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カラスの爪の秘密基地

 バイクの男達に連れ攫われたハーゼを追い、バカップルは空を飛んで追跡を始めていた。しばらくすると、バイクの男達は荒れ地の一角にバイクを止めた。そして、姿を消した。クリムはその近くへ着地し、周辺を調べた。


「ここが怪しいな……」


 シュウは岩場の壁を触り、銃を取り出した。


「銃で撃つんですか。私が代わりにやりましょうか?」


 このクリムの言葉を聞き、シュウは驚いた。


「いいのか、あれだけ魔力を使ったのに」


「大丈夫です。風の魔法を使って1ヶ月ほど宙に浮く修行を受けたので。あれ位なんともないです」


「すごいな。じゃあ任す」


「お任せください‼」


 その後、クリムは怪しい壁に向かい、火を使って大爆発を起こした。


「見てください先輩、隠し入口がありましたよ」


「奴らのアジトだな。バイクもこの近くにあったし、そうに違いない」


 隠し入口から二人は先へ進み始めた。しばらく歩いていると、シュウは何かの気配を察した。


「人がいる。クリム、俺から離れるなよ」


「はい」


 クリムは返事をした後、シュウに抱き着いた。シュウは自分の腰にいるクリムの手を触りながら、歩いて行った。その時、スイッチが入ったような音が聞こえた。


「何だ今の?」


「もしかして……」


 その直後、シュウは地面の感覚がなくなったことに気付いた。慌ててシュウは腰にいるクリムを足場へ移し、自分は落下していった。


「先輩、せんぱあああああああああああああああああああああああい‼」


 落下していくシュウを見て、クリムは叫んだ。その直後、クリムの後ろから拍手が聞こえた。


「愛し合うカップルが分かれ離れになるシーン……実に悲しいねぇ。感動的だよ。まるで映画を見ているようだ」


 拍手の主はルヴォだった。クリムはゆっくりと振り向き、魔力を解放した。


「あなたの仕業ですね」


「そうだね。侵入者対策の為に罠を張っておいた方がいいって言ったの俺だし」


 クリムは冷静になりつつ、ルヴォにこう聞いた。


「ハーゼ様はどこですか? と聞いても、答える気はなさそうですね」


「ご名答。どこにいるかは教えない。だけど、どうするかは教えてやるよ。あのガキは依頼人の目の前で始末する」


「……そうはさせません」


 クリムはそう言うと、ルヴォに襲い掛かった。




「いつつつ……離れちゃったな……」


 シュウは尻をさすりながら立ち上がり、辺りを見回した。すると、うっすらと女の子のなく声が聞こえた。


「……ハーゼ様」


 ハーゼの鳴き声を聞いたシュウは、他に罠がないかゆっくりと歩きながらハーゼの元へ向かった。その時、何者かの気配を感じた。シュウは後ろに飛び、気配から距離を取った。しばらくすると、目の前の岩がゆっくりと崩れた。


「ただの侵入者ではなさそうだな」


 やはり誰かいた。シュウはそう思い、身を隠すような場所へ移動し、銃のリロードをした。


「そこにいるんだろ、出て来いよ」


 シュウは男の声を頼りに、引き金を引いた。


「……狙いを外したか」


 弾丸は男がいる方ではない所へ飛んで行った。しかし、弾丸は壁に当たって跳ね返り、男の方へ飛んで行った。


「む!?」


 男は剣を使い、飛んでくる弾丸を斬り落とした。


「ふざけた真似を……」


 男はシュウが隠れた場所へ向かったが、そこにシュウはいなかった。男は察した。シュウはもう別の所へ移動したのだと。


「……必ず始末する」


 剣を鞘に納め、男はシュウの後を追って行った。




 牢屋の中にいるハーゼは、中で泣いていた。二人が必ず来ると信じていたが、自分に危害が及ぶ前に来てくれと祈っていた。


「シュウさん……クリム……」


 その声を聞いた門番が、大きな声で笑いながらハーゼにこう言った。


「祈っても無駄だよ‼ お前は死ぬ、依頼人の目の前で無様になぁ‼分かったら黙って寝な。それか……俺があの世へ送ってもいいんだぜ?」


 門番は槍の矛先をハーゼに向けていた。すると、銃声が聞こえた。


「え……」


「助けに来ました」


 銃声の主はシュウだった。シュウは倒した門番を調べ、腰に付けてあった鍵を手に入れた。


「シュウさん‼」


「静かに。まだ敵がいます」


「え……下品な門番以外にもいるの?」


「ええ。こいつよりも強いです。奴にばれる前に……」


「もう遅い」


 後ろから男の声がした。シュウはもう追いついたかと呟き、銃を構えた。シュウの姿を見た男は、驚きのあまり声を上げた。


「こんな子供がギルドの戦士とは……」


「見た目で判断するんじゃねーぞ、おっさん」


「……そうだな。あの時の跳弾は驚いたもんだ」


 会話の中、シュウが倒した門番が顔を上げ、男にこう言った。


「ボス‼ こんなガキやっちゃってください‼」


「分かった。お前は黙ってろ」


 この言葉を聞いたシュウの目つきが変わった。今から戦う相手が、カラスの爪のボスであることを察したからだ。


「ギルドのボスが、こんな所でお散歩とはね……」


「大事なお客さんが逃げるのを防ぐためにここにいたんだよ。それと……誰かが助けに来るのを邪魔するためにね」


 ヴァローナは剣を鞘から出し、シュウに突き付けた。


「ここで始末する。悪く思うなよ」

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