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魔法が使えるようになりました

気づくと見慣れた天蓋付きのベッドに寝ていた。

私が目覚めた事に気づいた侍女のミーナが慌てて部屋を飛び出していった。


(あれ?私、湖に向かってたよね?・・・それに変な夢を見ていたような?)


夢の内容を思い出そうと、ベッドの中でうんうん唸っていると、両親と兄弟が部屋に来た。

唸っていた私を見て、両親が血相を変えて駆け寄ってきた。


「ユーリ!あぁ・・・無事で良かった」

母セリスが翡翠の瞳を涙で濡らしながら私の手を握り締めた。


「盗賊に襲われたと聞いた時は、寿命が10年は縮んだぞ」

父ハーバリー公爵アロルドが安堵の溜息を漏らした。


「「だから、護衛騎士を連れて行った方が良いって言ったのに!!」」

兄ユージーンと弟ジェラルが怒っていた。


(なにこのカオスな状況・・・)


「アレスとミーナから森のどの辺りで盗賊に襲われたのか聴いたから、すぐに騎士団本部に連絡したよ。」


「父様・・・御者のアレスに怪我はない?」


「あぁ。アレスもミーナも怪我はないから安心しなさい。」


「良かった・・・気づいた時、部屋にミーナが居たから無事だったのは分かっていたのだけれど、アレスはどうなのか分からなかったから。・・・父様、ごめんなさい。父様達の言うことをちゃんと聞いて護衛騎士を連れて行けばこんな事にならなかったわ・・・」


「今後は外出時に必ず護衛騎士を連れて行きなさい。」


「はい。母様も心配をおかけしてしまって・・・ごめんなさい。ユージーン兄様もジェラルも・・・」


「ユーリ・・・あなたが無事で本当に良かったわ・・・」


「ユーリ。今後は父様の言うことをちゃんと聞いて、母様に心配をかけるなよ」


「ユーリ姉様が無事で良かった・・・」


「みんな・・・本当にごめんなさい・・・」



その日の夜、入浴後にお茶を飲みながら気を失っている時に見た夢を思い出そうとしていた。


(あれは何だったのかしら?見たこともない巨大な建造物・・・鉄の箱が馬もなく動いていた・・・)


と、そこまで思い出したとき頭の中に様々な光景が溢れた。


黒髪黒目の男女・・・その二人をお父さん、お母さんと呼ぶ同じく黒髪黒目の少女。

揃いの服を纏い、自分の事を「ユウリ」と呼ぶ同じ年頃の男女。

ガラスの板に映される様々な風景や物語。


(あぁ・・・これは・・・私の前世の記憶?)


そう。私は転生したんだ・・・。

学校からの帰り道、信号無視をした車にはねられて私は・・・


転生前の私はいわゆる『オタク女子』だった。

小説やゲーム、アニメ等、特にファンタジー系が好きだった。

魔法が使えたらこんな事してみた~い。と妄想に走ることもしばしば・・・

友達と遊ぶ時以外はどちらかといえばヒキコモリーヌだった。


(ふむ・・・転生先は魔法のある世界・・・両親も兄弟も魔法が使える。私だけ使えないのっておかしいよね?・・・ものは試しに・・・)


『トモシビ』


フワリと小さな火が出て、あたりを照らす。


「やった!!できた~っ!!!」


「ユーリさま!?いかがなさいました!?」

ミーナが私の叫びを聞いて駆けてきた。


「ミーナ!!見てちょうだい!!私、魔法が使えるわ!!」


「・・・っ!!!だ・旦那様~!!奥様~!!」

両親を呼びにミーナは部屋を飛びしていった。

ようやく主人公が魔法を使えるようになりました

8/24誤字を訂正しました

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