戦いの様子はテレビの中で
シュウは困っていた。グルザークの部下が、カメラを回しながら周囲を取り囲んでいる。今の様子が全世界にテレビで流れていることだろう。
「何でそんなことをするんだ?」
スネックがこう聞くと、グルザークは少し笑いながら答えた。
「エイトガーディアンや有名なバカップルが血祭りになるのを、お茶の間の皆様に見せたいだけだ」
「とことんふざけた野郎だな‼」
叫び声を上げ、スネックがグルザークに襲い掛かった。襲ってくるスネックに対し、グルザークは剣で攻撃を止めた。
「剣持ちか」
「文句あるか?」
「特にない‼」
横からボーノが飛び蹴りを浴びせ、グルザークを蹴り飛ばした。しかし、攻撃は防御された。
「危ないなぁ」
「お前の頭の方があぶねーんじゃねーのか?」
と、シュウが銃を撃ちながらこう言った。グルザークは横にステップして回避していったが、死角からクリムの光魔法がグルザークを襲った。
「つっ‼」
光魔法を高く飛んで回避したのだが、足まではしっかりと回避できず、ダメージを負ってしまった。着地する際、足の痛みのせいでグルザークはバランスを崩してしまった。
「グ……やるじゃないか」
「お喋りはそこまでです。本気であなたを倒します」
クリムは次の魔法を使うため、魔力を開放していた。
ハリアの村では、ジャックとラックがテレビでこの様子を見ていた。
「何考えてるんですか? グルザークって奴は?」
「シュウ達を倒して、自分のギルドが滅茶苦茶すごいってことを伝えたいんだろうよ。ま、4対1じゃあ向こうに勝ち目はないと思うが……」
「いや、勝ち目があるからあえてそうしたんだと思います」
ラックの言葉を聞き、ジャックは少し驚いてこう言った。
「勝ち目があるって……シュウにクリム、それにエイトガーディアンのスネックとボーノが戦ってるんだぜ。どう見てもこりゃ……」
その時、ジャックはテレビを見てグルザークの変な行動に気付いた。
「あいつ……回避してばっかで攻撃してねーな……」
攻撃を続けているスネックは、徐々に疲れの色が見えていた。ここまで下の階で団員達と戦いをしていたからだ。団員の力は大したことはなかったが、数の方が多かった。倒した数だけでも200人以上はいただろうとスネックは思っていた。
「クソッたれ‼」
後ろに下がり、スネックは銃を撃ち始めた。グルザークは飛んでくる弾丸を斬り落としながら、荒く息を吐いているスネックに近付いた。
「体は限界のようだね。さ、チェックメイトだ」
「それはこっちのセリフだぜ‼」
後ろからボーノが迫ってきた。ボーノが放った飛び蹴りをしゃがんで回避したものの、ボーノの後ろにいたシュウが、先ほどクリムの魔法によってダメージを受けた足に向けて発砲した。
「酷い事をするねぇ」
攻撃を予測していたグルザークは横に飛んで回避し、魔法で攻撃しようとしていたクリムに近付いた。
「こんにちは。最初の犠牲者さん」
そう言って、グルザークはクリムに斬りかかった。が、クリムはバリアを張って攻撃を防御していた。
「グググ……」
「へへ……やるねぇ賢者さん」
「うるさいッ‼」
クリムはバリアを破裂させ、グルザークと距離を取った。先ほどバリアを張って防御したのだが、グルザークが振り下ろした剣は、クリムのバリアを少し傷つけていた。
「大丈夫か!?」
慌てて近付いてきたシュウと合流し、クリムはこう言った。
「あいつの剣の腕は相当な物です。剣自体の攻撃力もあるせいか、私のバリアが少し傷つきました」
「余裕なのはそのせいか……」
「俺の剣の腕がすごいと理解した。さぁ、次は何をする?何でも斬っちゃうよ俺」
グルザークがこう言うと、離れていたスネックが銃を撃った。それに気付き、グルザークは弾丸を斬り落とした。
「効かないって言ってるでしょ。案外君ってお馬鹿さん?」
「馬鹿なのはテメーだ」
その直後、接近したボーノが手負いの足に向けて蹴りを放った。グルザークは簡単にかわせると思い、手負いの足を少し動かした。しかし、ボーノの靴のつま先部分から、魔力の刃が飛び出た。
「なっ!?」
「この靴、特殊なんだよね」
魔力の刃は、グルザークの足に食い込んだ。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」
さらに足にダメージを負い、グルザークは痛々しい悲鳴を出した。
「グッ……そんな武器があったとは……」
「これで、お前は剣を使えねーな」
スネックが銃剣を構え、グルザークに近付いた。しかし、足を傷つけられても、グルザークは表情を崩すことはなかった。
「こりゃやばいね……俺も本気を出さないと……」
「本気?」
その後、グルザークはポケットから小さな箱を出した。そして魔力を込め、その箱に触れた。
「最後の手段を見せてやるよ‼あまり使いたくなかったが、今回ばかりはしょうがないな‼」
「何をするつもりだ‼」
「見ればわかるよ。特製アイテム、ボックスアーマー‼」
すると、グルザークが手にする箱が紫色に光出し、グルザークの体を包み込んだ。まぶしい光だったので、シュウ達は目を守るためにつぶっていた。
「や……止んだか?」
シュウは目を開けて光が収まったことを察したが、目の前には禍々しい鎧を羽織ったグルザークが立っていた。
「さぁ、第2ラウンドを始めよう」
と、グルザークは不気味な笑みでこう言った。




