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この事件はまだ終わっていない

 翌日になってからシェラールのギルドは、シュウ達が捕らえたイステッドブラッドの取り調べを始めた。そんな中、戦いの疲れからか、バカップルはまだ用意された部屋の中で爆睡していた。


「お~い、シュウクリム、朝だぞさっさと起きろ~」


 ティラはバカップルがいる部屋の扉を開け、中にいるバカップルを起こした。


「ったく、まーたお互いに抱きしめながら寝てんのかよ。相変わらずバカップルだなー」


 布団の中にいた抱きしめあっているバカップルを見て、呆れてティラはため息を吐いた。


「師匠……無理に起こさないでくださいよ……」


「昨日は疲れたんです~」


「んなこと言ってる場合か。仕事はまだ終わってねーぞ」


 ティラの言葉を聞き、二人の目つきは変わった。


 その後、三人は朝の準備を済ませ、ギルドへ向かった。


「お待ちしてました。あなた達が昨日の事件を担当した戦士ですね」


 そう言ったのは、メガネを付けた赤色のツインテールの少女だった。シュウはシェラールのギルドの人かと思ったが、周りの戦士は少女を見て驚いていた。


「あなたは?」


「私はキャニー・ビリオンと言います。このギルドに所属している戦士です。昨日、負傷したデアさんに代わって私が入ります」


「そうですか。俺は……」


「大丈夫です。あなた方の情報はすでに取得しています」


 そう言って、キャニーはシュウ達に近付いた。


「昨日の情報で何か分かったかー?」


 ティラは欠伸をし、こう言った。キャニーは手元の資料をティラに渡した。


「ここに情報がすべて書いてあります」


「そうか。ありがとさーん」


 資料を目に通していると、クリムの目つきが変わった。


「マラシーガ研究所……あそこが関係してるんですね」


「どこだそこ?」


 シュウがこう聞くと、クリムは簡単にこう答えた。


「マラシーガ研究所は、過去に危険な研究や兵器の開発を行っていました。その事がばれて過去に責任者や研究員が捕まったと聞いてますが」


「難を逃れた人が何人かいたようです。今は残ったその人たちが再び研究所を元に戻し裏で開発、研究を行っているようです」


「あそこが関わっているのであれば、あいつが持っていた武器も納得がいきます」


「確か魔力を無効化にする剣を持ってたって言ってたな」


「あのせいで少し苦戦しましたが」


 クリムは昨日の事を思い出しながら、シュウと話した。キャニーは咳ばらいをし、話を元に戻した。


「話に戻ります。これから私達は奴らの研究所に向かいます。今起きている異変化したモンスターの事件や薬物事件を解決させましょう」


「ああ。さっさと終わらせよう」


 その後、四人はギルドの受付へ向かった。そんな中、シュウとクリムの耳に回りの戦士の話声が聞こえた。


「おい、あれエイトガーディアンのキャニーじゃねーか?」


「エイトガーディアンが出てくるなんて、相当難しい依頼なのか? それか大事件か?」


「何にしても、俺達が知らない中で大事が起きてるらしいな」


 話声を聞いて、シュウはキャニーにこう聞いた。


「エイトガーディアンって何ですか?」


「私達が所属しているギルドの組織みたいなもんです。シェラールのギルドの中でも腕のいい戦士が所属している……まぁチームみたいなもんです。我々は解決が難しい依頼や大事件などを担当しています」


「それ程強いってことですね」


「そうですよ、最年少賢者のクリムさん」


 と、キャニーは微笑んで答えた。




 その後、シュウ達はギルドが用意した車に乗り込んだ。車の中で、キャニーが今後について話を始めた。


「車は研究所の近くへ止めます。そこから私達は歩いて研究所へ向かいます」


「それで、ドンパチ始めるってわけだな」


 ティラは銃を点検しながらこう言った。野蛮なことを言ったティラに対し、キャニーはずり落ちたメガネを直してこう言った。


「そんなに暴れないでくださいね。あの研究所に何があるか分からないんですから」


「……そうだな。間違えて爆発物を撃っちまったらドカンかもな」


「笑いながら恐ろしい事を言わないでください……」


 笑いながら物騒なことを言ったティラに対し、キャニーは冷や汗をかきながら返事をした。そんな中、シュウとクリムはいちゃつき始めた。


「なんだか大変な依頼になりそうですねー」


「ま、俺達がいるから大丈夫だろ」


「ですよねー。ね、先輩」


 笑顔でいちゃつくバカップルを見て、キャニーは不安になった。だが、この三人が昨日一晩で一つのマフィア組織を潰したことは間違いない。その位強い人たちなんだ。多分そうなんだ。キャニーは心の中でこう言った。そんな時、クリムといちゃつくシュウの顔を見て、キャニーは茫然とした。


「どうかしたんですか? 先輩は私の彼女ですよ」


「いえ、シュウさんの顔が上司の顔に似ているもので……」


「上司に?」


 シュウがこう聞くと、キャニーは返事をして話をした。


「上司を若くすれば、多分今のシュウさんと同じ顔になるんかなーって思ったんです。それに、私の上司も髪の色が赤茶色で、似たような色なんですよ」


「そうなんですか。一度会ってみたいですね」


「ええ。上司もあなたに合ったらびっくりすると思います。あ、これが私の上司のタルト・クリーヴです」


 キャニーはそう言って、スマホを二人に見せた。スマホにはエイトガーディアンらしき八人が整列していた。その中に、キャニーとシュウにちょっとだけ似ている男性がいた。


「この人が……」


「ええ。タルトさんです」


 シュウはタルトの写真をじっと見つめて、驚いていた。


「なんだか老けた自分を見ているみたいだ」


「おーい、話はこれでおしまいだ」


 ティラは車が止まったことを三人に伝えた。戦いが始まる。三人はそう思い、車から降りた。

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