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クリムの怒り

 ボーノと共に上の階へ昇ったバカップルは、人質の解放を行っていた。順調に進んでいたのだが、次第に敵の姿ちらほら見えるようになってきたのだ。


「目が覚め始めたようだな……」


 ボーノは目の前の敵を蹴り倒し、バカップルにこう言った。それに対し、クリムも人質の周りにバリアを張って答えた。


「ですね。先ほどのサイレンがまだなり続いています」


「止めても無駄だよな……」


「ええ。もう敵の大半が目を覚ましているはずです」


 クリムは冷や汗をかきながらこう言った。クリムは内心こう思っている。先ほどのサイレンで敵が目を覚ました。私達がここに潜入したのを察していると思うし、そして人質に何かをする可能性が高い。


「早く行きましょう。人の命を簡単に奪うボスの下っ端です、何をするか分かりません」


「同感だ。被害がきっと出る」


 その後、三人は急いで残りの人質を助けるために、急いで行動を起こした。




 一方、グルザークは下の騒ぎを耳にし、部下にこう言った。


「下の連中は目を覚ましたようだな」


「はい。しかし、ギルドの戦士達に倒されています」


「そうか……で、警察やギルドは俺達の要求をのんだか?」


「い……いいえ。何も返事を送ってきていません」


「そうか……今潜入した連中で片が付くと思っているようだな……そうかそうか……おい、マイクを貸せ」


 そう言って、部下にマイクを取らせた後、スイッチを入れてこう叫んだ。


「おいお前ら‼ ギルドの戦士がここに来たのは知ってるよな? という事は、ギルドや警察は俺達の要求を無視したってことだ。分かるか? ギルドと警察は人質を助けることを放棄したってことだ‼ というわけで、今この場にいる人質を一人残らずぶっ殺せ‼ ついでにギルドの戦士もぶっ殺せ……と言いたいが、お前らじゃあ相手にならない。ギルドの戦士は俺が始末する」


 部下に指示をした後、近くにいる部下を呼び寄せてこう言った。


「もう一度生放送をするぞ」




 シュウ達は先程のボスの言葉を聞いていた。


「まずい……これじゃあ人質が……」


 ボーノがうろたえた時だった。人質の悲鳴が聞こえたのだ。


「始めやがった‼」


 シュウ達は急いで悲鳴の聞こえた場所へ向かった。そこはすでに敵の団員が人質に向けて銃を放っている光景が見えた。


「止めろ‼」


 シュウは叫びながら、敵に向けて銃を撃った。クリムも水の魔法を凍らせて氷柱を作り、敵に向けて投げつけた。


「ギルドの戦士だ‼」


「俺達は人質を始末するんだ‼」


「そうはさせねーよ‼」


 敵に接近したボーノが、銃を構えた敵の顔面に向けて蹴りを放った。この場は何とか収めたが、人質の一部が怪我をしていた。


「う……腕が……俺の腕が……」


「何も見えねぇ……息が出来ねぇ……」


「痛いよぉ……痛いよぉ……」


 クリムとボーノは何とか応急処置をし、無事な人質に怪我人を運ぶよう頼んだ。だが、撃たれた人質の中には、急所に命中した者もいた。それを見て、クリムはうつむいた。


「あいつら……」


 クリムは体を震わせながら、拳を強く握りしめた。その直後、別の所から悲鳴が聞こえた。


「クソッたれが‼」


 その後、シュウ達は大急ぎで悲鳴が聞こえた場所へ向かおうとした。移動中、シュウの携帯が鳴り響いた。


「父さん?」


「タルトさんからか? 移動しながらでもいいから出てくれ」


「はい」


 ボーノの言葉通り、シュウは走りながらタルトと連絡を始めた。


『シュウか!? 今、私もビル内に潜入した‼ フィアットにも潜入を頼み、敵の殲滅を任している』


「父さん、来てくれたんだ! 奴らは俺達が来たことを察知して、人質を無差別に殺すつもりだ‼ 被害者も出てる‼」


『分かった。シュウ、お前はボーノとクリムちゃんと一緒にボスを倒すんだ。人質の解放は私とフィアット、スネックに任せろ‼』


「了解‼」


 会話を終え、シュウはボーノとクリムにこう言った。


「人質の解放は父さん達がするって。俺達はボスを倒しに行こう」


「そうか。それは心強い‼」


「一気に行きましょう……今回ばかりは私もブチ切れそうです……」


 と、クリムは魔力を開放しながら答えた。




 グルザークは生放送の準備を行っていた。


「世間がどういうか楽しみだな」


「ああ。ぜってー今回の事件で俺達は有名になるな」


 部下は呑気にこう言っていたが、グルザークは神妙な面影で立っていた。


「どうかしたんですかボス?」


「誰かが来るな……」


 そう言うと、部下は悲鳴を上げて逃げようとした。しかし、グルザークは部下に黙れと一喝した。


「丁度いい。俺の力を全世界に流すいい機会だ。本来は金と仲間の解放、そしてこのテレビ局への恨みを果たすのが目的だったが、少し趣旨を変えよう」


 この言葉の直後、勢いよく扉が開き、シュウ達が部屋に入って来た。


「おやおや、エイトガーディアンのアフロさんと有名なガンナーと賢者のバカップルではありませんか」


「調子に乗りやがって……この野郎……」


 余裕のグルザークを見て、ボーノは舌打ちをした。クリムはすぐに光と闇の魔法を発し、グルザークに向けて攻撃を仕掛けた。


「おやおや。いつも冷静な賢者様はどこに行ったんだね?」


「黙りなさい……あなただけは本気で許しませんよ……」


 クリムからあふれる魔量を感じ、シュウは驚いた。今までこれほどの魔力をクリムは解放したことがなかったからだ。その位、今のクリムは激怒しているのだ。


「覚悟しなさい。あなたは半殺しだけではすみません」


「そうかそうか。では、君の醜態を全世界に流すとしよう‼おい、生放送を始めろ‼」


 グルザークはこう言うと、部下はカメラのスイッチを入れた。

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