらけですが、末永くよろしくお願いいたしますね」


 そう言って微笑む愛らしいシノンを抱きしめた。


 異世界転生して色々あった彼女とこれからもずっと一緒に生きていく。


 幸せになろう。



〜fin〜




最後までお読みいただきありがとうございました。

楽しんでいただけたなら幸いです。



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