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緊迫の選挙活動

 その日の昼、コンリは次の選挙の宣伝のため、外に出る予定になっていた。守りのため、コンリの護衛はバカップルが行く事になった。タルトとリナサは、事務所に残る事になった。また事務所が襲われた時にすぐに戦えるために。


「皆様、コンリをよろしくお願いします。あなたのコンリ、皆のコンリ。皆様の為に体を張って活動します」


 宣伝車からコンリをよいしょするようなアナウンスが流れているが、人々からはうるせーぞ、黙ってろこの野郎と言いたそうに恨まれていた。その様子を車内にいるバカップルは見ていた。


「何でうるさいって分かってるのにこうやって宣伝するんだろうな」


「印象付けたいんですよ。悪影響につながるって分かってないんです」


 そんなバカップルの会話を無視し、コンリは笑顔で窓から手を振っていた。シュウはそのコンリの姿を見て、呆れてため息を吐いていた。


「愛想を振りまくか、命を守るかの瀬戸際で、愛想を振りまく方を選ぶとは……」


「そんなに選挙に勝ちたいんですかね。この人」


「しゃーねーおっさんだな。あーあ、早く選挙が終わってくんねーかな」


 シュウがこう言う中、別の方から大きな声が聞こえた。


「皆様‼ 次の選挙に選ぶとしたらブランビ‼ ブランビ一択です‼ エネルギッシュに溢れ、やる気満々の熱い男、ブランビをよろしくお願いします‼」


 ブランビの宣伝車が現れ、コンリより大きな声で宣伝をしていた。慌てたコンリは車内に戻り、アナウンスを担当している役員に近付いた。


「おい、もっと大きな音を出せ‼ ブランビの奴に負けてるだろうが‼」


「これ以上やったら騒音になってしまいますよ」


「奴に負ける方が嫌だ‼ 音量のボタンはこれだな」


 コンリはアナウンスの音量を上げ、宣伝を始めた。その音を聞いた町の人々は驚き、耳を塞ぎ始めた。


「これじゃあ逆効果なのに」


「何やってんだか」


 バカップルも耳を塞ぎ、呆れてこう呟いていた。


 一方、ブランビも音量が上がったコンリの宣伝を耳にし、役員にこう言った。


「こら、もっと大きな音で宣伝せんか‼」


「これ以上やったらうるさいって訴えられますよ」


「権力で揉み消すから問題ない‼ さっさとやれ‼」


「はいはい。どーなっても知りませんよー」


 やる気がない役員はこう言うと、音量を上げた。


「これがマックスです。後はご勝手に」


 と言って、ヘッドホンを付けて作業を始めた。やる気のない役員を見て、後で首にしてやると心の中で呟き、ブランビは宣伝を始めた。その結果、あまりのうるささに人々は宣伝課者から離れ始め、大きな音を聞いて驚いた鳥が一斉に羽ばたいて逃げて行った。その他にも、魚をくわえていた猫も驚いて魚を落として逃げ、遠くにいるモンスターも驚いて飛んで逃げて行った。


「クソが‼ あいつらもっとうるさくしたな、だったら私も‼」


「止めましょうよ、クレームが来たらかえって悪影響ですよ」


「大丈夫だ、私には金を貸している多数の企業がある。そいつらに票を入れさせればクレームなんてへっちゃらだ‼」


 と言って、コンリも音量を最大にしてしまった。


「あーあ」


「俺知らね」


 コンリの愚かな行動を見て、バカップルは呆れていた。その後、馬鹿二人による騒音合戦が始まってしまった。




「ったく、こううるさきゃ仕事が出来ねーっての」


 ブランビが雇ったライフブレイカーのスナイパーが、遠くからスコープでコンリの車を見つめていた。


「だがま、この位騒動を起こしていれば……向こうも俺の事には気が付かないね」


 そう言ってほほ笑むと、スナイパーは社内にいるコンリに標準を合わせ、引き金を引こうとした。


「グッバイコンリ」


 コンリを始末するつもりでこう言ったが、突如ブランビの車が横に来た。


「あの馬鹿‼」


 スナイパーは苛立ち、ブランビの車がよけるまで待った。そしてもう一度チャンスが来た。


「命拾いしたが、今度はそうはいかないぜ」


 と言って、引き金を引こうとした。だが。車内に映ったのはコンリではなく、スナイパーライフルを構えたシュウと、魔力を開放しているクリムだった。


「なっ!?」


 驚いたスナイパーはライフルを落としてしまった。その反動か、ライフルは誤射してしまい、ブランビの車のタイヤに命中してしまった。


「気付かれた!?」


 スナイパーは慌ててライフルを拾い、スコープを見つめてコンリの車の様子を見た。先ほどの銃弾のせいか、二台とも止まっており、コンリの車の後部座席の扉は開いていた。


「しまった……」


 スナイパーは焦った。この誤射のせいでバカップルが来るだろうと考えたからだ。




 その頃、ラックとシュガー、ティラはコンリの事務所の裏に来ていた。


「こんな泥棒のような真似をしていいのかな?」


「仕事だからしゃーねーだろ。もし仮に誰かいれば仕事で来たって言えばいいさ」


「それで通りますかね~?」


 シュガーがこう言うと、突如魔力を感じた。その魔力を察し、シュガーは窓を開けた。


「ごめんねリナサちゃん。驚かせちゃって」


「シュガーさん……それとラックさんとティラさんも」


「ど……どうして君達がこんな所にいるんだ?」


 リナサの横にいたタルトが、驚いた表情でこう聞いた。

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