クリム絶体絶命!?
クリムは内心焦っていた。ディアボという奴には魔法が通じていない。先ほど放った火の玉は、最初にビルに攻撃したものと比べ威力と大きさは劣っているが、それでも人一人ぐらいは倒せるほどの威力があった。しかし、それがかき消されてしまった。
「ご自慢の魔法が消されてビビってるのかい?」
「そうでもありませんよ」
ディアボの質問に答え、クリムは闇の魔法を放った。闇を槍のような形に形成させ、ディアボに向けて放った。しかし、それもかき消されてしまった。
「自然魔法だろうが、大地魔法だろうが、光と闇だろうが無駄だよ。俺には魔法は通用しない」
「そのようですね」
もう一度、クリムはディアボを調べ始めた。彼の右手には、剣が握られている。それに何かトリックがあるのだろうか? そう思い、風の魔法を放った。
「無駄だって言ってるじゃないか」
ディアボはそう言って、剣を盾にした。すると、クリムが放った風が消えた。クリムは察した。あの剣には魔力を消し去る力があるのだと。
「その顔、魔法が通じないトリックが分かったみたいだね」
「ただの剣じゃありませんね。見た目こそは普通の剣と変わりませんが、特殊な素材で作られてますね」
「くくくく……ご名答‼」
ディアボはそう言って、クリムに襲い掛かった。魔法でバリアを張って防御をしたいところだが、あの剣は魔法を無効化にしてしまう。バリアを張っても、簡単に破壊されてしまう。クリムは攻撃をかわし、反撃のチャンスを待った。
「反撃なんてさせないよ。オラァッ‼」
二撃目の攻撃がクリムを襲った。剣先はクリムの腕をかすっただけだが、それでもディアボは笑みを消さなかった。その笑みを見て、クリムは嫌な予感がしていた。
「まさか……」
魔法を出そうとしたのだが、いつものように魔力を開放することは出来なかった。
「……魔法を打ち消すだけではなく、攻撃した相手の魔力も封じるの……」
「ご名答ご名答‼ 魔法使い対策として、知り合いに作ってもらったんだよ‼ さぁ……大人しく死ね」
ディアボはクリムに近付き、攻撃を仕掛けようとした。しかし、クリムは杖を装備してディアボの腹に攻撃を仕掛けた。
「うぼっ‼」
杖の先が腹の急所に命中し、ディアボは苦しそうにうめき声をあげた。
「な……に……」
「あなたの読みは全て外れています。私は魔力が封じられた時の為に、棒術を学んでいるんです」
「物理攻撃もそれなりにできるってことか……うぐっ……」
腹を抑えながら、ディアボは立ち上がった。だが、クリムはディアボの頭に向けて杖を振り下ろしていた。
「がっはっ‼」
攻撃を受け、ディアボは再び地面に倒れた。クリムは倒れたディアボに追い打ちをかけるため、その上に乗っかって攻撃を始めた。
「チッ‼ 調子に乗るな、小娘‼」
気合で上にいるクリムをどかし、ディアボは剣を持って襲い掛かった。
「そんな杖、叩き斬ってやるよ‼」
と言って剣を振り下ろしたのだが、クリムは華麗に攻撃をかわしていった。
「グッ……」
「残念でした。魔法を封じたからと言って、余裕が生まれてますね」
クリムはそう言って、杖で攻撃をした。攻撃を受け、後ろに下がったディアボは息を整えようとした。しかし、クリムは魔力を解放した。
「やっと戻りましたか」
クリムはにやりと笑い、右手から雷の矢を放った。喰らうかと思いながら、ディアボは飛んでくる雷の矢を叩き落とした。しかし、二発目の雷の矢が彼の右肩に命中した。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアア‼」
感電の音とともに、ディアボの悲鳴が轟いた。
「魔法が剣に当たらなければ、意味がないってことですね」
クリムは倒れたディアボに近付き、こう言った。
「さぁ、いろいろと話してもらいましょうか」
「……隙を見せたな、小娘‼」
ディアボは起き上がり、クリムを地面に押し倒した。
「テメェの首を掻っ切ってやる‼」
剣を持ち、刃をクリムに近付けた。だが、クリムには怯える様子はなかった。
「……何で平然としていられる?」
「教えてあげましょう。この勝負は私の勝ちだからです」
「は?」
クリムの答えを聞き、ディアボはおかしいと思った。だがその時、後ろから銃声が聞こえた。
「がっ……」
ディアボは察した、部屋の外で戦っていたスパルが負けた事、スパルを倒したシュウが援軍に来たことを。
「クソッたれ……」
ディアボは撃たれた左の太ももの裏を抑えながら、苦しそうにうめき声をあげた。
「負けた事が分かったなら、さっさとどいてください」
クリムは下から足を上げ、ディアボを横へ蹴り飛ばした。
戦いが終わり、シュウが部屋に入って来た。
「クリム‼」
「せんぱ~~~~~~い‼」
クリムはシュウに抱き着いた。シュウはクリムを抱き支え、こう聞いた。
「ボスは倒したのか?」
「ええ。先輩のおかげです。助かりましたよ~」
「俺のおかげじゃないよ、戦ってたのほとんどクリムだったじゃないか」
「えへへ~。そうでもないですよ~」
「おーい、二人の世界に入る前にやる事があるだろうがー」
と、ティラが現れてこう言った。その後、シュウ達は捕らえたディアボ達を連行し、シェラールのギルドへ向かって行った。
戻る前、怪我を負ったデアは救急車に運ばれることになった。
「応急手当はしてるから、すぐに退院できるだろ」
「でも、しばらくは安静にしてます」
「おー。ま、ゆっくり休めよー」
ティラはそう言って、救急車に運ばれるデアを見送った。その時、バカップルは同時に欠伸をした。
「眠たそうに欠伸をするなよ。眠気がこっちに飛ぶだろうが」
「もう夜中ですよ」
「そろそろお風呂に入って寝たいですー」
「……だな。いろいろとやることはあるけど、明日に回すか」
会話を終え、シュウ達はシェラールのギルドへ戻って行った。




