全ての始まり
主人公の頑張りを生温かい目で見てやってください。
全能って便利だろうなぁ~って思ってた自分を殴りたい・・・
便利って事は厄介事もそれなりにあるって事も一周まわって不便だという事もわかってなかった。
私の名前は『ユーリ・ウェイス・ハーバリー』ユーミリア王国のハーバリー公爵家の娘だ。
今日は、侍女のミーナと王都にある公爵邸から馬車で数時間の所にある湖まで避暑に出かけた。
出先でこんな事になるなんて思いもよらずに・・・
この世界には魔法がある。
普通の人がもっている属性は大体1種類。貴族で2種類。王族でも多くて3種類だ。
ちなみに私の家族の属性はというと・・・
父:光・風
母:火・雷
兄:風・光
弟:火・雷
とまぁ、私の兄弟は両親の属性を受け継いでいて、見た目の特徴もそっくりそのまま受け継いでいる。
父と兄は濃い目の金髪に蒼い瞳。母と弟は銀髪に翡翠の瞳だ。
そして私の見た目はといいうと・・・
銀髪にも見える淡い金髪に蒼と翡翠のオッドアイだ。
見事に両親の特徴が混ざり合っていた。
ちなみに私の属性はわからない。
というより、魔法が使えないのだ。
兄と弟は6歳の時に属性がわかり、両親が師となり魔法を教えている。
しかし、私は属性がわからず、魔力があるのかもわからないときている。
ちなみに侍女のミーナの属性は水と氷だ。
王都の夏は暑い。避暑を兼ねて湖に行く事にした。
湖の近くには公爵家の別荘があるからだ。
『水属性もちのミーナがいれば楽しく水遊びもできるだろう』と安易に考え、ミーナだけを連れてきた。
せめて、火か雷の属性持ちの侍女を連れてくれば良かった・・・
現在の私の状況は、というと。
全速で走る馬車に乗っている。
森を抜けようとした所、盗賊と出くわしたのだ。
両親と兄弟は護衛騎士を連れて行くよう言っていたが、王都の近くだから大丈夫~って断った。
その結果がこれだ・・・
御者の属性は風。追い風で馬車を引く馬の負担を減らすのだ。
しかし、馬車を操りながら攻撃魔法を使う事はかなり難しい。
使えなくもないが、敵に命中させる事が難しい上に攻撃魔法を乱発すると魔力の枯渇に繋がるからだ。
森の中という事もあり、王都と違い石畳ではない道を全速で走る馬車。
当然、馬車はかなり揺れている。
窓や座席の淵にしっかりと掴まっていないと転んでしまう位には。
その時、車輪が石でも踏んだのか馬車が大きく跳ねた。
瞬間、私は頭を馬車の壁に強く打ち付けてしまい意識を失った・・・
8/24誤字を訂正しました