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市街地での戦い

 ライフブレイカーのスナイパーはバカップルの情報をそれなりに把握していた。だが、それでも彼は少し余裕を持っていた。何故なら、ここは街のど真ん中。魔法や銃撃による騒動で街に被害が及ぶだろうと考え、バカップルは本来持つ力をすべて出し切ることは出来ない。そう結論付けていた。スナイパーは街に被害が及ぼうが関係ないと思っており、ここで本気を出せばバカップルを始末できると確信していた。


「見つけましたよ‼」


 自分を指さすクリムと、銃を向けるシュウの姿が見えた。スナイパーは慌てて人混みの中に隠れ、バカップルの目をごまかした。流石に他の人を巻き込むわけにはいかず、バカップルは攻撃の構えを解いた。


「あいつ……考えましたね……」


「あの人混みじゃあ奴を撃てない」


 バカップルが話し合いを始めようとした時、シュウは何かに気付き、クリムを押し倒した。


「危ない‼」


「キャア‼」


 クリムの悲鳴の直後、男性の悲鳴と銃声が聞こえた。そして、クリムがいた所に銃弾が撃ち込まれた。


「あの野郎、この人混みの中で……」


「他の人が巻き添えになろうともお構いなし。という事ですね」


 その後、バカップルは慌てて撃たれた人の手当てを始め、スナイパーを追いかけようとした。だが、後ろからコンリの声が聞こえた。


「バカモン‼ 私の護衛はどうなった?そっちの方が優先だろ‼」


 この言葉を聞き、腹が立ったシュウはコンリの胸ぐらをつかんで叫んだ。


「傷ついた人を見捨てろってか!? テメーには他人を思いやる心はねーのかよ‼」


「ぐ……うう……」


「テメーはさっさと車に戻れ。それなりに防弾加工してあるんだろ? ここより車の方が安全だ」


 少しずつ冷静になったシュウはコンリの胸ぐらを離し、クリムの元へ向かった。




 シュウの様子を離れた所で見ているスナイパーは、にやりと笑っていた。彼は今、シュウ達から離れた花壇の中で隠れ、ライフルを構えている。そこからライフルでクリムを狙ったのだ。


 さて、どうする? ギルドのバカップル。


 スナイパーは気味の悪い笑みをしつつ、ライフルをリロードしてシュウに標準を合わせた。クリムと話しているせいで体が動いたり、関係のない人がスコープの前を歩いていたが、それでもスナイパーは引き金を引いた。


「グッバイ」


 その直後、ライフルから弾丸が放たれた。その弾丸は通る人を貫きつつ、シュウの元へ飛んで行った。だが、関係のない人を貫いて飛んでいるせいか、勢いは徐々に落ちて行った。


 チッ、邪魔が無ければすぐに終わったが。


 スナイパーは舌打ちをし、その場から離れようとした。だが、その周囲に地元の警官が取り囲んでいた。


「貴様だな、銃を持った不審者とは?」


「今起きている無差別発砲事件について話を聞きたい」


 警官の問いに対し、スナイパーは両手に銃を持って答えた。


「丁重にお断りする。死ね‼」


 その直後、スナイパーは警官の頭に向けて銃を撃ち始めた。警官が取り囲んでたった数秒のうちに、警官達は皆やられてしまった。それを見た人達は、悲鳴を上げて逃げて行った。


「ったく、雑魚が調子に乗るから死んだんだぜ」


 と、死体となった警官を蹴り飛ばし、スナイパーはコンリの後を追おうとした。が、目の前に巨大な氷が現れていた。


「ま……マジか」


 スナイパーは察した。先ほどの騒動で人がいなくなり、バカップルが攻撃しやすい状況になってしまったと。


「あなたのような人を見逃すわけにはいきませんね……」


「テメーは俺達を怒らせた」


 シュウがこう言うと、スナイパーの左右の肩、二の腕、手を銃で打ち抜いた。攻撃をされた後の隙を狙われたため、避ける暇もなかった。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」


 スナイパーは両手を垂らしながらも、その場から逃げようとした。しかし、先ほど放ったクリムの氷が瞬時に溶け、足元を濡らした。


「言ったでしょ、見逃すわけにはいきませんって」


 その後、水は再び凍り付き、スナイパーの足を凍らせてしまった。さらに、無理矢理にでも逃げるのを防ぐためか、上空には雷と光、そして闇が発していた。それを見て、スナイパーは観念し、その場に立ち止まった。




 同時刻、タルトとリナサは事務所のキッチンでラック達の話を聞いていた。


「ふーむ……難しい依頼だな」


「何でですか? 証拠があれば簡単にブタ箱にぶち込めるって思ったんですけど」


「シュガーさん、そう言う言葉遣いは止めてください。はしたないです」


 ラックは冷や汗を流してシュガーにこう言った後、リナサが説明を始めた。


「今、コンリは私達に護衛の依頼を頼んでいるの。という事は、コンリを捕まえたかったらこの依頼を終わらすしかないの」


「という事は……」


「つまり。奴が依頼人という立場以上、私達は手も足も出ないってことだ」


 ティラがラックに説明し、さらにこう付け加えた。


「それに、今度の選挙で奴が選ばれたら。権力を使ってやりたい放題だ。過去に起こした問題も権力の力で消すことだってできる」


「じゃあ……あの子の依頼は……」


 ラックはあの少女の依頼を達成することは不可能だと思い、悔しそうに項垂れた。だが、そんなラックを見てタルトがこう言った。


「まだ君達の依頼が達成できないって決まったわけじゃない」


「どういうことですか?」


「あいつが選挙に選ばれなければいい事だ」


 と、タルトはラックに説明した。

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